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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第参章 悪魔の目論見
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第99話 目覚める龍使い

 〈幻真〉



『そろそろ起きても良いんじゃないか? 龍使い』


 誰だ? 俺の脳内に直接話しかけてくるのは?


『あれ? 忘れちゃった? まあいいや。とにかく起きなよ。眠っている暇は無いと思うんだけど』


 それはどういう事だ?


『君が眠っている間に色々あってねえ。君の幾つかのスペルカードが奪われちゃったよ。それだけじゃない。一部の特殊能力や、武器類までも盗られている』


 どうしてそれをお前が知っている?


『見てたんだよ。ある能力でね。因みに、君の愛用する剣と短刀が持っていかれたようだよ。使えるのは雷の刀のみ。なぜそれだけを残したのかは謎だけど……疑問に思うのはこれだけじゃない。盗られたスペルカードは、主に昔使用していたモノばかり』


 昔使用していたモノ?


『そう。例えば、青眼とか赤眼とか。運が良いのか奪えなかったのかわからないけど、超技術や龍たちは無事なようだ。彼らもタフいね。低レベルの洗脳には、どうやらかからなかったようだ』


 そうか……という事は、アクセルモードや縮地、炎龍とかは使えるってワケか?


『恐らくね。能力は奪わなかったようだし、使えるとは思うよ。さて……そろそろお目覚めの時間だ。あ、一つ忠告しておくよ。今の一人じゃ、奴らを倒せない——』






「ここは……あまり見慣れていないが、どうやら永遠亭みたいだな。ん? 永遠亭……永琳さんや鈴仙がいるのに、いつの間に俺のスペルカードを盗んだ? それに……妖夢もいててくれたみたいだな」


 隣には、ベッドに体を寄せて眠っている妖夢の姿があった。一体どれぐらい眠っていたのだろうか。


「今声がしたんですが、やはりお目覚めになったみたいですね! 良かったです!」


 部屋に入ってきた玉兎、鈴仙は笑顔で喜んでいた。反応からして、長く眠りすぎたようだ。


「うーん……え、幻真……さん?」


 どうやら、妖夢も目が覚めたみたいだ。取り敢えず、鈴仙が永琳さんを呼んでくる間に、妖夢に質問してみるか。


「妖夢、心配させて悪かったな。今はもう大丈夫だから気にするな。それよりも、ちょっと聞きたい事があるんだけどよ。俺が眠っていた間、この部屋で怪しい気配などを感じなかったか?」


「……いえ、特に気などは感じませんでしたけど。もしかしたら、私が眠っていた間にその何者かが侵入した可能性があるかもしれませんが……」


「そうか……」


 まあ、なんらかの方法で奪われたのは確かだ。取り敢えず、どうするかだが……


「……あ、そうだ妖夢。ちょっとお願いがあるんだけどよ。どうやら眠っている間に真神剣と短刀を、その何者かに持っていかれてしまったみたいでな。運が良いのか、この雷刀ゼニシアだけは残っていた。そこでだ。妖夢が使うその二刀、楼観剣と白楼剣を——」


「貸してほしい……ですか?」


「ああ。その間、この刀と交換して欲しい。直ぐに扱うのは難しいかもしれないし、相性が悪いかもしれないが……」


 そう言って俯くと、妖夢はなぜか笑い出した。俺は焦って妖夢の顔を見るが、彼女は晴れ晴れした表情をしていた。俺はワケがわからなかった。


「相性が悪い訳ないじゃないですか。私と幻真さんは、こうして付き合ってるんですよ?」


 そうだ、そうだった。俺が愛した彼女との武器との相性が合わない訳がない。現に、こうして付き合ってるんだ。何を勘違いしているんだ、俺は!


「ありがとう妖夢。君が俺の彼女で良かったよ」


「イチャイチャしてるところ悪いんだけど……?」


「師匠、落ち着いてください!」


 ようやく鈴仙が永琳さんを連れて戻ってきた。なぜか永琳さんは嫉妬していた。怖いからやめて下さい。


「まあ、愛の証ね。さて、幻真の体調だけど……主に疲労が関係していたわ」


「はあ、やはりそうでしたか。タッグバトルや修行、異変解決など重なってましたからね」


 よくよく考えたら、ここ最近全くゆっくりしていない気がする。時間があっても修行ばっかりで、常に体を動かしていたからな。


「実はと言うと、そっちが原因じゃないのよ。ほら、慣れない力を使ったの、覚えてる?」


「……幻力ですか」


 知らぬ間に手にしていた力、幻力。自分は龍を操る能力しかないと思っていたけど、ここ最近幻力を使いこなして幻術を習得し始めていた。更に、その幻術を実態へと変えられる。想起もしていたか。


「その力を使う事のは、あまりオススメしないわ。どうやら拒絶反応を起こすみたいだし。体が壊れてもおかしくないから、そこの所、意識してちょうだい」


「わかりました。あ、そういや永琳さんや鈴仙は、俺が眠っている間にこの部屋に不法侵入した人とか、気配とか、見たり感じたりしませんでしたか?」


 二人は顔を見合わせ、お互い首を傾げて首を振る。やはり、何かしらの能力を使って遠方から行ったのだろう。主犯を早めに突き止めなければ。


 一応妖夢に話した事を二人にも話す。やはり、二人とも頭に疑問符を浮かべた様子で話を聞いていた。すると、一人の少女が欠伸をしながら病室に入ってきた。


「久しぶりね、幻真」


「あ、どうも輝夜さん」


「よくそんなに呑気にしていられるわね。みんな別の話で忘れてるかもだけど、異変が起こってるのよ。地底でね」


 知らなかった。俺が眠っている間に異変が起こっていたなんて。霊夢や魔理沙は既に向かっているのかな?


