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ジェネラルの男と竜人の娘~戦いの果て~  作者: HATI
シュテル連邦国編
19/28

冒険者登録

 

 まずはどこへ向かうべきか、ベルギオンは考える。

 ギルドなら大抵の事は分かりそうだ。そう判断すると、衛兵の一人を捕まえて尋ねる。


「教えて欲しいんだが、ギルドに行くにはどこへ向かえばいい?」

「この通りをまっすぐ抜けて、突き当りの店を右に曲がれ。途中にある大きい建物がギルドだ」

「助かる」

「これも仕事だ、構わん。迷われてウロウロされるのも困る」


 衛兵に礼を言い、移動を始める。


「くっくっ」


 キリアが笑いを堪えているのに気付いたが、無視する。

 良く迷う奴と思われては堪らない。


「地面も一面石で歩きやすいですね。馬だと蹄が割れそうですけど」

「馬やロバが通る道は別にあるわ。そっちは土のままにしてたと思う」

「物資の運び込みで使う道か。……この通りは露店が並んでるな」


 入り口から少し歩く。すると様々な露天が立ち並んでいるのが見えた。

 野菜や果物を始めとした食料。服、武具の類もある。


「凄いわねぇ」

「森が近いから新鮮なものが多いな」

「人が多いですね」


 色々と眺めてみたいが、無い袖は触れない。侘しく露天の中を歩く。

 キリアが果実を三つ買い、その一つ貰った。

 ミカンを少し大きくした果実だ。

 歩きながら食べる。皮を剥いて口に含むと、果汁が溢れてきた。


「三個で銅貨2枚。森ならタダだけど、こんなものよね」

「ちょっと酸っぱいが、美味いな」

「もう少し熟れたものだと甘いですよ」


 そう言いながら、ラグルは指に付いた果汁を舐め取る。

 その仕草にベルギオンは少し目を奪われた。


(落ち着け。……落ち着け俺)


 やがて突き当たりに着き、右へ曲がる。

 少し行ったところに大きな建物が見える。


「あれか?」

「みたいね。2回りは大きい」


 数分ほど歩くとその建物に到着した。

 看板に大きく冒険者ギルドと書かれ、地図とツルハシの画かれた紋章が刻まれている。


(地図にツルハシ。開拓者精神フロンティアスピリッツというやつか)


 役所を連想させる大きさだ。

 扉を開けると、テーブルが並べられている。そこで食事をしたり雑談をしていた。

 軽食場が設置されているようだ。奥にある受付へ向かうと、受付嬢がベルギオンたちに気付く。

 愛想の良いショートボブの女性だ。


「いらっしゃい。新顔の方ですね。依頼の紹介をご希望ですか?」

「いや、冒険者の正式登録? だったかな。それをしたい。推薦書はある」

「珍しいですね、いきなり正式登録は。大抵の方は一般から経験を積んで推薦を貰うのですが……

 では、推薦書をお預かりします。」


 言われて推薦書を渡す。

 受付嬢はそれを開いた直後に固まった。


「推薦人は――うそ、セピレム将軍!」


 大声を出しそうになるのを、彼女は慌てて止めた。


「しょ、少々お待ちを」


 そう言うと、受付嬢は飛ぶような速さで推薦書を持ったままいなくなる。

 周りにいた人々も何事かと興味のある視線を向けていた。


「将軍からの推薦ってやっぱり凄いのか?」

「みたいね。というより珍しいんじゃないかな」

「うぅ、凄く見られてます」


 少し居心地の悪さを感じながら待っていると、厳つい男が先ほどの受付嬢を伴って現れる。

 身なりも立派だ。上司とあたりをつける。


「お待たせしました。

 私このギルドの支部長、ザッハル・ラニーゼヨと申します。名前を御伺いしても?」

「ベルギオンだ。姓は無い。後ろの二人は赤いのがキリア。

 もう一人がラグル。二人の姓はロティエだ」

「ありがとうございます。

 申し訳有りませんが、登録の為に幾つか聞きたいことが有ります。此方へどうぞ」

「分かった」


 連れられて奥の個室に到着する。

 お互いソファーへと座った。すとん、と体が沈む。

 中々の高級品だった。

 受付嬢は用事を言いつけられて居ない。


「ご足労頂いてすみませんな」

「いや……、登録の時は何時も?」

「いえいえ。普段は受付で終わります。

 推薦人は貴族の方や商会の幹部の方が多いですからね」


 その言葉に含まれたニュアンス。それをベルギオンは感じ取る。


「セピレム将軍だからかな」

「ええ。エルフ族の人々と交流が回復して大分立ちますが、女王に告ぐ将軍の推薦など初めてです」


(――エルフのNo2か。呼び出されるわけだ)


