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プロローグ
――――9月12日
この街はもう終わりだ。
全く人気の無くなったかつての大都市。
果たして誰がこんな未来を予想できただろうか。
青年は物思いに耽りながら、目的地に向かってただ歩を進めていた。
歩いても歩いても、人っ子一人見当たらない。
目に付くものといえば、路上のあちらこちらに転がる死体である。
遠くから見た動かないそれは、まるで布切れが積み重なっているようだった。
ああ、これはきっと罰なのだ、と青年は思った。
進化を続け、進歩を忘れた人間への。
息を引きとるその瞬間まで自らの過ちに気がつくことなく、驕り続けた我々人間への最後の罰なのだと。