海は♪広いな♪大きいな♪…向かってくるは海賊船?
ザァ、ザァと軽快に海を走る飛沫。
惶真は船の一室の窓から外の様子を眺める。
(気持良い潮風に穏やかな海とその景色、絶好の航海日和だ!……そう思っていたんだけどな)
「うぅ~」
「はぅ…なのぉ…」
魘される様な呻き声が二つ。
その声の方に視線を向ける。
そこに二つのベッドがあり、それぞれに幼い外見をした少女が横になっている。
「大丈夫か?」
そう声を掛けると、2人の少女は苦しさのある表情でこちらに顔を向ける。
2人のその顔は目元や髪の色等の若干の違いはあるが殆ど同じ。
「うぅ、気持ち悪いよぉ~うぅ…」
顔色が普段から色白だから分かり易く、その顔は青く、そして気持ち悪いと訴えるのはマナだ。
紫の髪をアップにしている。小さいポニーだ。
掛けている毛布から赤い衣が見える。惶真がエルドラの町でマナに買ったドレス風の衣装だ。
「うぅ、頭が回るようなのぉ~うぅ…」
同じくしんどそうに青ざめるもう一人の少女。名前はカナと言う。
双子故にマナと同じ顔の造りだが、紅い髪をしている。
同じく掛けている毛布からは白と紺の衣が見える。
カナはメイド風の衣装を着ている。こちらも惶真がエルドラで買ったものだ。
2人を見比べて、顔色は悪いがマナよりはカナの方がまだましのようだと思う。
次の目的地である、別名迷宮大陸に向かう船に乗りしばらくして2人が船酔いしたのだ。
アララ、と思いながら一先ず二人を安静にさせる為に、船に用意されている指定の自分達の部屋に向かった。
そして今に至っているわけだ。
「しかたないな。ほら、これでも飲んでもう少しおとなしくしてろ」
そう言うと惶真はウエストポーチから二粒の丸薬を取り出した。
船酔い用に購入しておいたものだ。
「初めての船旅は酔いやすい」とバーのおじさんから教えられたものだったりする。
惶真だけならば必要はなかったようだが。
横になっていたマナとカナが少し身体を起すと船酔いの丸薬を渡す。そしてそれぞれの手に持った酔い冷ましの丸薬を2人はパクッと口に入れる。
丸薬の苦みから若干眉根をしかめる2人。
「うぅ…苦いよ…でも少しマシになった気がするわ…」
「うん…ごめんなさいなの…」
「気にするな。いいから今は水分を取ってもうしばらく横なって休め」
「「はぁい…」」
テーブルに置いてある水差しから少し水を飲んだあと二人とも横に戻る。
横になる時に布団を口元まで掛けながら「なでなでしてほしいな…」と上目遣いで調子に乗ってきたが、惶真は、まあ良いかと撫でてやった。
2人は嬉しそうだった。
それからしばらくして効果が効いたのか2人の顔色もよくなった。
「う~んっ!治った~!」
「うん。治ったの!」
「それはなによりだ」
♦
もう大丈夫のようだと、マナとカナを連れ船の甲板にやってきた。
やはりせっかくの船旅だ。部屋からでなく外からこの絶景の海の光景を目にしておきたかった。
体を解す様に伸ばす。そして海の景色や匂い、空気と言ったものを銘一杯感じ取る。
新鮮だった。
元の世界である日本では旅の様な事しなかったからだ。
マナとカナに目を向ける。
もう船酔いの様子もなくマナとカナもはしゃぐ様にワイワイと海を眺めている。
その様子はただの子供の様だった。
その様子を微笑ましいなと思いつつ、ふと考えてしまう。
(……1人だったら、どうだったろうか?)
