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ジョージ先生がこちらに気付いて、重たそうに言いました。
「ちょうど、よかったっ。彼を運ぶのっ、手伝ってくれっ、ませんか?」
「は?」
「え?」
言われるまま二人はテオを側の椅子に運んで座らせました。彼は疲れ切っていて、だらりと椅子に体を預け、喋る事も出来そうにないので先生に聞きました。
「あの……ナニをしてらしたの?」
変な答えが帰ってきたらどうしようかと思いましたが、先生は事も無げに答えました。
「魔法の研究ですよ?」
何か勘違いされたのだろうなと感じ取ったのか、先生が笑って説明します。
「今日、アナタ達がおこなった魔力の交換。あれをさっそく試してみたのです。彼にはいつも研究を手伝ってもらっているのですよ」
テオはようやく落ち着いたのか少し笑顔を見せてくれました。
「思った以上に彼だけ体への負担が大きいですね……それぞれに相性というものがあるのかもしれない」
先生は独り言のようにつぶやくと考え込んでしまいました。
「おに……テオ様、魔力を消耗してしまったのですわね。わたくしの魔力を分けて差し上げますわ」
メイベールがテオの頬に手を触れ魔力を流します。
「っ!」
とたん彼の顔は苦痛に歪みました。
「ご、ごめん」
どうやら適正が反発しあっているようです。
「なら私が」
今度はアイラが両手でテオの顔を包み込むと、魔力を流し込み始めました。疲労困憊だった彼の表情はみるみる落ち着きを取り戻していきます。代わりにアイラの表情は苦しそうです。
「あ、」
彼女は力が抜けたようになって崩れ落ちました。それをテオが抱きかかえて支えます。
「大丈夫か?無理しなくていい」
「はい……少しめまいがしただけです」
テオが膝に彼女を乗せ、背中をさすってあげます。
(ムー……)
先ほどはジャスパーとメイベールが兄妹で抱き合っている姿にときめいていた朝日ですが、テオとアイラが兄妹だとしても、その姿はなんだかモヤモヤします。
「ふむ。」
ジョージ先生がまるで今こちらに気付いたかのように頷き言いました。
「お二人は同じ適正なのですね。素晴らしい。しかしアイラ嬢、魔力の使い過ぎはよくない」
(先生が魔力を全部、石に変えたんじゃなかったっけ?)
この人はちょっと変なのだと、朝日は気付きました。
先生が薄暗かった部屋に灯りをつけます。辺りがハッキリ見える様になりました。
石造りで頑丈そうな壁が四方を囲むだけの部屋にはほとんど物は置かれておらず、あるのはテオの座っているイスと側の小さなテーブルくらい。壁に残っている垂れ下がったままの鎖だけは当時の惨状を想像させ不気味さを醸し出しています。
朝日は聞きました。
「なぜこんな所で研究を?」
「ここには私の結界が張ってあるのです。もし魔力が暴走して爆発を起こしても外に被害が及ぶことはないでしょう。地下ですから大きな音を立てても、問題ありませんし、それにここは暗いから集中できるのですよ」
何か物騒な事を言った気もしますが、朝日はそれ以上質問しませんでした。




