10-5
寝ていた朝日の体がビクン!と脈打ちます。
「ふにぁ⁉」
高いところから落ちる様な夢を見て、ビックリして目を覚ましました。
「うーーーん……」
大きく伸びをして窓の方を見ると、太陽はとうに昇っています。いつもなら二度寝してしまった事に驚き飛び起きるのですが、今日はその必要はありません。なぜなら祝日だからです。
明日の建国日を挟んだ前後三日間は国の祝日と定められているのでした。休みだから朝日もわざわざ暗いうちに起き出して、エミリーの後をつけてみようと考えたのです。平日なら早起きなどしようとは思いません。
今日は国中で祭りの準備が進められています。それぞれの領地で祭りは開催されるので貴族の子息息女たちは領主の子として参加するため、昨日の夕方から里帰りを始めています。今日も朝から多くの馬車が発っていきました。
学校に残っているのは領地が遠い生徒や、リード統治祭の準備にかり出される生徒、最初からここの祭り目当ての生徒です。大体半分くらいの生徒が残っています。
朝日ももちろんバーストマスターの役目のために残ったのでした。アイラとエミリーはジョージ先生のサポートをする為に残っていますし、ジャスパーは妹の晴れ舞台の方がケステル家の祭りより大事だと言って残ってくれています。明星にはテオが帰らなくていいのか聞いてみましたが、どうやらその必要は無いらしく、そもそも最初から朝日の為に残るつもりだったようです。皇太子であるルイスは王都に帰るべきなのでしょうが、次期国王という立場で建国際に出席するか否かで王宮は揉めているのです。彼は気を遣ってこういう行事にはこれまでも出席してこなかったのでした。同じ理由でエミリーも毎年出席していません。二人にとっては統治祭の方が親しみが持てる祭りなのです。
(今日はどうしようかなぁ)
ベッドに寝転がりながら考えます。祝日だからもちろん授業はありません。いつもは締め出される寮も解放されたままなので、ずっと寝ていられます。ですから使用人達も給仕には来てくれません。この三日間は朝食も昼食も無いと聞かされました。代わりとして食堂では手軽に食べられるサンドイッチが常時用意されているようです。祭りの準備に忙しい為の配慮なのでした。
もっとも、忙しく準備するのは主催者であるリード家とその使用人や先生あとは街の人達で、貴族である生徒達に何か仕事がある訳ではありません。先生達の手伝いに付き添う生徒は少数です。朝日もバーストマスターとして何か役割が与えられるのかと思いましたが、開催のパレードがあるものの、挨拶のスピーチをしたりといった、かしこまった式も無くそこは助かりました。明日は会場でジョージ先生と落ち合えばいいだけなので、気が楽です。祭りのフィナーレを飾るヴァーミリオン・ボムだって、お嬢様に全て任せればいいのですから楽ちんです……いいえ、あのお嬢様がどんな秘策を隠しているのか朝日にもまだ分からず、そこは不安を感じていました。
(お嬢さまー)
試しに呼びかけてみましたが、反応はありません。今までも直接意思疎通できたことはありませんが、ここのところ思うようにいかないことが多いのは確かです。体を任せようと思っても勝手に動いてくれないのです。
仕方なく朝日は自分でベッドから起き上がりました。シワになってしまったスカートを手で払い、部屋を後にします。とりあえず朝食を摂る為、食堂に向かいました。




