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7.監視カメラかGPSかそれとも別の何かなのか…

そうして迎えた転入初日。

それまで勉強はもちろんのこと、両親と過ごすことがほとんどだった。なぜか時々怜王も遊びに来てたけど。

行方不明になっていた上、入る学年は一つ下の学年なので、もしかしたら周りの人から何か言われるかもしれない。秘密にしていたところでどうやっても噂は広がるだろう。だから転移前の高校入学時に思った

友達を沢山作るとか、部活動を頑張ろうっていう気持ちがなくなってしまった。

部活をするなら両親と長く過ごしたいし、友達に関しても出来たら嬉しいけど出来なくてもいいかなって思っている。彼氏は…出来てしまったら後が怖そう。そう思いながらあのストーカーの顔を思い出して苦笑いが零れる。

それは置いておくとして、当面の目標は周りから変に浮かずに過ごせたらいいかな、と思う。

後は勉強をしっかりして平凡な学校生活を送ることができれば満足だ。


そう、平凡な生活を…。


…。


目立たずに…。


「今日から同じクラスだね…。しかも隣の席だなんてすごく嬉しいな。あ、ここ日差し強いけど大丈夫?瑠々の白い肌が日に焼けてしまうのは許せないな…。」


何故か隣にストーカーが居る。

違う違う。怜王だ。…いや、ストーカーであることは間違いないのだが。

「なんで居るの?というかなんで知ってるの?」

呆れたように横を向くと、怜王は完璧な笑顔を見せた。周りでは女子たちがキャーキャー言っている。…そうだ、忘れていたけどこの人顔が良いんだった…。

「瑠美さんに教えてもらった。」

お、お母さんんんんんんん!!

え、というか私の母親を名前で呼んでるの?そんなに仲が良かったのか。

頭を抱える私に、怜王は何かが気付いたような顔をした後にキラキラとした笑みを向けた。

「瑠々、大丈夫、私が好きなのは瑠々だけだから。」

「心配してるのはそこじゃないんだよ。」

しらけた顔を向ける私とは対称に、クラスの女子は顔を赤く染めている。

いや、これもう目立たない平凡な学生生活って無理なのでは…。

「あー、うん、ありがとう。それで、なんで同じ学校で同じ学年なの?」

「…それは、ほら、色々…。」

…曖昧に言って誤魔化そうとしているのがわかる。

そうでしたね、私を追って同じ高校に通うくらいだもんね、学年くらい同じにしますよね!!

「…もしかして席も…?」

「…。」

「おい、返事をしろ。笑顔で誤魔化そうとするんじゃない。」

もう絶対すべてが仕組まれている。そう確信した。


なんというか…召喚されてから平凡な生活を望むこと自体が間違っていたのかもしれないな。遠い目をする私はこの学生生活が碌なものにならないのだと悟ったのだった。



高校生活が始まってからというもの、毎朝怜王が私を迎えに来る。断っても来る。いつもよりも早い時間に出ても何故か居る。

…一体どこに住んでいるのだろうか。なんならまた見張られているのではないだろうか。そんな疑問が浮かんだが、聞いても碌な反応が返ってこないだろうと思って聞いていない。

そんなこんなで反抗するのも馬鹿らしいのでそのまま一緒に登校している。両親と近所の人から生暖かい目で見られることにも慣れてしまった。


そうなると周りの人からどう思われているかくらいは想像できるわけで…。

「ねぇねぇ、稲葉さん、佐藤君といつから付き合ってるの?」

一人になったらこんな質問も良くされるのだ。ちなみに〈佐藤 怜王〉という名前にしているらしい。〈レオ〉という名前は当て字で、苗字は日本で一番多いだからそれにしたそうだ。安直だな。


しかもこの子は別のクラスの女の子ではないだろうか。同じクラスならまだしも、別のクラスの子にまでこんなことを聞かれるとは…。怜王はやっぱりモテるんだな。

「付き合ってないよ。友達なだけ。」

「え…?」

自分でもおかしいことを言っているのはわかっている。大体の人が「そんな訳ないだろ。」って顔をする。いや、でも一緒に居るだけで付き合ってないし…。

「じゃぁ…「瑠々、ちょっといいか?」」

女の子は何かを言おうとしていた時に、当の本人から声を掛けられた。

「ごめん、何か言おうとしてた?」

問いかけると、「いや、大丈夫…。」と顔の前で手を振られたので、断って怜王の方に向かった。

こうやって声を掛けられると怜王に中断させられることが多々ある。…そのせいで友達が増えないのだ。まぁ…私の問題の方が大きいだろうけど。

でもちょっとずつでも喋る人がいるし良いだろう。


そんな事を考えていた私は、後ろを向いた怜王が人差し指を口元に当てて女の子に合図をしているなんて知る由もなかった。


「それで、何か用事あった?」

そう言って怜王を見上げると、優しそうな笑みが返ってきた。

「次移動教室らしいぞ。」

時計を見ると、教室に戻ることを考えると結構急がなければいけない時間だった。

「ありがとう、教えてくれて。」

お礼を言って急いで教室に戻ろうとしたら、私の分の教科書とノートを渡された。

…把握されている。いや、でも有り難い事には変わりない。

「持って来てくれてありがとう。でもここまでしなくても大丈夫だよ。」

やんわりと拒否をした。

「私が瑠々にしてあげたいから大丈夫だ。」

…それを拒否された。

でも客観的に見ると怜王の好意を利用してパシリにしているみたいじゃないか…?

そう思っても止めさせる方法がない。本人がすごく嬉しそうだし、言っても拒否されるからだ。毎回どうしたものか…としばらく考えたが、結局解決策は何も浮かばないのだった。

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