そんな考えが浮かぶ。
1人を望んだのは自分自身だ。煩わしいと一緒にこの世界に召喚されたクラスの連中から離れた。
しかし今こうしている自分。
他人などいらない、そう思っていたのに。
「…そう思ってたんだけどな」
そう呟きが零れつつ己の心の変化に苦笑する。
正直悪くないなと思ったりしていたのだ。
そうしていると、3人の男が惶真の方に近づいてくるのに気付く。
横目に確認する。近付く3人は違いのある軽装ではあるが鎧を当てておりそれぞれが剣を腰にしている。
冒険者の類だろう。
3人の顔を見ると、どこか惶真を馬鹿にしている様なニタニタァとした笑みを浮かべていた。
(面倒なのが突っ掛かって来た…)
面倒事にやってきたと顔に出さないように内心溜息を付く。
そして近付いてきた気持ち悪いニタついた顔で男達が惶真に向かって声にする。
「おうおう!こんなガキみたいなのが冒険者とはなあ!」
「…本当だな。子供連れで何をしに行くんだかなぁ!」
「お遊戯なら、家に帰ってやりなぁ!」
3人の顔を見てふと霞ではあるが浮かんだ。
たしか船着き場の受付にいた様な気がすると。
なんとなく嫌な気を惶真達に向けてきていたのでどうやら片隅にではあるが覚えていた様だ。
もっとも気にする程の事じゃない。
確かに面倒だが、この3人の男は脅威には全くならない。
それくらいのレベルの連中だ。
自分と相手の力量も推し量れないのだから。恐らく成り立ての冒険者だと、あの時に惶真が【赤】のランクだと知り突っ掛かって来た馬鹿共だ。
”心眼”を用いて能力解析する必要もないと判断する。
この様な人材にレアな技能を有しているとは全く思えなかったからでもある。
無視しようかどうしようか考えているとマナとカナが傍に戻ってきた。
どうやら面倒ごとに巻き込まれている察知したみたいだ。
マナもカナも3人の男たちを睨んでいた。
「なに、この人達?」
「私達に何か用なの?」
威嚇する様に睨むマナとカナにガハハッと馬鹿みたいに笑う3人。
「おいおい!ガキどもが睨んでくるぜぇ!坊主よぉガキの教育がなってねぇなぁ!」
「まあまあ、相手は所詮子供ですからねぇ。礼儀がなくて当然でしょうぜっ!」
「そうだなぁ、何なら俺達が一丁教えてやろうぜぇ!勿論、テメェらの体になぁ!」
好き勝手に騒ぐ馬鹿共に呆れ果てる。
まったく興味の欠片もなくなった。元々なかったが。
ただ「はぁ…」とあからさまに分かる様にと惶真は溜息を付いた。
その様子に目の前の3人の冒険者の男共は馬鹿にされたと憤りと感じ殺気立って惶真を睨みつける。
ちなみに周囲に他にも人はいたが、厄介事は御免と遠巻きに眺めたりするのみだった。
一発触発な、正確にはやる気なのは冒険者の男達3人だけ、な状態のその時だった。
船のクルーの男が大きな声を上げ叫んだ。
「た、大変だあ!2時の方向から船が接近して来たぞぉ!」
「ドクロマークありっ、海賊だぁ!!」
その叫びに船はざわつく。
(海賊船…)
惶真は2時の方向に目を向ける。
マナとカナも同様に船の淵にしがみ付く様にその方向に目を向けた。
目に一隻の大型船が近付いていた。
その船の帆には如何にもなドクロが描かれていた。
惶真の目には、敵船にいる者共が「おぉー!!」と雄叫び声を上げている様子が映っていた。
明らかに好意的なものでやって来たのではないと理解できた。
「おいおい、ありゃ…」
「マジか、あれ、海賊船じゃねえか!」
「まじかよ、付いてねえなあ、まったく!」
冒険者の3人も同様に近付いてくる海賊船を見た後、惶真達の事など気にせず慌てて何処かに走って行った。
ざわざわとなる船。
