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初めに戻って繰り返す  作者: 山都光
2章-真・迷宮ガルダ編
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報告、そして…2

惶真に促がされリムルが説明する。

ひとつコホンとする。


なんだかマナ、カナ、娘のヴァニラからキラキラとした眼差しが向けられ気恥ずかしい気持ちになるリムル。

しかし惶真から頼まれたのだから頑張らないと。


(…よし!)


紙に書かれている≪神代文字イルフェリアス・ページ≫で書かれている文章を指さしながら説明していく。

リムルは昔から本を読んだりするのが好きだった。と言うより体が強い方ではなかったので体を動かして遊ぶよりも読書をする方が性に合っていたのだ。

どうやら自分には解読技能を有しているのもあり、色んな言語で書かれた文字も読む事が出来ていた。

その才が今は亡き夫との出会いとなり、今こうして新し出会いの機会に至っている。


(オウマさんは運命とおっしゃられておられましたけど、今の私ならその運命も信じられるかもしれませんわね)


「ん?どうした?」

「えっ、あ、いえ何でもありませんわ、ふふ」


自分でも思わず彼の方に意識を向けていたのかもしれませんね。

あら?キラキラとした視線がじと~とした視線に変わったような気がしますね。


はい。ちゃんとしませんと。



【この地に辿り着きしもの。玄関口にありてこの碑文に辿り着くでしょう】

【この碑文に書かれし文字は我々かつて神の子と呼ばれし者が使いし文字である】

【真なる玄関の先。それは森の奥にありし鏡の泉にあり】

【月夜の光に導かれ輝かく深紅の花が路を示すでしょう】

【条件に見合わず辿り着きし者には試練が待ち構えるでしょう】

【条件は3つ】

【一つは、この碑文を知ること。そして≪神代文字イルフェリアス・ページ≫の存在に触れる事】

【一つは、月の出ている夜の時間であること】

【一つは、悪意ある心を持たない純粋なもの】

【これらの資格を持つ者、泉に我らの愛するコトノハナを捧げよ】

【さすれば路が開けよう。そしてその路の先にて我は待とう】

【我らの残りし欠片の継承に至る者を】

【そして……何時までも待ち続けましょう】

【我らの愛の訪れを】

【いつまでも、いつまでも】


「と、ここまでが書かれていた内容になりますわ」


説明を終えたリムル。

その説明してくれたリムルに「ありがとう」と感謝する惶真。


さて、と惶真は思う。

この碑文からは二つの意味がある。

一つは『世間から反逆の堕ちた神と呼ばれている者達が迷宮ガルダを創り残したこと。そして、真なる迷宮に挑む方法について』

そしてもう一つは…


「なんだか恋文みたいだね」


そう言ったのは意外にもヴァニラだった。

意外な人物のセリフに視線を向ける。


「な、なによ」

「…いや、意外だなって思ってな」


恋愛事には疎いやつ、と言う感じがしていたで意外に思ってしまった。

もっとも恋愛事から遠い位置にいるのが惶真なのだが。


「……まあどうでもいいか。そう言えば、泉の探索の方はどうだったんだ?この碑文から条件は合っていない状態だったわけだが」


マナとヴァニラの二人に視線を向ける。

泉の路は『月夜の時間帯』。つまりは夜だ。日の出ている時間は条件に当て嵌まらない。


「うん。えっとね―」


マナが説明していく。

泉に調査をしたこと。

コトノハナを見つけたこと。

けどヴァニラ達が先日訪れた際と同じブラッドオーガが現れた事。

マナによって撃退したこと。そして気付いたこと。


「……泉から現れた、か」

「うん。ヴァニラが見つけたコトノナハに触れる間際に泉が揺れいだ気がしたの。それで出てきたの」

「…条件に合わず現れた時点で、ブラッドオーガの出現は不適格による試練だと言う事だな。条件は≪神代文字イルフェリアス・ページ≫の存在、夜の時間、そして悪意のないもの。しかしなぁ」


腑に落ちない点があった。

それは今までにもこの村の伝説のように語られている事から『コトノハナ』は有名所で、実際日の時間帯に訪れている者もいるはずだ。聞いた話では日の時間でも手にした者はいると言う事だ。しかし、今回や前回のヴァニラの件のように≪ブラッドオーガ≫が現れた噂は聞いていない。そのような存在が現れると知っていては泉に近づこうとする者はいないはずで危険視されているはずだから。

いったい何が要因となったのだろうか?