 セピレムはそれなりの立場だろうとは思っていたが、予想以上だった為少し動揺してしまった。

 2回ほど呼吸して心を静めると、簡単に説明を考える。


「幾つか幸運が重なった。色々あって竜人の村で世話になってな。その時の縁だ」

「そうですか。推薦人としては十分過ぎるほどです。

 すぐに専用のクリスタルを用意しましょう」


 ザッハルは詳しく聞きたい様子ではあったが、無理強いする様子は無い。

 この街とエルフは友好関係にあるはずだ。

 わざわざ突付きたくは無い、とベルギオンは推測する。

 受付嬢が飲み物と共にクリスタルを持ってきた。


「このクリスタルが正式な冒険者の証です。登録は貴方一人で宜しいですか?」


 推薦書を見たときはベルギオンの名前しかなかった。

 パーティーを組めるなら問題は無いと思っていたのだが、不安になる。


「ああ。パーティー登録か何かはあるのか? 登録者しか受けれない依頼もあると聞いたが」

「ありますよ。登録者がパーティーにいれば、そういった依頼も請けれます」


 疑問も無くなり、少し安心した。


「ではそれで頼む」

「分かりました」


 ザッハルはそう言うと、水晶のペンを取り出しクリスタルに文字を刻んでいる。

 それが終わるとベルギオンに手渡した。

 親指ほどの大きさだ。どうやって加工したのか見事に八面体にカットされている。

 透明な水晶に文字が画かれていた。ベルギオンには読むことは出来なかったが。


「これで完了です。冒険者の活動の時必ず必要になりますから、決して無くさないように。

 再発行の場合は白金貨1枚を頂きます」


 白金貨1枚……300万。実質再発行はしないと言っているものだと判断する。


「分かった。無くさないように注意する。これは直ぐに使えるのか?」

「手続きも有りますので明日からになります」

「此処でしか使えないわけではないよな?」

「勿論どこのギルドでも使えますよ」

「そうか。あー、後二つ用事がある。まずこれを買い取って欲しい」


 ベルギオンは布袋の中から歯を取り出すと、テーブルに置いた。

 ザッハルはそのうちの一つを手に取ると掲げる。


「ほう。これはロードゴブリンの歯ですか。 構いませんよ。武器や防具で人気が有りますからね。

 4個でシュテル銀貨5枚で如何ですか?」


 キリアの言っていた通りの額だった。

 本音は分けやすい6枚が良かったが、金の交渉を嫌うベルギオンはそれに頷く。


「構わない。銀貨3枚で後は銅貨で頼めるか?」

「ええ、それは構いませんよ」

「あと宿屋を教えてくれ。出来れば風呂と飯のある所だ」

「それでしたらニャルフの宿が宜しいでしょう。飯も美味いですよ」


 飯が美味い、という部分が気に入った。

 ラグルとキリアを見るが、特に異論は無い様子だ。


「そこで頼む」

「分かりました。私の名を出せば話も早いでしょう」

「助かる」

「将来有望な冒険者ですからな。まあ口利き程度になりますが。この街には長くいるので?」

「シュテル連邦国に行く予定だ。旅費を稼ぐまではこの街にいると思う」

「あの国ですか……」


 何かを言いよどむようにザッハルは少しだけ眉を寄せた。

 ベルギオンはかろうじて気付くとその事を尋ねる。


「何かあるのか?」

「いいえ。国柄元気の良い人ばかりの気持ち良い国ですよ」


 そう答えると、ザッハルは既に元の様子に戻っている。


(ティルフも言っていたし、これは何かあるのか)


 そう考えるが、判断材料すらない。

 方針は現状のまま変更はないとした。


「一応宿の地図を書いておきましょう」

「地図か。図書館か本を置いてある場所は無いか?」

「本でしたら此処に資料室が有りますよ。一般開放していますので暇なとき来られては」

「そうしよう」


 ザッハルに地図を書いてもらう。

 少し疲れを感じた。。宿で一息入れたい所だ。

 出された飲み物を一息で飲み干す。先ほど食べた果実を絞ったもののようだ。

 酸味と甘味があり、喉を潤す。


「世話になった。宜しく頼む」

「ええ、武運を祈りますよ。道は切り開くもの。

 それがギルド設立者の言葉です。頑張ってください」

「良い言葉だ。憶えておくよ」



 そして部屋から出てそのままギルドを出ようとすると、何人かの男達が道を塞ぐ。


「よう、兄ちゃん。正式登録したんだって?」


 些か柄の悪い男が4人。絡まれたと判断するが、少し様子が妙だった。 

 何故か威嚇する様子は無い。

 それどころか焦った様子が感じられるのが、ベルギオンには不思議に感じた。

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