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5-5

魔法とはイメージの力である。

例えば、火球と水球をそれぞれ目の前でイメージし発動してみるといい。どちらがの方がイメージしやすく、また威力の大きなものになったであろうか?個人の適性を除けば恐らく多くの魔導士は火球の方が作りやすく、大きなものとなったに違いない。それがイメージによる差なのである。


人が他の野生動物と違う点を挙げるのならば、その一つは火を生活の中で利用してきた点であろう。太古の昔であれば偶然、雷による火災により火は手に入った。それを消さぬように、常に燃やし続け守ってきた。知恵が付けば摩擦熱による発火現象を利用し、望む時に火を手に入れることが出来た。人は常に火の側で生活を営み、身近なものとして利用してきた。その長い時間、当たり前の様に火があったおかげで我々魔導士は火を容易にイメージする能力を得たのである。


もちろん水も人の生活に欠かせないものである。個人によっては水の方がイメージしやすいだろう。しかし、火と水では決定的な違いがある。それは人が作り出したモノであるか否かだ。火は火打石を使えば誰でも作り出せる。水はどうだろう?井戸から汲んだ水を作り出したとは言わない。泉から湧く水を作り出したとは言わない。その事がイメージのしやすさにも繋がっていると我は考える。

火球をイメージする時、目の前に炎を”作り出す”イメージのしやすさこそ、多くの魔導士が火の魔法を得意としている理由であろう。


また環境によってもイメージのしやすさは変わってくる。冬に乾いた寒風の吹きすさぶ中で火球を発動してみるといい。まるで凍えて丸まる猫の様に小さなものが出来るはずだ。

逆に真夏の炎天下で同じく火球を発動してみるといい。ふてぶてしい野良犬の様に、だらりとまとまりのない火球が出来上がるはずだ。それは環境によるイメージが魔導士個人に影響しているのである。


注意したまえ。今、この書を読んでいる同士よ。イメージとは容易く変化しやすいのだ。ここまで記してきた内容を納得して読んでいたのなら、あなたは冬の日に小さな火球しか撃てなくなってしまう。また夏の暑い日にはまとまりのない散漫な火球が出来上がってしまう。

イメージとは力なのである。思い込みは時にあなたの魔法を変質させかねないのだ。


パタン!


メイベールは読んでいた本を閉じました。表紙を軽く手で払います。その本のタイトルは『魔法基礎学』

彼女にとっては内容が当たり前すぎて、得られるものは無いと判断したのでしょう。元あった棚へ戻します。単純に魔法の威力を上げるのなら、まずは基礎を見直そうと思ったのですが間違いでした。メイベールお嬢様は小さな頃から魔法の教育を受けてきました。基礎などはとうに心得ているのです。


もっと魔道の核心をつくようなものがないかと、棚の上から順番に本のタイトルを目で追い始めます。

(お嬢さまー……本気ですかぁ?)

今立っている目の前の棚でさえ、上から下まで合わせれば何百冊と収められています。周りは本棚に囲まれているのです。タイトルを眺めるだけでも、放課後の時間は使い果たしてしまうでしょう。


朝日は最初の一冊だけで心が折れかけましたが、お嬢様は次の本を手に取りました。


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