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6.選択肢は限られる

告白の返事を言わないといけない。

考え込んでいると、お互い頬の赤みは取れないまま少し気まずい雰囲気になってしまった。

「友達、から…だとだめでしょうか。」

いきなり付き合うのはなんか違う気がする。…ストーカーだし。でも断るのも怖い。そう考えた末の結論だった。本人を見るのは何だか気恥ずかしくて、目を逸らしながら伝えた。

「…ああ!もちろん!ともだ…、友達って何だ?」


知らないのかー!そうか、孤高の存在だからか!?

うーん、それはいいものなのか…?と悩む魔王を見ると面白くなってきてしまった。

「ふふっ…、じゃぁ私が最初の友達だね。よろしく、れお君。」

そう言って笑うと、れお君は目を見開いた。

「…初めて笑ってくれた…。可愛い…。」

「えっ、」

〈可愛い〉なんて言われ慣れてない私は気恥ずかしさに目を逸らしてしまった。

「…そんなことない…。」

「いや、君は可愛い!その恥じらっている姿がもう既に可愛いし、桃色に染まった頬なんてふんわりとしていて愛らしいし、そのブラウンの瞳は光に当たるとキラキラと輝いていて独り占めしたいし、その桜色の唇はぷっくりしていて食べ「ちょ、ちょっとストップ!わかった!もう十分わかったから!」

怒涛の誉め言葉に唖然としてしまった。…というか最後の方に変なこと言ってなかった?

…いや、気のせいだな、気のせい。そういうことにしておこう。聞いちゃいけないことがあると学んだからね。

そう自分を無理矢理納得させていると、疑問に思っていたことを思い出した。

「ねえ、なんで私とれお君が付き合ってることになってるの?」

何の気なしに問いかけると、れお君は気まずそうに目をそらした。

ん?…まさか。

「もしかしてわざと?最初の告白の時に私の事を知ってほしいとか言っておいて、私が逃げれないように外堀埋めてた?」

そう詰め寄ると、苦いものを口に入れたような表情をしていた。

「す、すまない…。つい、出来心で…。君の両親に会えたことも嬉しくて…。」

観念したのか素直に謝られた。…しょうがない。今更母に付き合ってないことを言ってもややこしくなるだけだろう。

「…他に誤解されるようなことしてないよね?」

疑わしい目で見つめると、「学校で…」と小さな声が聞こえた。

…学校??

「学校でも付き合っていることにしていた…。」


え??

完全に外堀を埋めようとしている…!この人確信犯だ!!

なんてことだ…、学年が下がるというだけでも行きづらいのに、行きづらい要素が増えている…。


「ご、ごめんなさい…。」

れお君は叱られた犬のようにしょんぼりとしていた。

…なんかここまで落ち込まれると怒りづらいな。というかこの人こんなに謝って魔王として大丈夫なのだろうか。威厳とか。

「…さすがにもうないよね?」

そう問いかけると、「はい…、ないです…。」と、最後は敬語になっていた。

なんかここまでくると可哀想に思えてきたな…、いや、被害者は私なんだけど。

まあ、いいか。実は両親から他の学校に転入することを提案されていたのだ。入学してから数か月で行方不明になってしまったし、そこまで親交を深められていない状態で同じ学校には行きづらいのではないかと心配してくれていたのだ。

まだ迷っていて答えを出せていなかったけど、これなら転入するのもありかもしれない。本当に両親には感謝しきれない。

「あの…本当にごめん。君に嫌われたくない…。」

自分の世界に入っていた私は、苦しそうな声が聞こえて返事をしていなかったことを思い出した。じゃあ、最初からするなよ、という言葉は飲み込んで。

「…そんなに私の事が好きなの?」

そう言って下を向いているれお君の顔を覗き込んだ。

傍から見たらなんて自意識過剰な女なんだと思われるだろう。けど本当に不思議なのだから仕方ないだろう。私はさっきまで敵だと思っていた。正直言ってもう二度と会いたくないと思っていたほどだ。だけど彼はわざわざ私を追ってくるくらい私の事が好きらしい。

「…うん、君の事が本当に大好きだ…。」

しかも泣きそうな顔をしてこんなにも切ない声を出すほどに。

本当に調子狂うなぁ。

「これからはもうしない?」

「あぁ、約束する。」

私の目を見て真っすぐ告げられた言葉は信じてみようと思った。

「それなら今回の事は許してあげる。あと…、瑠々。」

許すと言ったことで本当に安心したような表情をした後、れお君は続く言葉にきょとんと首を傾げた。

「名前。君じゃなくて瑠々でいいよ。」

そうぶっきらぼうに伝えた。ずっと君って言われるのが気になっていたのだ。

「かっ…、」

か?

「かわいい…!そのちょっと照れた感じがとてつもなく可愛い…!!」

手に口を当てて目を瞑るれお君を唖然と見つめる。


え、な、何を…!

恥ずかしさでわなわなと震える私を見て何度も〈可愛い〉を連発してくる。

「可愛すぎて…食べてしまいたい…。」

そう恍惚とした表情を浮かべたれお君に背中にゾワリとした悪寒が走った。

…やっぱりこの人は危険だ。

「…い、いや、冗談だ…。」

警戒心が伝わったのだろう。そう言って私から目を逸らした。…絶対冗談じゃない。

信用できないとじーっと見つめるとれお君の顔が段々と赤くなってきた。なんだか少し面白いな。あ、そういえば転入することは言わないでおこう。私が居ない間に外堀を埋めていた仕返しだ。

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