接近しようとする海賊船にこちらの船も応戦するも、相手の海賊船は中々頑丈な造りの様だ。
仮にも迷宮大陸に向かう船艇だ。それなりの準備がされているにも拘らずである。
相手もそれは理解しているからこそなのだろう。
憑りつかれるのは時間の問題となった。
そんな中、惶真達は……
「ほぉ、あれが海賊船かぁ。帆にドクロとかまんまな感じだ。いいなあ、うん。非常にいい」
「ねぇ!オウマぁ!?なに呑気に海賊船を見てるの!みんな慌ててるのに!」
「ご、御主人様、どうするの!?憑りつかれるのも時間の問題なの!」
マナとカナは海賊船の接近と周囲の慌ただしさに困惑しているのに対して、惶真は慌てる様子もなくただただ迫る海賊船に感激しているのだった。
普段見れない……少なくとも現代の地球においてあのような如何にもな海賊船は見られるものではない。
興味深いものが見れて大変満足しているのだった。
無論慌てていない理由は特に脅威に感じないからである。
「まあまあそんなに慌てる事もないだろ?あれはどうやっても憑りつかれる感じしかないからな。なら堪能しとけって。あんなの見れるものじゃないんだからな」
「「でも~」」
「たくッ……おっ、どうやら来るみたいだな」
その言葉と共に船が付けられたのだろう。一瞬その際の衝撃で船が揺れる。
またそれと同じく、相手の海賊の雄叫びが轟いた。
「オ、オウマ…そのぉどうするの?」
「ん?どう、とは?」
「その、私達も戦うの?」
「海賊の人と戦うの?」
「ああ…戦う気なんて俺にはないぞ」
「えぇっ!?」
「でも、なの…」
戦う気はないと言う惶真に困惑の声を漏らすマナとカナ。
そんな二人に惶真は自分のスタンスを伝える。
「戦う気はないが、向かって来る敵は遠慮も躊躇いもなく潰す。まああれだ、正当防衛ってやつだ。被害が及ばない限り俺は動かない」
「でもさぁ、船が壊れたら困るよ!」
「そうなの。溺れるのは嫌なの!」
そうしていると周囲で戦いの音が響いていた。
他人事のように「おぉやってるなぁ~」と声にすると、1人の海賊の男が現れた。
荒事で鍛えられた筋肉のある体。頭には青いバンダナを巻いており素肌にチョッキと、いかにもな斧をその手にしている。
それを見て(…何だか、ゲームに出てくるテンプレ的な海賊さんだな)と惶真は思った。
「オラオラァ!そこのガキどもぉ!金目のもん持って―」
「煩いな」
大きな声で恐喝してくる海賊に、「煩い」の一言で相手のセリフが言い終わる前に相手に接近する。そして近付かれたと認識した瞬間、相手の男は惶真の蹴りを受け海に飛ばされていった。
飛んでいくと共に「あああああぁあぁーー!?」と言う情けなさのある叫びが木霊した。
マナとカナはその様子を見て相手の人に「オウマ『御主人様』に挑むなんて馬鹿な人だったな『の』~」と寧ろ同情するのだった。
「あれ、下っ端の戦闘兵って所だろうか。チート過ぎるのも考えもんだな……これから行くとこの魔物に期待するかな」
チート過ぎて強敵と言える人間の存在がいない。それはそれで退屈だと思うのだった。
溜息を付いた後、マナとカナに向き直ると二人に”覚醒”する様に告げる。
今は幼女の姿の状態なのである。戦闘行為が可能な少女モードに変化する様に伝えたのだ。
「わかった!」
「了解なの!」
マナとカナはそれぞれの指に填めている指輪に口付け“覚醒”を発動させた。
すると2人の身体が魔力で包まれる。そして2人は幼女の姿から少女モードに変化した。あとそれぞれの武器も取り出した。
