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完璧織姫と純情彦星  作者: 自爆コマンダー
3/3

恋流れ天の川 〜Lovers  Milky way〜

読んでいる方がいるかどうか分かりませんがお待たせしました。7月の話なのにもう8月です。遅筆ですね。



PS.最後のシーンはこち亀のBGMでも流してお楽しみください。

 デート、それは恋人たちの心のふれあい。


 デート、それは待ちに待った至福の瞬間。


 デート、それは────



「財布がすっからかんになる世紀末だぁぁぁあああああ!!!」

「何よ騒がしいわね外に出たら金を使うか路頭に迷うかのどっちかじゃない」

「うるさい!確かにちょっとの出費には目を瞑るがこれじゃ明日から俺が路頭に迷うわ!」

「デートぐらいで路頭に迷うなんて人生に迷うのと同義よ」

「あるぇなぜか俺が説教受けてる!?」


 7月7日。七夕の今日、朝から拉致られ回りくどい説明を受けた俺は(かな) () () (かな) ()とデートしている。


 そうデートだ。あのデートだ。Dead(デッド)じゃないDate(デート)だ。実際俺の財布が死にそうだがこれは紛れもなくデートだ。


 デートなはずなんだが……


「デートは何するものなのか激しくこいつに問いただしたい」

「男女が日時を決めて会うこと。その約束よ」

「ああそうだ。じゃあデートは普通何するものだ?」

「買い物かしらね」

「まぁそれが一般的だろう、だがな……」


 俺は買い物袋の中身を奏江に見せる。


「これが普通の買い物かァァァ!」


 そこには工具やら危なっかしい薬品や液体はて意味不明なクリーチャー然としたナニカがふんだんに詰め込まれていた。


「普通ね」

「言い切ったァ!?なんの臆面もなくこれらを普通と言い切りやがったァ!?お前にはこのラベルに貼られている『超危険マジヤバイ』の文字が見えないのかよ!?」

「そんなのそこら辺の洗剤にも貼ってあるでしょ?年寄りとお子様には蒟蒻(こんにゃく)◯リーを与えるな、みたいな?」

「不思議と反論できないのがもどかしい!?」

「あ、そういえば買ってあるわよ蒟蒻◯リー。食べる?」

「さらっとマシなもん入ってることに堤防くんビックリ!?」



 そうなんやかんやあってデートは続いたのであった。


 しかし相手はあの金喜莉奏江。歩く大天災トラブルデンジャー・サイクロン(なんか勝手に自称してた)とのデートはこの平均男ミスター・アベレージマン(なんかそう言われているらしい……ちょっと気に入っている)たる(みなと)(てい)(ぼう)には、文字通り身を削るほどの苦行だった。


 以下はその中のほんの数例である。


・立ち寄ったコンビニで強盗発生。メイン盾として突撃(強制)K.O.。事件解決。


・昼飯で立ち寄ったファミレスでまたもや強盗発生。メイン盾として突撃(強制)からの人間雑巾掛け(巻き込まれる)K.O.。事件解決。


・最後の買い物と称して近くの市場(なんかヤバそうなの売ってた)に行くと暴走族、ヤのつく人達、マフィア、ギャング、その他各国のそっちの人達とグルメレースで優勝。お前ら絶対暇だろ。

 途中大抗争へと発展したが、いつの間にか巻き込まれた超強い学生の人が全員ぶっ飛ばした。(勝因)



