お前らと一緒だと思われたくない
私は車が好きだ。いや、乗り物全般に興味がある。 幼稚園のときから電車が好きで、中学時代のときに車に興味を持ち、高校時代に軍事系にハマり、今はバイクが大好きだ 。
だから普通の人間よりかはそういったものは詳しい。
でも、そんな人間でなくても、知っておくべき乗り物の知識ってあるはずだと思う。
「ジョシュアは左ハンドルって何かわかる?」
そう聞かれたのはある定食屋で食事をしているときだった 。ときどき共に食事をする友人が二人と共にいた。そのうちの一人で三人の中では弄りキャラである品川(仮名)が私に聞いてきた。
「……外車とかの、左側に運転席があることじゃねえの?」
車線の都合で、イギリスや日本では右側に運転席があるが、ほとんどの国では左側に運転席がある。
日本の駐車場や高速道路の発券機が右側にあるのがそれを 実感する良い例だろう。大きなデパートや駅の駐車場では 、外車用の発券機もある。
「そうだよな」
私の答えに安心したのか、そう言って品川は、弄られることに定評のある大崎(仮名)を指差した。
「こいつさ、左ハンドルを左折することだと思ってたらしいぜ」
「おい、やめろ」
大崎は顔を真っ赤にして、品川を止めようとした。 二人とは高校からの付き合いで仲は良い。だから、大崎に常識が欠如していることも知っている。
「それは左にハンドルを切る、だ」
「あー、それそれ!」
品川は大笑いしており、大崎は恥ずかしさからか顔を伏せた。
それからしばらく車の話で盛り上がる。大崎の家の車は旧式で、アクセルの隣ではなくギアの後ろにあるだとか、品川はそのタイプのサイドブレーキを知らなかったりなど、 いろいろあった。
恥ずかしい話であるが、彼らの常識の欠如は凄まじい。大崎ほどではないが、品川もなかなかだ。だから、私は友人として彼らが恥ずかしい思いを今後しないように、当たり前の車の知識を教えていった。
定食も食べ終わり、そろそろ帰ろうとしたときに品川は口を開いた。
「あれ、じゃあ右に曲がることって何て言うんだ?」
混乱したのか、大真面目にそんなことを言った。
私が答えるよりも早く真顔で大崎が言った。
「右ハンドルだろ?」
他人になってくれお前ら。
もう恥ずかしくてあの定食屋に行けません(泣)