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02話 尻穴奴隷にはなりたくないです

宝くじみたいなものです

……ごめんなさい。


今まで、スカしたことばっかり言ってたけど、それ全部甘っちょろいたわ言だってことに2時間で気がつきました。タバコは煙にならないと味が分からないのと一緒だね。自由って、素晴らしい! 無くしてから気が付いちゃいました。


とりあえず、今がどんな状況かというと、サクッと故郷の村が奴隷狩りされて、今は幌馬車に乗せられて都会までドナドナされている真っ最中。狭い幌馬車に乗せられて、というか載せられて一週間ほど経過したところで、「自分が奴隷になっている」事実に気がつきました。

前世の記憶と今世の記憶とが上手いこと溶け合ってくれてるようで、ついさっきまで西武新宿線の黄色い準急に乗ってた記憶もあれば、一週間前に奴隷狩りのせいで村から連行された記憶もしっかりとあります。


おかげで、この世界についての知識もバッチリ。いわゆる剣と魔法の世界ですね、これ。で、ボクはカミーシャ村で生まれ育ったワーセ族という少数民族の少年です。ちなみに6才ね。

剣と魔法の世界で少数民族っていうと、すごい魔法とかあるんでしょ?

とか思っちゃったりします?

とても残念なんですけど、完全に無能ですね。すごい魔法とか使えたら、少数民族とかしてないっつう話ですね。弱いから少数民族してるっていうのが現実。


ぶっちゃけた話、最初はキタコレ感あったんですよ。だって、これいわゆる異世界転生なワケでしょ? うんちっちな生活を送ってたボクとしては、むしろバッチコイなわけですもん。

とはいえ、ねぇ。魔法の才能無いし、別に運動能力があるワケでも、古代の秘宝とか守ってたりとかするワケでもなく、ただ力が無いせいで僻地に追いやられて、土地がおじいちゃんの性欲ばりに枯れっ枯れなせいで狩猟採集のその日暮らしするしかない少数民族のチビッコに生まれ変わったあげく、前世の記憶に目覚めたのは奴隷狩りにあった直後ってのは、流石に無理ゲーだと思うんですが……。


せめて奴隷狩りってイベントさえなければ、前世の知識を活かして、おじいちゃん性欲な土地にバイアグラぶっこんで知識チート!って可能性も無きにしもあらずなのに!

奴隷狩りだって、その時に覚醒さえしていれば、あるいは孔明ばりの戦術で追っ払って、国の参謀になる!的展開も、ゼロではなかったハズ。ヒストリエ読んでるしね。


でも、残念ながら奴隷なんですよね……。正確にはまだ売られてはいないですけど、きっちりと両手両足には手枷足枷がつけられているし、そして何よりも「首輪」がつけられています。


前世の記憶がある身としては、この首輪は何の因果なんだろうと考えちゃいますね。自ら望んだ、自由の放棄。そして、その象徴であるところの首輪。

何とも言えないモヤモヤ感で心がいっぱいです。


とはいえ落ち込んでいてもしかたがないわけで。正直このままだと、色々と絶望的な未来しか見えないですもんね。


一言に奴隷と言っても、色々あるワケです。単純労働、力仕事は基本的に奴隷が担当。農場とか鉱山とかね。これ、正直言って前世と一緒だね。何か切なくなっちゃいました。

ものすごいざっくり言うと、鉱山奴隷として買われたら、5年くらいで死んじゃうんじゃないかな? あっ、これは今世の知識じゃなくて前世の知識ね。というか、僻地に住んでたチビッコだから、この世界の常識とか知らないんで、どうしても前世の知識頼りになっちゃう。でも、多分この辺りは大差無いんじゃないかなって、今の所は思ってます。

とりあえず、なんとか鉱山奴隷は避けたいところだけど、幸か不幸かボクってチビッコだしね。鉱山でむきむき石を掘らせようって需要とはミスマッチのハズ。

狙い目は家庭内労働を担当する奴隷かな? 何といっても安全! 買われた先によっては、お給金が出て、それでもって自分を買い取り晴れて自由に!って可能性もあったりするしね。自分を買い取るって可能性だけでいえば、剣闘士なんてのもあるけど、これも死んじゃうしなー。この世界でもあるかどうか知らないけど。


……あと、アレね。性的なアレ。これになる可能性もあるよね。子供だもんね。力仕事なんてできないし、ぶっちゃけ一番可能性が高そう。

この世界がどうか知らないけど、古代ギリシアや古代ローマみたいな「男女の愛とか本能に支配された下等なもの。それに比べて同性愛は本能から解き放たれた高等なモノ!」みたいな世界観だったりしたら、正直ヤバイんですよね。


あーお願いです! せめて、女の人! 女の人が買って!


そんな感じで今後どうなるかについて思いをはせながら、いるかどうか分からない神様に祈っていたら、隣にいたお兄ちゃんが心配そうに声をかけてくれました。

「大丈夫か、シリアン? シリアンは頭が良いんだから、剣奴なんかにはされないハズだよ。きっと、大きいお屋敷に買われて、案外今までより良い暮らしが出来るかもしれないぞ!」

少しおどけたようにボクのことを励ましてくれました。

あっ、ちなみにシリアンってのはボクの愛称です。正式には、シリアナード・レイっていいます。


はい、詰んでます。

かにしの大好き

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