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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第参章 悪魔の目論見
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第100話 鬼との手合わせ

 〈幻真〉



「いやぁ、悪りぃな。普段使わない力を使ってぶっ倒れちゃって」


「そうじゃなくて……あんた、無理しすぎよ? 休んでても良かったのに」


 俺は霊夢の気遣いに対してニッと笑う。みんなから言われたさ。だが、異変解決とは別に用事があるからな。


「心配するな。自分の身は自分で守るから」


「ならいいんだけど」


「ってか、パルスィが橋姫だったことは知ってたけど、ここが例の橋なのか」


 パルスィは色々あって知ってるからな。まあ、今はその話は関係ないな。


「私が知らなくて彼が知ってる……妬ましいわね」


「やっぱりパルスィだな。それより、こんな所で止まってないで早く行こうぜ、地底によ」


「そうね。というか、あんたが手に持ってるのって、もしかして……」


 霊夢が俺の手元に視線を向けて言う。


「これか? 楼観剣と白楼剣だ。色々あって俺の持ち武器が無くなってよ。妖夢に借りたってわけだ」


「そう。それじゃあ、行きましょうか」


 霊夢を先頭に、地底へと足を踏み入れる。それにしても、萃香さんや文、パチュリーやにとりがいるとは意外だ。一番珍しいのはパチュリーだが、頼りになるだろう。


「地下にこんな場所があったなんてな……」


 直ぐに目に飛び込んだ景色、それは主に和を強調したような街並み。その一つの家屋の塀の瓦の上に、自分たちを見下ろす者がいた。


「よっと……よお、おまえら」


 彼女は金髪ロングで頭には赤い角が一本生えていて、角には黄色い星のマーク。目の色は赤。服装は体操服をイメージした服にロングスカートを履いていた。そう、彼女は鬼の星熊勇儀。


「勇儀、私たちを阻む気?」


「いんや、私はお前さんたちにどれだけの力量があるか、見せてもらおうと思っただけさね」


 力量……つまり、弾幕ごっこをするんだな。


「……みんな、ここは俺が行く」


「盟友……いいのかい?」


「ああ。君は確か、にとりだったか。因みに、俺は幻真って言うから覚えといてくれ」


「カッコイイところ見せるじゃない」


 声と共に、顔だけ出して現れた紫さん。やっぱり来てたんだ。紫さんは団体に不向きだもんな。


「さっ、ここは幻真に任せて先を急ぎましょ。時間を無駄にする訳にはいかないわ」


「そうですね! 幻真さんなら問題ありません!」


「というわけで、頑張れよ!」


 魔理沙とガッツポーズを交わし、皆を見送った。


 皆の姿が消えた後、勇儀さんとの沈黙が続く。ここはあまり人影が無く、暴れてもそこまで問題ない。それに、普通の鬼と戦うのは初めてかもしれない。和正とはあんまり戦わなかったし、正確には鬼神らしいし。


 俺は楼観剣を抜いて構える。最初は慣れないだろう、そう思っていたが不思議な事に一度触った事があるような感触がした。これなら戦える。


「そうだ、私は杯の酒を一滴も溢さないという縛りをするよ。幻真は本気で来なさんな」


「勇儀さん……俺のこと、嘗めてません?」


「嘗めてないさ。お前さんの事は強いと思ってる。それに、もう"さん"付けは遠慮してくれ。それじゃあ……いくよ!」


 彼女は力強く地を蹴り、拳を引いて突っ込んでくる。やはり彼女は近距離に格闘。霊妙さんや和正もそうだったな。この攻撃は避けて、次に繋げる。


 超技術の空歩を使って空中に避け、そこから楼観剣を振り下ろす。しかし、彼女は反射的に刃を弾く。酒が溢れそうだが、それをいとも簡単に防いでいた。


 間を開け、体勢を整える。彼女は一服がてら酒を飲む。多少減るが、あんな広く浅い盃だ。然程変わらないだろう。


「次は俺からだ。焔雷『墳雷砲(ボルケーノサンダー)』」


 片方の掌を彼女に向け、炎に雷を纏った極太レーザーを放つ。当たれば無傷では済まないだろう。


「力業『大江山嵐』」


 彼女がスペルカードを唱えると、上の方から音が聞こえてくる。レーザーを放つ掌はそのままで見上げると、大量の大玉が高速で降ってくる。数個の大玉によってレーザーは防がれ、更に自分の真上にも降ってきていた。