2人の指輪には、惶真の固有技能“恩恵”の力の一つ“変成”の効果が付加されており、指輪を介す事で”変成”の魔力にてその姿を変化させる事が出来るのだ。またその指輪には”空間魔法”の1つである“収納魔法”も付加されているのだ。この指輪にはそれぞれの武器が収納されているのだ。
マナが取り出したのは十字型の細身の剣。
カナが取り出したのは十字型の杖だ。
「その状態なら、まず死ぬような事態にはならないだろう。とにかく向かって来た奴は全力で倒せ。相手を殺すのが無理なら戦意をとにかく奪え。もし相手を傷付けるのが嫌とか腑抜けたら置いて行くからな」
「分かったっ!海賊は倒す、それでいい!」
「戦えるのか、怖いけど、頑張るの!」
「オーケーだ。その意気だ。まあ、相手にするのは向かってくるのだけでいいしな。他がどうなろうとほっとけばいいからな」
+
海賊との戦闘が始まった。
惶真は向かって来る連中のみを相手取る。
向かって来る者は『剣』は使わず体術のみで相手を海の中に叩き落していく。
『剣』を抜かず体術メインにしているのは戦いにおける己の身体運びを確認する為である。
だが、『剣』はせっかく役に立てると思っていたのか不満気であったが。
“ザンネンデス、ヤクニタテズ”
(気にするな。お前を抜くのはこの後からだからな)
“ウゥ、ワカリマシタ”
残念と落ち込み気味の相棒に苦笑すると惶真はマナとカナに目を向ける。
マナとカナもそれぞれ襲い来る海賊の男を相手にしていた。
「おうおう、お嬢ちゃん。大人しくしてれば痛い目見ずに済むから、大人しく俺の前に膝ま付いてなぁ!」
「女子供と油断しない事だよ、おじさんッ!」
マナは女子供と油断している相手をその手のクロスレイピアを駆使する。
”覚醒”している今のステータスなら相手をいなすのは訳ない。
まして相手は女の子供、しかもマナの纏っている衣装が赤のドレスと冒険者とは見えない格好と言う事もあり油断する者が多い。
そんな相手を得物のレイピアで相手の武器を持っている利き腕や足の筋を狙い無力化していく。
(マナもなかなかやれるな。それに相手を傷付けるのにあまり戸惑いはない感じだ)
「おぉー!?なんだ、こりゃ!?動けねぇ!」
「”封縛縄”なの。大人しくしていてなの。大人しくしてくれるならこのまま穏便に済むの。だから暴れないでなの」
「うごっ!?縛りが、きつくなり…があぁ!」
カナもマナ同様に女子供と、しかもカナが身に纏っているのも冒険者に遠い紺を基本としたメイド服を着ている事から油断している襲い来る者を”白”の捕縛魔法を駆使して動きを封じて行く。
白い鎖状の網が相手を縛り拘束する。しかも暴れれば暴れる程魔法の拘束力が上がり相手を縛る。
捕縛された者は暴れるほど上がる縛りの強さに叫びしだいに気絶していくのだった。
(カナの魔法も中々なもんだな。成長が楽しみではあるな。それにカナも怯むことなく立ち向かっている。なんとなくマナよりも…)
+
そうして向かって来る相手。その数が10人になる頃にふと近くにて冒険者の男と海賊の男が戦っている光景が映った。
どうやら冒険者の方が不利なようである。
(ん?あれは、たしか)
奇しくも冒険者の方に見覚えがあった。先に惶真達に絡んできた冒険者の一人だった。
「オラァ!死ねやぁ、コラァ!」
「くっ、こんな奴に!うわぁ!?」
冒険者の方の持っていた剣が海賊の斧で弾かれ飛ばされた。
無手となった冒険は迫る海賊の斧の一撃を後ろに飛び何とか躱した。
「へへ、終わりだなぁ」
「くっ、こんな…! おい、そこのお前等!手を貸せ!こいつを倒せ!」
「あ?…なんだ、ガキじゃねえか」
追い詰められ己の危機を悟った冒険者の男は、丁度視界に映った惶真達に手を貸せと、協力とも言えないような言い方で求めてきた。