 そんな大事件に首を突っ込んで(俺は巻き込まれている)いると、もう時刻は夕方になっていた。とりあえず荷物は一旦奏江のでっかいに置いてきて神社の七夕祭りに来ました。

 屋台が並びが美味しそうな匂いが漂い奥から太鼓と笛の音色が聞こえてくる。あ〜あのピーヒャラが癒されるは〜、今日は特に。


「戻ったわ」


 そんな風に祭りの雰囲気を味わっていると奏江がトイレから帰ってきた。


「おう、お帰り。八時から花火だってよ、祭りって感じがするな」

「へー。ナパームでも仕込もうかしら」

「お前はテロリストか」


 なんか洒落にならないこと言っているが気にしたら負けだ。特にこいつに関しては……


「せっかく来たんだ。とりあえずいろんなとこ回ってみようぜ」

「そうね。じゃあ、あそこ行ってみようかしら」


 そう言って奏江が指差した先には『的屋』と書かれた屋台があった。


「射的か……行ってみるか」

「商品全部落として店を畳ませるわよ」


 なんかあり得ないこと言ってるがとりあえずやることになった。

 的屋はよくある通り三段の棚に所狭しと景品が並べられていて、銃はコルク栓式銃で弾は3発。


「それで景品はゼロ……と。まあこんなもんか……」


 普通だな。取れない事はまぁ多いだろう……


「奏江、そっちはどう……でぇっ!?」


 自分の結果を評価して相方の方を聞いてみると……うん、まあ当然のように──


「バカな……!跳弾だと!?」

「見ろ!弾がまるで生きてる見てぇだ!」

「どんどん落ちるぞ!」

「跳ねれば跳ねるほど勢いを増している……どういう原理だ!?」

「物理法則が乱れている……!」

「嘘だろ……劣悪なコルク栓式銃を選んだってのに……」


 コルク弾を跳弾させながら次々落としているわけです。半端ねぇな……というか最後の、仕込んでんじゃねぇよオイ。


「今度は打ち返したぞ!」

「銃をヌンチャクのように……!」

「そうか……確かにその手は反則じゃない合法だ!」

「弾がますます加速しているぞ……!」

「そんなバカなァァァァァ!!」


 そんなわけで店を一個潰しましたとさ。それにしてもこんなに景品持ち歩けねぇよ……と思ったら奏江が、


「別にいらないから好きなだけ持って行きなさい」


 とその場で全部放置した。子供たちがたくさん寄って来て自由に取りまくっている。


「いいのか?」

「あっても邪魔なだけよどうせ使わないし」

「さいですか……」


 要するに店潰したいだけなんですね。



 こうして金喜莉奏江の屋台潰しが始まったのであった。



・金魚すくい


「来たな、見よ!この激流・渦潮発生装置と通常よりさらに破れやすい素材を使った特製紙ポイ!そして育てに育てた凶暴性残虐性抜群のこの金魚たち!これらを前にして金魚たちをすくえるかァ?すくえるかァ?す・く・え・る・かァ〜?」

「いや客取る気ねぇだろお前」

「問題ないわ」


 そう言って奏江はレッツトライしていく。うん、相変わらずその腕のがものすごくブレて見えます。もうこの時点でスルーするあたり俺も慣れてきたなーと思うこの頃……


「は、速い!?」

「あの凶暴な金魚たちが為す術もなく宙を舞っている!?」

「す、すげぇ……」

「ぐっ、なんて奴だ……だがよ嬢ちゃんそんな動きはいつまでできるかな?」


 主人のいうとおり既に奏江の紙ポイは限界を迎え始めていた。そして最後の巨大な一匹に差し掛かった時──


「や、破れた……!」


 紙ポイが破れ──


「いや、まだだ!?見ろあの手の動きを!」


 ても続行し始めました。……ルール的に良いのかそれ?


「激流に身を任せて同化している……!」

「それに対して金魚の方は激流に抗っているせいか動きが鈍い……!この勝負、奴の負けだ!?」

「な、なんだとォォォォォ!!?」


 そして最後の一匹が掬い上げられたのであった。


「そ、そんなバカなァァァァァ!!!?」


 金魚すくいの屋台に断末魔が響いた。



・型ぬき菓子


「ふははははは!この割れやすさ、複雑な型の数々!いくら正確に且つ力加減に細心の注意を払っていようとも──」

「見ろあの手の動き!」

「まるでミシンやマシンガンのごとく高速に切り抜いている……!」

「あれだけ動かしてなぜ割れないんだ!?」

「しかも両手という同時進行……!」


 3分もかからず全部型抜き完了。


「嘘だドンドコドーン!!?」


 景品は残らず掠め取られて捨てられた。



・ヨーヨー釣り


「グヘヘヘァハハ!?貴様がいくら──」


 当然のごとく全部獲ったのでカット。


「とっつぁんよ……俺ァもう疲れ──」


 ヨーヨーはそこらへんの子供にあげた。主人がなんか言ってるがそっとしておいた。



 その後めでたく(?)全潰ししてクレープ食いながら一息ついている。


ほも()()()()()ふぁ()()()()()ふぁ()()()()()

「絶対来年から出禁くらうな」


 ここから見ても各々の屋台跡地で沈んでるのが分かる。宝引きなんて繋がってないのに引き当てるという物理法則を軽く超越してた。いや的屋の跳弾もおかしかったな。とりあえず合掌しとこう……ご愁傷さまです。


「あと12分で8時ね。そろそろ場所でも移動しましょ」

「そうだな。でもこれだけ沢山いたらさすがに混んでるよな」

「問題ないわ特等席を用意してるの」

「なんと抜け目ない……」


 いや今更か……ま、何はともあれ場所が確保されてるのはありがたい。そう思いながら奏江の後に付いて行く。


 付いて行ったんだが……


「特等……席?」

「特等席よ」


 なぜか本殿の屋根に来ました。いや、屋根に着いた時点で気づけよ俺!