「まあでも、今回は貴方はお休みよ。永琳に言われた通りにね。異変解決ぐらい、貴方に頼りっきりの博麗の巫女に任せれば良いじゃないの」


 それもそうだな——とは言えないんだった。地底でアイツがいると言い聞かされていたんだ。


「悪い。異変解決もそうだが、俺には別の事情があってな。妖夢、この二刀借りてくぞ。真神剣と短刀を取り返したら直ぐに返す」


 病室の扉を開け、二刀を持つ右手とは反対の手を振って、部屋を出た。


「相変わらずね。貴方の彼氏」


「……はい!」








 〈霧雨魔理沙〉



 道中にも地霊が湧いてやがる。こりゃまるで、地底に行かせる気は無いって感じだな。


 それにしても、パチュリーの魔法は相変わらず凄いな。私も修行頑張らないと。


「見えてきたよ! あれが入り口!」


 にとりが指す方向に、一つの洞窟が見える。あそこから地底に向かうのか。魔法を使えば明かりなんて問題なしだ。


「それじゃあ、光の魔法を——」


「待って! ここは私の道具に頼ってよ!」


 にとりが大きな鞄を下ろし、何かを漁り始める。すると、一つの小型メカを取り出し、そのメカに取り付けられた電球が点灯する。更にそれは自動運転で、障害物を避けて進むらしい。


「なんだ、良いもの作るじゃんか」


「へっへ〜ん。ほら、行こう!」


 にとりを先頭に、洞窟内に足を踏み入れる。本当に真っ暗だな。オバケが出てきてもおかしく無いけど……


「ねえ、何か唸り声が聞こえない?」


 アリスが私の耳元で囁く。どうやらパチュリーも気付いているようで、警戒心を見せる。まさか本当にオバケがいるんじゃないよな?


「……ん? あんな所に桶があるよ」


 にとりはその倒れた桶に近寄り、中を覗く。すると、声を上げて驚き、その声が響いた。アリスは慌てて、にとりと同じように中を覗いた。


「この子は一体……」


 私とパチュリーも駆け寄って、中を覗く。すると、中には一人の少女が蹲っていた。


「どうやら、霊夢に退治されたみたいだな」


「そのようね。さすが、仕事が早いこと」


「早く私たちも追いかけようよ!」


 にとりに手を引っ張られ、先へと進む。余程あの子に驚いたのか、それとも本当に霊夢を追いたいのか……


「魔理沙待って。この先、道が二つに分かれているわ」


 アリスの言葉に足を止める。小型メカで照らしてもらうと、二つの洞穴が映った。ここの洞窟は迷路式なのか? それとも、ただ入り組んでいるだけなのか。


「ねえ、あっちから声が聞こえるわよ」


 パチュリーが指すのは、右の洞穴。そちら側に片耳を向け、耳を澄ましてみる。すると、爆発音が鳴り響いた。間違い無い、誰か戦ってる。


「応戦しましょ」


「もちろんだぜ」


 私は一番乗りで、右の洞穴へと走って行った。






 そこに辿り着くと、霊夢たちが何者かと弾幕ごっこをしていた。


 パチュリーの魔法で確認できたその者は、金髪のおだんごないしポニーテールに茶色の大きなリボンをしている。瞳の色は茶色だ。


 服装は黒いふっくらした上着の上に、こげ茶色のジャンパースカートを着ている。スカートの上から黄色いベルトのようなものをクロスさせて何重にも巻き、裾を絞った不思議な衣装をしていた。


「あんたらがキスメをいじめたんやな!」


 少々口調がおばさん臭かった。それにしても、あいつは糸を使うのか。となると、土蜘蛛……?


「あー、取り込み中悪いんだが。そこのお嬢さん、ちょっと話さないか?」


 私は彼女に話で解決しようとする。断られるかと少々思っていたがそんな事なく、あっさり攻撃を止めて私の所に歩いてきた。


「私は霧雨魔理沙だ。お前は?」


黒谷くろだにヤマメ。この巫女がキスメをいじめたのよ。それで追っ払おうとしたわけ」


「違うのよ。キスメが私たちに釣瓶を落としてきたのよ」


 こりゃ面倒くさいパターンだな。まあ霊夢が悪い設定にして、ヤマメに地底まで案内してもらおう。






 洞穴を抜けた先には、一本の橋があった。その近くの岩に腰掛けていた少女が、閉じていた両目のうち片目を開けて、こちらを見る。


 その女性は、金髪のショートボブで緑目。耳は先の尖った、いわゆるエルフ耳のようだ。髪の毛で隠れてそう見えるだけかもしれないが、恐らくエルフ耳だ。


「彼女はここの橋姫。後は頼んだよ〜」


「気楽にできるのが妬ましい……」


 彼女はギロっとした目でヤマメを見たが、呆れて立ち上がった。


「私はここの橋姫、水橋みずはしパルスィよ。こんな大人数で地底に行くわけ?」


「駄目かしら?」


「……別に」


 妬ましいは口癖なのか、小声でそう言っていた。この橋を渡った先から地底になるのか。


「まあ、精々頑張りなさい」


「急に上からになったわね。まあいいわ。それじゃあ、行きま——」


 霊夢がそう言いかけた時、来た洞穴の方から男の声が響き渡る。凝らして聞くと、聞き覚えのある声。


「よっと。うお、急に景色が変わった。それに大人数じゃねえか。今回の異変解決は手伝わなくて良さそうだな」


『幻真⁉︎』


「よっ。遅れて悪りぃ」

閲覧ありがとうございました。


主人公幻真、二話ぶりにご登場。この先何話も登場しない時が増えますが。

さて、まさかスペルカードや武器が盗まれるとは。異空間に隠しておいた方が良かったね。


次回はいよいよ地霊殿に突入です。

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