海賊の男も惶真達の存在に気付き増援かと危惧しつつも、惶真達が子供だと知り、逆に「こんな子供に手を借りるのか?」と冒険者の男に侮辱的な視線を向けていた。
惶真はただ呆れていた。
この男は同じ冒険者だから助けるのは当然とでも思っているのだろう。
だが惶真は違う。
惶真は自分に利がなければ動く事はない。
しかも先程友好的な関係と言い難い同士なのだ。
マナとカナも惶真の様に何を言ってるんだろうかこの人?と言うかのような表情を浮かべていた。
惶真はどうしようかと1秒だけ考え『コイツに絶望をプレゼントしてやろう♪』と笑みを浮かべる。
「悪いがお断りだ。さっきあれだけ俺達に先輩面してたんだ。先輩らしく窮地に陥った際について、俺達にどう切り抜けるのか見せてくれよ」
「なっ!?」
冒険者の男は焦った。そして、
「なに、言ってんだ!?同じ冒険者だろうが!なら助けんのは当然だろうがぁ!!」
と甘い戯言を叫ぶ。それをズバッと切り捨てた。
「知らねぇよ。俺とアンタの関係はただの他人だ。俺は他人なんてどうでも良いんだよ…ふっ。まあがんばれや」
「お、おいっ!?」
「何だかしんねぇが、当てが外れたみてえだなぁ、へへ」
「ひィィ!?」
海賊の男はその得物を振り上げる。絶望の表情を浮かべる冒険者の男。
海賊の男がその得物を振り下ろそうとする。「助けて」と無様に叫ぶ冒険者の男。
そのやり取りの最中、惶真はマナとカナに”念話”で話す。
(まあこれでアイツも終わりだな。ああ、マナ、カナ。あまり見て良いもんじゃないから眼を閉じとけ)
(……分かったわ)
(…分かったの。さようなら、哀れな人)
「あばよぉおぉ!」
「ぎやぁあぁ!!」
そして冒険者の男は、海賊の男によって殺された。哀れな絶叫を上げて。
それを惶真は特に思う事はない。
この世界では力の無い者が蹂躙され朽ちて行く。そんな世界なのだ。
「ガハハっ、なんだか知らねぇが、次はテェ―――!?」
冒険者を殺した海賊の男は次の標的にと惶真達を見定めようとしたが、惶真の蹴りを受け海の彼方まで吹き飛んでいった。
+
そうこうしているうちに、襲撃騒ぎは沈静化し始めた。
襲撃してきた海賊の殆どが倒されたか捕縛され、残りは逃亡したのだった。
元々冒険者が多めに乗り合わせていたので撃退にまで至れたのだ。
まあこの船に怪物チートである惶真がいる限りは落ちる事はなかっただろうが。
無論こちら側にも被害はあった。
数名の冒険者が負傷、酷く殺害された者もいた。
その中には惶真達が見限った男も含まれている。
その男の仲間の二人は、その男の死を嘆いていた。
そいつの死に方を二人の男は知らない。
知れば惶真達に対する恨みという憎しみを向けるであろうから。
面倒事は無視とダンマリを決め込んだ。
そしてその後の航路は穏やかで特に問題も起きる事はなかった。
ちなみに襲撃後、マナとカナは”覚醒”の状態での、初めての命を掛ける戦いに出て疲れが出たのと魔力を消費した疲労から自室のベッドにてぐっすりと眠りに就いた。
安眠する二人(ちなみに今は当然幼女の元の姿である)を眺めつつ、
「まあ頑張っていたからな。今はゆっくり休めばいいだろ。しかし、マナもカナも意外とそこそこ戦えるのが分かったしな。それなりの収穫はあったって感じだな」
穏やかに眠る二人の髪を流すように撫でてやるのだった。
その惶真の撫でる感触にムフフ…と夢心地でいる二人だった。
+
そして――数日が過ぎ、いよいよ目的地に到着した。
惶真はいま迷宮大陸―ゲルフェニード―に足を踏み入れる。




