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20.同じ境遇の人には優しくする

「それで結局どうなったの?」

学校からの帰り道、隣で歩く怜王に問いかけた。この前の話し合いの結果がどうなったのか聞いていなかったからだ。

「あぁ、明日に帰るらしい。…そうだろう?」

え、と思って後ろを向いた怜王の目線の先に視線を向けると、カノンとアレクが気まずそうに建物の陰から出て来た。

「…やはり気付かれておりましたか。」

「ま、俺は今回巻き込まれただけだしな。瑠々が騙されてないならそれでいいさ。」

たしかにアレクに関してはすべてにおいて巻き込まれている気がする。私が聖女として転移させられた時を思い出して同情の視線を送ってしまう。

「いや、そんな可哀想なものを見るような目で見られても…、って横からすごい殺気を感じるから抑えてくれ。」

何が?と思って横を見ると笑顔なのに冷たいオーラを纏っている怜王が佇んでいた。…もしかしてまだ私がアレクを好きだと思っていた事を引きずっているのだろうか。

仕方ないなぁ、と思って怜王の手を握るとキラキラした瞳で見てくる。…き、気恥ずかしいけど我慢するしかない。


そんな時、カノンが咳払いをした。

「聖女。あなたと二人で話したいことがありますの。お時間よろしいかしら?」

真っすぐに見つめられたその瞳は懇願しているようだった。

「私がそれを許すわけがないだろう。前の話を忘れたとは言わせないからな。」

「…いや、いいよ。危害を与えるつもりはないんでしょう?」

r怜王は突っぱねたが私もカノンに聞きたいことがある。明日帰るのであれば今日しか時間はないだろうし。それに…、なんだかカノンはそんなに悪い人じゃない気がする。どちらかというと良い人のような気がしている。

「だが…!」

「怜王、心配してくれてありがとう。でも大丈夫。今回は私を信用してほしいな。」

そう言って見つめると、怜王は一瞬苦いものを食べたような表情をすると上を向いて手で顔を隠した。

「…そんな風に言われたらだめだと言えなくなるじゃないか…。」

「ふふ、ありがとう。…ってことで着いてくるのもだめね。」

話をするのに怜王が付いてきたら意味がないだろうと思って念押しすると、怜王は私からす…っと目を逸らした。

「…、」

「わかった?」

「…。」

…だめらしい。

「カノン、アレクが付いてくるのはいい?」

怜王が着いて来ないなら別の人選が必要だろう。当の本人はカノンと二人きりでいることに了承してくれないし。

「…え、ええ、それは別に構いませんわ…。」

怜王は目を見開いたかと思うとふーっと大きなため息をついた。

「瑠々は本当に私の思い通りにいかない。…まぁ、ここら辺が妥協点だろう。」

「ふふ、誉め言葉として受け取っておくね、ありがとう。」

覗き込んで微笑むと、怜王は顔を手で隠して「本当ずるい!もう知らない!嘘!知ってる!そういうところも好き!」と、訳の分からないことを叫んでいた。きっと情緒不安定なのだろう。

そんな意味不明な事を言っている怜王をスルーして、アレクに「そしたら申し訳ないんだけどお願いできる?」と聞くと、アレクはなんだか楽しそうに二つ返事で了承してくれた。


「本当に!!本当に不本意だが…、私が付いていけない以上は仕方ないだろう。…小僧、余計な事はするなよ。」

正常の精神状態に戻ったらしい怜王は悔しそうな表情を浮かべながらアレクに釘を刺していた。アレクはその様子を見てケタケタと笑っていて楽しそうだ。

「じゃあ、終わったら連絡するから。…覗き見もだめだからね。」

「…あぁ。」

最後に念押しをして未だに不満そうな顔をしている怜王と別れると、とりあえずそのまま三人で近くのファミレスに向かった。

「そういえば二人ともこっちのお金持ってる?」

「ふ、ふんっ、私の魅力にかかれば用意できないものなんてありませんわ。」

「あー、俺の分は…、とりあえずあるから大丈夫だ。気にしなくていい。」

…?アレクは何かを誤魔化すような態度だったが、お金があるなら問題ないだろう。…入手経路は別として。

席に着くと、とりあえずドリンクバーとパフェを注文した。カノンも同じもので、アレクはお腹が空いていたのか、ハンバーグセットとグラタンも注文していた。

注文したものが届くと、やっと本題に入ることが出来た。…届くまで話始めていいものかがわからなかくて無言だったからすごく…助かった、本当に。

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