「流石にヤバイだろ!」

「大丈夫よ暗いから夜間迷彩の必要性はないわ」

「主に罰当たり的な意味でだ!」

「やんちゃな青春の一ページだと思えば良いじゃない。それに考えてみなさいよ、事前に流した『七夕祭の日に神社で告白すると結ばれる』と言う偽情報を鵜呑みにしたカップル共が鉢合わせして気不味くなる様を一番に見れるのよ?」

「腹黒ッ!?え、なに特等席ってそういう意味!?花火じゃなくて気まずいカップル共を鼻で笑う事だったの!?」


 そう言った途端奏江はキョトンとした。え、当然じゃない告白失敗というメシウマイベント以外なにがあるのよ?と言っている顔だ、完全に。


「お前なぁ……──」


 瞬間、夜空に開花の音を響かせて花が咲いた。

 赤、緑、黄、青、白、大中小形模様様々な花が次々と打ち上げられていく。


「………」

「………」


 そんな咲き誇る花畑に、俺の呆れは既に吹っ飛んでいた。下から聞こえる太鼓と笛の音、提灯の暖かな光と人々の活気、まるで宴会のような光景にしばしば現実だと忘れてしまいそうになる。それほど幻想的で終わってほしくないと考えてしまう。


 ふと花火を見上げる彼女の顔を見ると、色とりどりに照らされた色気が感じられる様は流石は希代の大天才で完全完璧超絶美少女と納得してしまうと同時に、ああ……俺のような凡人普通平均真っ盛り純情DTボーイにも彼女なんてできるんだ……と欲望の恥から滲み出た涙が頬を──」

「なに勝手にモノローグいれてんだオイ」

「あなたの心の淵を私が代弁してあげてるのよ」

「代弁どころか通り越して変な思考してる奴になってるじゃねぇか。つかいろんな意味で公開ラブレターよりひでぇぞ」

「あら嬉しい事言ってくれるじゃない。でも口で言えないあたりどうしようもないヘタレね」


 と、感動的な展開にはならず結局いつものような感じになるのであった。やっぱどう足掻いてもこう言うオチになるのかねぇ……?


「………」


 でも今日は色々特別な日だし、ちょっと男気出しますか。


「………!!?」

「……口で言うより行動だろ?」



 そっと奏江の肩を抱く。優しくだ。ギュっていうよりふわって包み込むような感じで……


 未だに空ではボンボン鳴っているが今俺たちの周りでは全くの無音だ。とても静かだが居心地は悪くない。



「……ちゅー…するか……?」

「キスって言いなさいよ……まぁ…別に構わないけど……」



 その先数分ぐらいはあんまり覚えてない。いや覚えてはいるけど言葉にはできない……おそらく一生できないだろうと思う。そんな一時だった……






 なにも覚えていない。

 容姿端麗最高思考回路超天才不可能の文字なしの私が表現できない。いや、やろうと思えばできるんだろうけど何と言うか私自身が拒んでるというか……なるほど私が私にできないんなら仕方ない。だって私なんだし。

 でも嫌ではなかった。嫌ではなかったんだが……


「………」

「………」


 なんか気不味い。

 なんかさっき自分で気不味いカップル共プギャーしようぜとか言ってたけどまさか自分たちがなるとは思わなかった。


「あの……奏江さん?いや奏江様?それともゴールデンカナーエ様?なんていうかその自分…アレがアレでしたでしょうか……?」

「……アレってなによ」

「いやあの……下手だったりで機嫌が275度くらい悪かったとかそんな……」

「いや別に………嘘、超最悪だった」

「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」!!!?」

「嘘」

「………」


 港くんはショック死寸前から立ち直った模範的で分かりやすい表現をしていた。得点あげるなら10点満点だ。オリジナリティで言えば5点以下だが……


「ぉぉぉぉぉぉぉ………!」

「……フフっ」


 でも先ほどの気不味い空気はなくなった。そこには感謝しようと思う。

 やっぱり港くんをからかうのはいつも楽しい。彼の分かりやすさがたまらなく愛おしい。分かりやすいだけなら他の人でも言える。でも彼はどこか違うのだ、そこが魅力的で多分他の人には理解できないだろう。


