8話:これは不可抗力で……
ある日の夕方のこと、
「水ッ!? 風呂が氷水って、どうなってんだよぉーッ!!」
「気持ちいか、刹?」
「気持ちい訳ないだろぉーッ!! 今すぐお湯を出せーッ!!」
風呂に入っていた高瀬羅 刹は、裸で出てきた。部屋のベットの上では、遼似と悠が。部屋の隅では、賢司が本を読んでいる。
「何やってんのよ、あんたたち。うるさいわね」
廊下から声が聞こえて、部屋の扉のノブが動いた。
「あっ……」
一瞬にしてみんなの未来予知が当たる。
「きゃぁーッ!! この変態ッ!!」
「うわぁーッ!! 雪乃ッ!!」
あの日から、高瀬羅 刹のいる雪乃班は、強制的に僚生活を強いられた。最初は反対してた班員たちも、高級ホテル並みの設備に満足し、今では高瀬羅 刹に感謝するくらいになった。
「雪乃、これは不可抗力で……」
「この変態ッ!! 近づくなーッ!!」
高瀬羅 刹も、今までのぼっちぶりが嘘のように、楽しんでいた。今日もそう、高瀬羅 刹は記憶のなかで初めての幸せを経験している。そのためか、高瀬羅 刹のイヤホンをつける習慣もなくなり、前髪も眼を隠さなくなった。
また別の日には、
「おい、……何やってんだ?」
悠と高瀬羅 刹は賢司の自称研究室へ遊びに行った。暗くなっている部屋には、机の上だけライトがついていた。賢司は、その机に向かって手をしきりに動かしていた。
「これはですねー。ウサギと蛙の部分移植を試しているんですよ」
賢司はにやけ顔でこっちを振り返った。
「賢司……、やっぱ俺ら帰るわ……」
「失礼しましたぁーッ!!」
悠と高瀬羅刹は自分の部屋に走って帰っていった。
そして、今日は、
「占いを……してあげます……」
美紗の部屋に行った悠と高瀬羅刹は、また暗い部屋と机の上に照らす一つのライトを見つけた。机は部屋の真ん中にあって、悠と高瀬羅 刹の向かい側に、美紗が茶色いフード付きマントを被って座っている。
「占い?」
「手相占いです」
「どうする? 刹」
「いや、それ俺に聞かれても……」
二人は手相占いをしてみることにした。そうしないと、美紗が今にも泣き出しそうだったからである。
「高瀬羅……刹さん。あなたは……、この後……余命一週間です……」
「えぇーッ!! そんなはっきり言ってもらったら……」
「占いじゃなくて、予言になっちまう。だろ?」
高瀬羅 刹の占い結果に悠は笑いながら、自分の手を机の上に置いた。
「高見……悠さん。あなたは……、この後……死にそうになり……、その後……一週間で……死にます……」
「えぇーッ!! 俺も死ぬのかよッ!?」
「残念でした。高見 悠さん」
高瀬羅 刹は笑いながら部屋を出ていく。もちろん、悠も追いかける。
「おい、刹ッ!! まてぇーッ!!」
「待ちませーん」
「敵侵入確認。雪乃班、乱魔班、勇気班応戦準備ッ!!」
二人が走っている途中で、サイレンと放送が鳴り響いた。高瀬羅 刹にとっての初めての実戦が幕を開ける。
「行くわよ、あんたたちッ!!」
どこから現れたか分からない雪乃中隊長が、後ろから二人を呼び止めた。
「よっしゃーッ!!」
「私はいつでも準備万端です」
「おーい、置いてくなぁーッ!!」
「実戦……ちょっと怖いかも……」
賢司と美紗も集合し、雪乃班は廊下を走り出した。これから何が起こるか分からない、でも、自分達で未来を作る事はできる。そう、ハッピーエンドに。