 真上に降って来た大玉を、超技術——衝撃玉砕で内側から衝撃を与える。大玉は破裂。作戦成功だ。


「やるねえ。やっぱり、こうやって殺り合って、戦いの楽しさを実感するものさねえ」


 彼女は未だに一滴も酒を溢していない。本気で決めにいかないとな。彼女だって酒を溢さないとは言ってるが、手加減するつもりはなさそうだからな。


 腰に備えていたもう一刀、白楼剣を構える。二刀流となり、久々に同じぐらいの長さの刀を持った気分だ。火炎刀以来か。あれは短刀に変えたしな。


 楼観剣を逆手持ちに変え、地を蹴って超技術——縮地で距離を一気に詰めて楼観剣で斬りかかる。しかし、彼女の腹元を斬る寸前で奥に躱される。そこに、白楼剣の攻撃を突き刺してお見舞いする。


 彼女は反射的に刃を片方の素手で挟んで止め、冷汗をかく。俺はニヤリと笑い、攻撃を止めた。


 それにしても、やはりこの二刀は使いやすい。まるで昔からずっと使っていたかのように。




 楼観剣を元の持ち手にして再び構え、勇儀睨み合う。動いた方が一本を取りに来る。まるで試合の様だ。


 妖夢に借りているこの二刀だから、あまり荒くは使いたくない。だが、速さを利用すれば成功するだろう。


 白楼剣を地面スレスレに彼女に向かって投げ飛ばし、その様子を伺う。ギリギリまで接近したところで縮地を使って白楼剣を回収し、楼観剣の一撃を加えて更に白楼剣でもう一撃を入れる。彼女は左腕と右腹部を負傷し、出血した。


 彼女は笑って言う。


「本当に容赦無いねえ……」


 俺はハハッと笑う。ハンデ付きの彼女には厳しかったか。とは言っても、本当に相手が両手を使えていたら、ここまで上手くいかないだろうな。


 勇儀が杯を持つのは右手。負傷させれば俺の勝ちだ。狙っているのがバレないように攻撃だ。




 楼観剣を仕舞って白楼剣を利き手に持ち替える。再び地を蹴って彼女に飛び込み、真正面から斬ると見せかけ空歩で空を飛び、背中に回る。そして、振り向いた所を右手向かって刀を振る。


 しかし、その攻撃は当たらなかった。当たったのは彼女の回し蹴り。回し蹴りは俺の右腹部に直撃。俺はそのまま塀に吹き飛ばされた。


 土煙の中立ち上がり、白楼剣を振って刃の汚れを払う。血の味が混ざった様な痰を近くに吐き捨て、彼女と向かい合う。


 何を忘れているんだ。彼女が格闘技を使ってくることを。


「そろそろ反撃開始だ。鬼符『怪力乱神』」


 バネのような形で鱗弾を全方位に配置した直後、それを分解して鱗弾を拡散させてくる。全方位は厄介だ。回るにも回れず、被弾してしまう。だが、超技術を使えば身にも余らない。


 超技術の肉鎧を使って、霊力を全身に張り巡らせる。弾幕のダメージを吸収し、白楼剣で斬撃を放った。


 彼女は難なくそれを弾き、飛び膝蹴りを咬ましてくる。俺は咄嗟に刀の頭部分で防ぐ。肉鎧の体で受けても良かったが、霊力温存の為に止むを得なかった。


 彼女の攻撃の反動で空に吹っ飛ばされ、体勢を整えて地面に着地する。だが、彼女の姿は無かった。


 こう言う時は大体……


「後ろか!」


 背後からの奇襲に素早く体を回転させ、蹴りを腕で受ける。その勢いで多少飛ばされたが、直ぐに体勢を整える。中々勢いが出てきたな。


 距離が開いている中、彼女はまたもやスペルカードを指に挟んで見せ付ける。さあ、どんな攻撃が来る?