 さてそろそろ終わるし()()()()()()()()……





 そろそろ花火大会も終盤ぐらいだから帰る用意もしておこう。まだ見つかってないがもし見つかってからでは遅い。奏江はそのことにはすでに対処済みかもしれないが、もしかしたらわざと見つかって逃走劇とかになりたくない。

 ここの神主厳しいことで有名だし見つかったらリアル逃走中だ。できれば今日はもう走りたくない。


「さて見つからないうちにそろそろ帰るか」


 そう言ってとりあえず屋根から飛び降りる。思ったより足に響く高さじゃなかった。日頃の珍事件に強制的に巻き込まれているせいかな?


「そうねそろそろ()()()だしね」

「は?」


 ()()()

 なんかもの凄い速さで迫りくる嫌な予感がした瞬間、今までよりも馬鹿でかく巨大な花火が打ち上げられた。恐らく今日の締めだろう。


「おお……」


 感嘆の声を上げながら最後の打ち上げを見送る。隣にはいつの間にか奏江が降りていた。よくよく考えるとこいつ身体能力スゲェよな……身体も天才ということなのか?


「頃合いってこれの事か」


 どうやら俺の心配は杞憂に終わったようだ。




 そしてそれがフラグという事にも気づかずに……




「ええ、あと三秒くらいかしら?」

「はい?どういう──」

『うわああああああああああ!!!!』

『きゃああああああああああ!!!!』


 奏江の言っている意味を聞こうとしたら老若男女の悲鳴が鳥居の先から聞こえてきた。



 ああ……



「奏江サン奏江サン?今度ハ何ヲシタンデショウカ?」

「最後の花火玉と一緒に新薬をね──」



 事前の仕込み……



「布繊維だけを溶かす特殊な菌類を一緒に飛ばしたのよ。あ、私と港くんの服は大丈夫よ溶解を防ぐ塗料を塗ってあるからだから今日私の家に連れ込んだのよ」



 今日の拉致問題……



「素材とか結構ギリギリだったけど今日の買い物で間に合ったわ。耐熱と小規格の収めるのは少々手こずったけど結果は大成功ね」



 今日のデート……



「それでその粉末は布繊維を溶かた数十秒後、脳にある作用を起こすの」



 特等席……



「異常なまでに布繊維を求めるのよ。()()()()()()()()()()()()()



 それは……



「それはつまり……」

「服を求めて襲ってくるわよ。多少の蛇行はあれどここから出口までは一本道、そこから港くんの家までにもエンカウントするかもね。あ、大丈夫よ大気中に数分放置すれば死滅するし身体に影響もないから都心への感染の心配はないわ。まぁちょっとしたゾンビ映画の気分ね」


 などと言いながら準備運動し始める奏江。いろいろ言いたい事は山ほどある、今日また走るはめになったとかトイレに時すで行動していたのかとか、しかし今一番言いたい事は一つ……



「メンドくせぇぇぇええええええええええ!!!!!」



 この後、もの凄い筋肉痛で動けなくなるのは必至だ。



「フフン……♪」

「ああ…ちくしょう……」



 ああ……やっぱり──



「俺の彼女はメンドくさい/私の彼氏は分かりやすい」



 そして俺/私たちはこの帰り道(天の川)を走り出したのだった。








 完璧織姫と純情彦星  〜Fin.〜

ここまでお読み頂き誠にありがとうございます。


練習として書いてみましたがやはり恋愛のれの字も経験した事のない私にはものすごく難しいジャンルでした(じゃあなんでやろうと思ったんだよ……)

終わった今だからぶっちゃけますが本当はコレ、冒頭の語りのように主人公がヤンデレ共をぶっ殺す話でしたが異様に長くなるのでやめました。


これで完結ですがもしかしたらまた同作者の小説のキャラとしてどこかで出すかもしれません。今回出てきたどっかの何ズキさんみたいに……


これで私の文に興味を抱いた方は別の小説の方も読んでいただけると嬉しいです。(文と話はアレですが……)



それではまたどこかで会いましょう。

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