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3-6

午後は2限連続で魔法の授業です。座学ではなく、まずは生徒達の魔法適性を見るらしく、外での授業と言われました。Aクラスは人数が少ないのでBクラスと合同です。

「アイラさん、行きましょう」

自分の身勝手な思い込みだと分かった朝日は、アイラを笑顔で誘いました。

「はい」

さっき女の子達に言われたことはもう気にしていないのかアイラも笑顔で応えてくれました。


指定された広場に向かう途中、アイラが言いました。

「お兄さん、あ……テオさんって優しいですよね」

「わたくしといる時は、お兄さんでよろしくてよ」

「そうですか?なら、そうします……あの、私も一ついいですか?その喋り方、私といる時は気を遣わなくてもいいですよ」

「そう?なら、そうするね」

「さっきもお兄さんが言ってくれたんです。困った事があったらオレ達で助けてあげるって」

(あぁ、オレ達って事はアタシも入ってるのか)

どうやら明星は朝日を悪役にさせるつもりは全くない様です。朝日も無理にイベントをこなすのは諦めました。自分には悪役令嬢は無理そうですし、アイラの好感度がもうこれだけ上がっているのなら、このまま見守っていても大丈夫そうです。


「ねぇ、気を悪くしたらごめんなさいなんだけど、テオ様とアイラさんが兄妹って本当?」

「お兄さんから聞いたんですか?」

アイラは辺りを見回して誰も聞いていないのを確認してから言いました。

「本当です。」

「なんで教会に?兄妹ならそう言えば貴族として入学出来たんじゃないの?」

「知らないんですね……私はマジックキャンセラーなんです」

「マジックキャンセラー?」

裏エンディングをクリアしていない朝日には初めて聞く言葉でした。


「はい。貴族の中には稀に魔法が使えない子が生まれてくるんです。そういうのを魔法を相殺して生まれてしまった打消しの子、マジックキャンセラーと呼ぶんです」

「なんで教会に?」

「魔法が使えてこその貴族なので、マジックキャンセラーだと分かると秘密にして教会へ入れてしまうそうです」

「うわぁ……」

朝日は同情しました。最初はヒロインの方がよかったなどと考えていましたが、甘い考えだったのです。自分は大貴族の令嬢として恵まれていたのだと知りました。


指定された広場まで来ると、既に先生が待っていました。黒いローブ姿に、黒いサラサラの長髪で、瞳の色も黒。如何にもな魔導士といった風貌です。

(あ、ジョージ先生だ)

朝日にはなじみのキャラでした。ジョージ・リード。このリード魔法学校で魔法を担当している先生です。リードの名が示す通り、リード領当主の息子で貴族です。当主である父親はこの魔法学校の校長も兼任していて、いずれはジョージが後を継ぎ、校長となる人物です。

魔法が使える貴族相手に魔法を教えるわけですからその技量は高く、このブリトン王国の中でも指折りの魔導士だと言われています。


ゲームでの設定はさておき、ジョージ先生はアナドリの中で群を抜いて人気のあるキャラです。朝日はジャスパー推しなのでそれほど関心はありませんでしたがSNSでアナドリのつぶやきを見ると、大抵はこのジョージ先生に対する熱い想いがぶつけられていました。プレイヤーは生徒と教師の禁断の愛を楽しむのです。それは何もヒロインであるアイラが相手というだけではありません。FLSシステムのおかげで誰とでもくっつけられるのですから、男子生徒でもアリなのです。推し同士をカップリング出来るアナドリは、ファンの間で元祖 CPカプゲーと呼ばれています。


(アイラはどうだろう?)

気になって彼女の様子を盗み見ましたが、特に先生に対して反応がある訳ではないようで、朝日は安心しました。


「皆さん、集まりましたね。ではこれより魔法の授業を始めます。今日は最初の授業なので皆さんの適性を計らせてもらいます。適性を知ることは己の長所と短所を知ること。長所を伸ばし、短所を補えば、魔道の高みへと到達することも可能となるでしょう。では……」

ジョージ先生は手を掲げると魔法を発動させました。それは辺り一帯を包み込む半透明の膜の様なもので、光が屈折し外の景色は揺らいで見えています。


「今、魔法封じの結界を張りました。この中では魔法を使うのが著しく困難になります。昔はこの結界が戦場において重要とされ、ある貴族の家系の秘術とされていました。今は魔法を使った争いを抑えるための術として魔導士には必須とされています。いずれ授業でお教えしましょう。今日はこの中で自分にとって最大魔力で魔法を撃ってもらいます。質問は?」

メイベールが勝手に手を挙げていました。

(ちょっと!お嬢様⁉)

「ハイ、メイベール嬢」

当然、当てられてしまいました。


「魔法は何を撃ってもいいのでしょうか?」

口が勝手に喋ってくれました。

「ええ、構いませんよ。この中では魔法がほとんど使えません。それはつまり、自分が得意とする魔法でないと撃つことさえ叶わないという事です。この中で発動できたのなら、それはアナタ達にとって適性のある魔法という事になります」

「分かりました。」

「他に質問は?……いいですか?では、始めましょう」


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