「怪輪『地獄の苦輪』」


 それを唱えた彼女は、ばら撒き弾と巨大なリング弾を放って来る。こちらも弾幕を出して相殺させようとしたが、切札が無いことに気付く。あるにはあるが、あれは危険すぎる。こうなったら斬るしか無いか。


 ばら撒き弾を斬りつつ、彼女とリング弾の位置を直線上に合わせる。合わさった所に、スペルカードを唱える。


「焔雷『墳雷砲(ボルケーノサンダー)』」


 二度目の使用。通用するかしないかなんて、関係ない。使える時に使うからこそ、意味があるんだ。


 彼女は咄嗟にレーザーを躱す。避けられてムッとしたが、何故か彼女はニヤリと笑っていた。その理由は直ぐにわかった。リング弾が消滅する際に周りのばら撒き弾を巻き込み、その場に大弾が出現したからだ。更に、その大弾は俺狙いのホーミング弾だ。また面倒くさい弾幕を出してくるもんだ。


 運良くその大弾の動きが遅かった為、潰すのに急がなくて済んだ。


「地流『土岩石流マッドウォーター』」


 掌を地面に付け、波動を流し込む事によって氷塊の様な水柱が真っ直ぐ伸び、大弾を貫通させた。


 彼女は表情一つ変えず、話す。


「やっぱりあんたは強いねえ」


「これでも長い時間寝てたんだぜ?」


 彼女はフッと笑い、一枚のスペルカードを取り出す。


「そろそろ決めようか。四天王奥義『三歩必殺』」


 辺りが軽く揺れた直後に、彼女の周辺に高密度の動かない弾幕が展開される。次にまた揺れが起こると、さっきより疎らな密度で、彼女を中心に動かない弾幕の外側の範囲で円状に動かない弾幕が展開される。


 俺は咄嗟に避け、弾幕が配置されていない場所に避難する。


 最後に彼女が大きく力を溜めるように、二回目よりも大きく長めに辺りが揺れ、 二回目より外側全体を高密度の弾幕で埋めてくる。


 流石にこの弾幕を避けれず被弾する。初見殺しってワケか。パワーをチャージする音が聞こえていたが、反射神経が鈍くなっていた。これでも寝起きにしては動けてる方なんだがな。


 溜めた力が解放され、彼女を中心に弾幕が飛んで来る。俺も放つかな。


「終域『終焉地獄(ラストインフェルノ)』」


 威力的には小さな星一つ程破壊する半端ない威力を持つが、最低限に押さえて炎の極太レーザーを放った。


 レーザーは彼女に直撃。中々大きい爆発が起こり、俺は爆煙の中に飲み込まれた。




 爆煙は数秒後に止み、視界が良好になる。目の前には、杯を落として笑う勇儀の姿があった。


「俺の勝ちだな」


「ハハッ、参ったよ。予想以上に疲れたな。いや〜楽しかった」


 相変わらず明るいな、勇儀は。この明るさもあってか、酔うとあんな威勢が良くなっちゃうからな……


「それじゃあ、俺は行くよ」


「はいよ。萃香によろしく言っといてくれよ」


 俺は背を向けて勇儀に手を振りながら、その場を去った。本当の目的はコレじゃないからな。


 ……待ってろよ。

閲覧ありがとうございました。


今回は勇儀戦という訳ですが。

私は東方の原作のゲームはやった事がありませんので、説明文だけでは鬼畜要素が詳しくは分かりません。スマホアプリでも出ているので、そちらもやってみたいですね。


今月はこの話が最後の更新になると思います。六月に関しては、色々事情があって更に更新が遅れると思います。ご了承ください。


次回、原作キャラ視点と裏組織遭遇。

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