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序幕

初投稿です。

2話ぐらい読んで頂けると、あ~こういうテイストの話なのね、と思っていただけると思います。

一人の男が、玉座に深く腰掛けて物憂げな表情で上方を見上げている。

その視線の先には絢爛なシャンデリアが光も灯さず吊り下がっていたが、しかし彼の視線は何を捉えるでもなく彼方を移ろうばかりであった。

彼の者は、魔王。

彼は今、激動の時代の真っ只中にいた。






―――――――――――――――――






5年前、暴虐の限りを尽くした前魔王を打ち倒し、実力至上主義である魔界において新たなる魔王の座を勝ち取った。



「うおおお滅せよ!!セイントテラインパクトオオォォォ!!!!!」

「ぐあああああ!!なんと神々しい正拳突きだ、魔族のくせにいいぃぃぃ!!!!!」





3年前、当時統率の取れていなかった魔族をまとめあげ、魔王軍として編成。

無法であった魔界の世を平定した。



「魔王様、城下再開発の案を確認させていただいたのですが」

「どう?」

「魔王城の周りを全て飲食店で固めるのはちょっとどうかと思います」

「え〜でもその日の気分で店変えたくない?」

「1ローテするのに1シーズンかかります。あと遊園地作るのは百歩譲っていいとして、2つもいりません。ランドとシーじゃないんですから」

「え〜そこはじゃあほら、アダムとイブみたいな」

「神話かよ」





そして1日前

魔王城下の再開発は完了し、完成を記念した盛大なパーティーが行われた。

それはもう宴の中の宴と呼ぶに相応しい宴であった。



「うわははは!うわははは!」

「よっ、魔王様!魔界一!宇宙一!なろう一!」

「いや〜ワシなろう一…なろう一!?ワシなろう一か〜!うわははは!」

「魔王様?コチラもお飲みになってください」

「おおっとぉ!おっとぉ?おっとっとっとぉ〜(笑)」

「やだ〜魔王様!スケベ!」


両手にサキュバス、肉に酒。

そりゃあもう魔王はこれ以上ないぐらいにご機嫌であった。

その様子を少し離れた所から、瞳孔が細長い特徴的な瞳がジットリと()()()()()いるが、魔王はトンと気付かない。

そりゃあもう魔王はこれ以上ないぐらいにご機嫌だったからである。そりゃあもう。



「いやぁ魔王様、魔王様のお力のおかげで魔界は安泰、この魔王軍も磐石となった訳ですが…」

頃合を見計らい、そう話を切り出す1人の男。

この宴の間魔王と共に語らい、散々持ち上げてきた男は、声のトーンを抑え顔を突き合わせるようにして続けた。


「魔王軍はこの先、どのように動くべきでしょう?」

「うん?」

「魔王様のお力があれば大抵の事は容易いかと思いますが、魔族の力が1つとなった今…やはり人類滅亡に向けて攻撃を仕掛けるべきでしょうか?」

「ん〜?あ〜そうねえ〜」

調子良く酒を飲んで顔を赤くしていた男の目は、しかしその奥で鋭さを湛えていた。

そんな男の事など一瞥もせず、魔王は顎に手をやり思わせ振りに唸る。


「まあワシがちょっと本気出せば人類なんてちょちょいのちょいだと思うけどね〜」

「勿論でございます。そして人類滅亡は私ども魔族の悲願…!」

「ん〜」

深く考え込むように瞼を閉じる魔王。

その様子を焦れる事なくジッと伺う男。

そして、魔王の目が勿体つけるように開かれた。


「ワシの力があれば?」

「魔王様のお力に比肩するものなど、この世には存在しません!」

「魔族的にはやっぱり?」

「魔族的にはやはり、真に目指すべきは人類滅亡かと存じます…!」

「ん~まあ〜…そうね!魔族的にはそういう高みを目指すのも悪いことじゃないと思うし、まあいいかもね!」

「おお…!では魔王様、今日より魔族は人類滅亡に向けて一丸となって歩み出すという事よろしいですかな!」

その男の言葉が耳に入った周りの魔族は一様に色めき立つ。


なに、戦争か!?

遂に人類と戦う時が来たか!

魔王様が開戦するおつもりらしいぞ!

ヤッテヤルデス!

………

……



周囲が異様な盛り上がりを見せる中、しかし魔王は意に介さない。

隣のサキュバスにお触りをして怒られないギリギリのラインを探る事に集中していたのだった。





―――――――――――――――――





それが、1日前の事。昨日の事である。

正確に言えばそれは昨晩の22時頃の事なので、18時間前の出来事であった。


魔王は耳を澄ます。シンとした玉座の間に、外の音が響く。

今、魔王城には数万を超える魔族が集結し、広場は興奮した魔族で溢れかえっていた。

その者たちの怒声が、嬌声が、歓声が、この玉座の間に届いてくる。

魔王が人間に宣戦布告せり―――

それを聞き駆けつけてきた者達であった。



魔王は上を見上げた顔を、両の手で覆い隠す。

深く息を吸い、そして、吐いた。



どーーーーーすっかなぁ…



彼の者は、魔王。

激動の時代の真っ只中にいる彼は、そりゃあもうこれ以上ないぐらいに狼狽しているのであった。

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