そう考えていると、ヴァニラがポツリと声に出した。


「たぶん今回に関しては私が原因だったんじゃないかって思うんだよね。それとあの日のことも」

「それはどう言う事だ?」


ヴァニラ曰く、『コトノハナに触れる前に前の友人と思っていた者達の裏切りに対して”怒り”の感情を持っていた事』そして前回は『二人がコトノハナを見つける前に私がカインを”怒らせ”、ソラハは私に向ける彼の心に”嫉妬”していた』。

そう聞いてなるほどと思った。


条件には悪意なき純粋なもの、とあった。

負に近い感情を持って触れる事が厳禁だったと言う事だろう。

おそらく今まで村の者が手にしたのは純粋に二人の為にと手にしたからだろう。

不純が含まれていた場合には手に出来ない様になっていたんじゃないかとも思う。


前回は特に負の感情のなかったヴァニラが見つけた。

そして今回は負の感情のなかったマナが見つけた。


おそらくはそう言う事だったのだろう。


「マナちゃん、ありがとうね。娘を、ヴァニラを守ってくれて」

「ううん。気にしなくていいんだよ。だって私とヴァニラはもうお友達なんだから。助け合うのは当然なんだよ」


リムルの感謝に交じり気のない純粋な笑みでマナは答えている。

純粋で無垢な所がマナの良いところだ、と思う。



「ありがとう、マナ。……お兄さんにお願いがあるの!」

「別にいいぞ」

「私も一緒に連れて……今、なんて?」

「別にいいぞ、って言った」

「……なんで?即断られるだろうから、しがみついてでも、何度でもお願いしてでも!って覚悟してたんだけど?」

「お前の目が真剣だったからな」

「えっ?」

「それに勝手についてこられるよりは、視界の中にいる方がまだいい。そう判断しただけだ。ただし自分の身は自分で守る、それが条件だがな」

「本当にいいの?」

「しつこいぞ。それに、保護者の許可も出ているからな。無下には出来んさ」


そう聞いたヴァニラは母であるリムルに向く。


「うん。本当は危険な事をしてほしくないわ。でもその人の人生はその人のもの。それはたとえ娘であっても同じだと思うの」

「お母さん…」

「それに、私がオウマさんに同行するのに、あなた一人置いていくのも気が引けるもの」


その母の発言にヴァニラはギギギと惶真に顔を向ける。

本気?

ああ本気。

なんで?

リムルが必要だから。


目でお互いに語り合っていた。


「なんでぇ!お母さんは体が弱いのよ!それに―」

「≪神代文字イルフェリアス・ページ≫を解読出来るリムルは必要だ。それとリムルは俺が責任を持って守るから問題はない。この件に関してはリムルと話し合いお互いに決めたことだ。だから問題はない」

「はい。守ってくださいね、オウマさん♪」

「ええ!リムルだけズルイ!」

「そうなの、私達も守ってほしいの!」

「「ズルい『の』!」」


ブーブーと「ずるい」と不満の声をあげるマナとカナ。


「……なら置いて行くぞ?」

「ごめんなさい、調子に乗りました」

「ちょっと憧れただけなの」

「「だから見捨てていかないで『なの』!」」

「……分かれば宜しい」


「…大丈夫なのかな」

「ふふふ…仲良しね」


コントみたいな3人になぜか不安感が募るヴァニラ。

微笑ましそうにやり取りを見ているリムルだった。


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