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11-4

明日から冬休み。

最後の授業が終わると、待ちわびていた生徒達で教室の中はざわつきました。どの子も嬉しそうに笑顔でしたが、メイベールの表情は冴えません。なぜなら放課後はジョージ先生に呼び出されているのです。

「メイベールさん。行きましょうか」

同じく呼び出しを受けているアイラが声をかけてくれました。

「はぁ……行きたくないなぁ。2人で呼ばれたんだから、たぶんお仕置きの話じゃないかなー」

入学初日に起こした騒動で二人はお仕置きを受ける事になっていたのです。けれど、あれから3カ月以上が経ち、先生からは何も言ってこないので忘れてしまったのではないかと朝日は期待していたのです。なのに突然の呼び出しを受け、彼女は気が重いのでした。

隣のアイラも苦笑いします。

「なら、嫌な事は早く済ませましょう。明日から冬休みですよ?」

「そうだね……よし!覚悟を決めて行きますかー」


教室を出ると意外な人物に呼び止められました。

「メイベールさん。アイラさん。」

「あら、エミリー様。ごきげんよう。」

挨拶しながら朝日はほんの少し膝を屈伸させ最低限の儀礼を取りました。普段、園芸クラブで会う時にこんな事をすれば彼女は嫌がるのですが、ここでは他の生徒の目もある為です。兄のジャスパーをお手本に、朝日も貴族の振る舞いというものが少し板に付いてきたのでした。

エミリーも建て前なことは分かっていてニッコリ笑います。

「ごきげんよう。」

「何か御用でしょうか?」

「二人ともジョージ先生の研究室に行くのでしょう?わたくしも呼ばれているのです。一緒に参りましょう」

「エミリー様も?」

朝日は嫌な予感がしました。お仕置きは魔力交換の実験を手伝うはずです。アイラと二人でも危険なのに、そこにイタズラ好きのエミリーまで加わるとしたら……

メイベールの引きつった表情をよそに、エミリーは楽しそうに歩き出しました。


王女エミリーを先頭にその後ろを赤の公爵家メイベールと雷公女アイラが並んで付いて行きます。廊下をすれ違う生徒は皆、道を開けました。男子生徒は胸に軽く手を当て、女子生徒は可愛く屈伸していきます。

「目立っていますわね……」

「そうね、フフ。わたくし達3人が揃うと、どうしても目立ってしまうわね。早くマリーさんのお店に行きましょう」

あの統治祭の日からメイベールに向けられる視線は明らかに変わりました。入学当初はどこかよそよそしく遠巻きに見ていたクラスメイトも敬意を払って挨拶してくれるようになったのです。それは恐怖の対象から、憧れを伴った羨望へと変化したのでした。

ジャスパーが言った通り、祭りを見た生徒達はメイベールの圧倒的な力を前に、同じ魔導士の仲間として誇らしく感じたのです。その日は帰省して参加しなかった生徒は見られなかったことを悔しがり、来年のバーストマスターもメイベール嬢で決まりだ、次こそは見逃さないと、早くも言い合っているのでした。

そんな噂を聞き、朝日もまんざらでもない気分を味わっていました。全てはメイベールお嬢様の力なのに。


校舎から出ると、冷たい風が吹きつけました。

「さむー!」

渡り廊下は屋根があるとはいえ、柱で支えるだけの吹きっさらしです。3人は足を早めました。朝日は堪らず制服のポケットに手を突っ込み、魔力操作で手を温め始めます。雷の適性であるアイラにはそんな事は出来ず、しきりに手をこすり合わせています。

二人が寒がる様子を見てエミリーは朗らかに笑っていました。

「エミリー様は寒くは無いのですか?」

「ええ、ちっとも!」

その笑顔は得意気です。

「わたくしの適性である風の魔力を操作すれば、体の表面に空気の層をまとって冷気を遮断する事も出来るのよ」

「ズルいですわ!エミリー様だけ!わたくしなんて手を温めるくらいしか出来ませんのに!」

足を止めて笑い合うエミリーとメイベール。

「二人とも早く!」

全身振るわせているアイラは二人を置いて駆け足に塔へと向かいました。

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