第97話 地底で起こった異変
地霊殿、始動。
雪の降る冬の博麗神社。
そんなある日、博麗神社の巫女である博麗霊夢を驚かす出来事が起こった。それは、博麗神社の近所に突然の立ち上る白い柱——間欠泉である。
普段なら何か出来事が起こると彼女は解決に向かうのだが、その出来事は彼女を驚かすと同時に喜ばす物だったのだ。 間欠泉は雪を溶かし、周りには人間、妖怪問わず体の疲れを癒す温泉が湧く筈だった。
——しかし、霊夢の希望的観測は外れた。 間欠泉から湧いているモノは、温泉水だけでは無かったのだ。
次々と湧き出る異形の者たち。地霊――地底に住む者たちであった。
〈博麗霊夢〉
一体なんなのよ……温泉水が湧き出たかと思いきや、地霊も湧き出るだなんて。しかもコイツら、中々しぶといし……!
「助っ人登場! って、苦戦してるな〜」
「遅いわよ魔理沙。こいつら、強いわよ」
そこらの妖怪たちと同じぐらいかと思ったけど、一筋縄じゃいかないようね。魔理沙も来た事だし、本気出そうかしら。
「お困りのようだね。僕も手を貸そうか?」
男の声がすると、目の前に桃花がスッと現れた。私も驚いたが、魔理沙も驚いていた。
最後に会ったのは守矢で宴会をした時だったかしら。この子、神様らしいけど結構自由人なのよねぇ。神出鬼没らしいし。妖怪の山に住んでるらしいけど、普段は一体何をしているのかしら。
そんな事はいいとして、さっさとコイツらを倒すわよ。
「——ふぅ、疲れた〜」
一通り湧き出てくる地霊を倒し、その疲れからその場に座り込む。桃花は興味深そうに辺りを見渡している。先程の地霊の正体を探っているのかしら。
魔理沙もその場に座り込んでいた。冬とはいえ、この辺は温泉の熱で暖かくなっている。そして、動いたぶん暑さが増した。今すぐ温泉に入りたいわね……って……
「もう入ってる人が!」
「あら、霊夢。地霊駆除、お疲れ様」
その正体は紫だった。呑気に温泉に入って寛いでいる。よく見ると、藍と橙もいた。
「おお! これはシャッターチャンスです!」
突如現れたブン屋こと文は、湯気で隠れる紫たちに向けカメラを構える。しかし、藍がカメラに湯をかけた事によって文のカメラは故障。カメラは御陀仏してしまった。
「自業自得よ」
「そんなぁぁぁ!」
文の嘆きが響き渡る。あんたもホント懲りないわね。
「みんなそんなに呑気でいいのかい? ここにはもう地霊がいないかもしれないけど、他の所はそうと限らないよ」
続いて現れたのは萃香だった。珍しく彼女も異変解決に同行するのかしら。文も取材の為に同行するだろうし、どうせ紫もついて来そうだし。
「私はアリスとかパチュリーの所に行って、地霊について調べて来る!」
魔理沙はそう言って、空へと飛んで行った。調べるなんて珍しいわね。いつもならそのままついて来るか、勝手に行動しているのに。まあ、何も知らないで挑むよりはマシかしら。
「では、ボクも単独でやらせてもらおう」
桃花はそう言い残し、その場から姿を消した。またどこかで会うかしら。
「で、萃香。あんたは心当たりある訳?」
「安心したまえ。ちゃんとあるから」
萃香も珍しく気が効くじゃない。取り敢えず、案内してもらおうかしら。
〈朝霞悠飛〉
「さーて、私たちも動くよ〜!」
ヤッホー! 悠飛だよ〜! 今はこの地霊が湧く異変を解決しに、刹那と千代と一緒に行動を開始するところ! 影ながら萃香たちを援護するよ〜。
「それで、心当たりはあるのかのう?」
「あるも無いも、地霊殿だよ!」
地霊殿——幻想郷より遥かに広大な地底世界に存在する旧都、その中心部に位置する巨大な建物のことである。
旧地獄——つまり、以前地獄だった場所の中心に建っており、勇儀曰く"偉そうにしている奴ら"が住んでいる。まあ、一般人には危険ってわけ。
名前とは裏腹に西洋風の外観であり、黒と赤のタイルで出来た床や、ステンドグラスの天窓が特徴。床暖房が完備されている。
そして、中庭には灼熱地獄跡に続く穴がある。地霊殿はこの穴を塞ぐ、いわば地獄の蓋のような役割をしているよ。
「とにかく、行くよ!」
千代を無理矢理引っ張って行く。刹那も笑いつつも、呆れながらついて来た。
〈霧雨魔理沙〉
本当は調べずに行こうとしたんだが、気が変わった。取り敢えず、原因を探る為にアリスに聞きに来た。
扉を開けると、上海人形が私を迎い入れて家の中に入れる。家の中を進んで広間へ着くと、アリスが別の部屋から歩いてきた。私は事情を話した。
「私自身も困ってたのよ。それで、調べたところによると、その原因は旧地獄にあるっぽいわね。でも、なかなか危険で私たちだけで行くのは危険だわ。霊夢も一人で行くわけじゃないから私の所に来たんでしょ?」
「うっ……ま、まあそうなんだけどよ。そんで、どうするんだ?」
「私は行くわ。怨霊を危険視してだけど……まあ、貴方が来てくれたことによって役者が揃ったけどね」
後ろを振り向くと、二人の姿があった。パチュリーとにとりだった。
「私もアリスに同意見よ」
「私もそんな感じだと思ってくれたらいいよ!」
「にとりに関しては怪しいけど……まあいいわ」
あのパチュリーが出歩くなんて珍しい。まあ、戦力に関しては大丈夫だろう。
「それじゃあ、地底に向けて出発だ!」
とある上空にて。一人の男が腕を組んで苛立っていた。彼は、ある男——幻真を探していた。しかし、気が掴めず中々場所が割り出せずにいた。それもそのはず。幻真は今、眠っているのだ。
「……奴は一体」
すると、突如彼の前にフードを被った人物が現れる。彼——幻真のクローンは、無属性のオーラを纏った刀を抜いて構える。
彼は目の前に現れた者に対して問いかける。
「貴様は何者だ」
しかし、その者は質問に答える事なく掌を向ける。そして、その掌から弾幕を飛ばしてクローンを狙う。だが、彼は咄嗟に弾幕を切り裂いて敵意を向けた。
「質問に答えろ!」
だが、その者は問答無用で弾幕を飛ばし、彼に攻撃の隙を一切与えなかった。流石の彼も苦戦を強いられる。隙を伺って斬撃を放つが、バリアを張られては防がれる。
謎の人物はフードを取り、姿を露わにする。クローンはその者の目を見てしまい、自我を失い始める。そう、その者は瞳だけで彼を洗脳したのだ。彼は必死に耐えるが、長くは持たなかった。
「これで貴方も私の下部」
光を失ったクローンの目には、何も映ってはいなかった。
閲覧ありがとうございました。
最後のクローンの相手は一体誰だったのでしょうか。
もしかしたら見当がつくかもしれませんが、それはまた先のお話。
次回は地底に乗り込みます。
不定期更新ですが、よろしくお願い致します。




