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第三章 「魔法学校の生活」 3-1

このリード魔法学校は16歳から入学する6学年制の学校です。日本でいう高校と大学が合わさった様なもので、高校にあたる1年生と2年生のうちは基礎的な教養を身に着け、3年生から授業は専門的な内容へと変わります。


なので2年生を終了すると、進級するか、卒業するか、選択することになります。多くの貴族は2年生でもって卒業することを選びます。特に貴族であってもそれほど裕福ではない家は名門リードに通わせたという証明が欲しいだけなので、卒業していきます。賑やかなのは多くが卒業してしまう間の2年間だけ。進級するのは裕福な大貴族や本当に優秀なエリートが奨学金を受けて残るのみです。

ルイス、ジャスパー、テオは大貴族という家を背負っているので当然進級しており、共に後1年で卒業を迎える6年生の学友同士です。


クラスは身分によって3つに分かれます。上位貴族である、公爵・侯爵・伯爵はAクラス。下位貴族である、子爵・男爵はBクラス。更にジェントルと呼ばれる新興貴族はCクラスと、明確に身分によって分けられます。その事もあってAクラスは毎年20人前後と少人数となっており、BからCとなるにつれクラスの人数は増えます。3年生に進級すると人数はぐっと減るので、身分で分けることも無く専門分野を一緒に学習します。

メイベールは公爵令嬢なので、当然Aクラスになりました。



初日の授業で、朝日は教室に入り驚きました。

(人、少なっ!)

教室は階段状になっており、格段に椅子と机が固定されています。まるで小さめのホールくらいの広さがあるにもかかわらず生徒はまばらです。皆、初めてという事もあり、適当な距離を取って座っているので、余計に閑散として少なく見えます。

日本の学校を知っている朝日からすれば、少なすぎて今日は学級閉鎖になるんじゃないかと思った程です。これが人数の多いCクラスならば席はほとんど埋まります。


(どこに座ろう……)

これだけ空いていればどこにでも座れますが、座る位置というのは朝日でも重要な気がしました。自分がこのクラスの中で一番身分が高いハズです。身分が高い者はどこに座るのか?社会経験の無い朝日には分かりません。一番後ろでふんぞり返る?それとも教室の中央でどっしり構える?もしくは一番前に座って優等生ぶる?とりあえず一番前の席は先生に当てられそうなので、今日のところは端っこの隅で様子を見た方がよさそうです。

そう思って歩き出したのに、メイベールの足は勝手に動き、一番最前列のど真ん中に座ってしまいました。

(おじょうさまーぁ!)

周囲の目があるので、今更席を変えられません。朝日は心の中でお嬢様に不満をぶつけました。

自分が一番であると考えているメイベールにとっては、後ろなんて眼中にないのでしょう。前に居られると目障りとさえ思っているのかもしれません。


愚痴りながら一人座っていると、呼びかける声がしました。

「あの、隣いいですか?」

これだけ空いているのに、わざわざ隣に座らなくてもいいはずです。

(トナラーなの?)

声のした斜め後ろに振り返ると、意外な人物が立っていました。アイラです。

「ッぉ⁉」

思わず変な声が出そうになったのを嚙み殺しました。

朝日は油断していたのです。というのもゲームでメイベールが登場するのは、いつもメインキャラとアイラが仲良くしている場面だったからです。いい雰囲気になったところで邪魔しに入り悪役ムーブをかますのがメイベール嬢というキャラなのです。だからテオ達のいないこの場面で、しかも向こうから接触してくるとは頭の隅にも思っていませんでした。


声の出せないメイベールをアイラが不思議がっています。

「あの、ダメですか?」

『アナタ、目は見えてますの?隣でなくとも席はいくらでも空いているじゃありませんか。そもそもケステル家の令嬢であるこのわたくしと肩を並べるなど、身分をわきまえなさい』

そんな言葉が頭に浮かびました。それが口から飛び出す前に全部飲み込み言います。

「ええ……構いませんわよ。オホホ、同じ学友ですもの。一緒に学びましょう」

ニッコリ笑ったアイラは隣に腰を下ろしました。


(なんで、隣なんだろう?)

メイベールが重要なキャラと言っても所詮は脇役です。ゲームではメインキャラの様に詳細に普段の様子が描かれているわけではありません。

朝日はイベントが起きるのに備えて、普段はメイベール役を目立たぬ様そつなくこなすつもりだったのです。最初から予定が狂ってしまいました。

(待てよ……もしかしてストーリーが変わったの⁉)

昨日のパーティーでは、結果的に上手くいったものの、朝日が知っている内容とは少し違っていました。もしあの時、アイラに飲み物をぶちまけていれば、いま隣へ来て座るなんて行動はとらなかったはずです。

(あー、わかんない)


後ろの方からヒソヒソと喋る声が聞こえます。

「おい、あの子メイベール嬢の隣に座ったぞ」

「確か、昨日ルイス殿下と一緒に居た子だろ?」

「誰なの?」

貴族同士、誰がどの身分なのか知っているので、アイラの様に異質な存在と言うのは気になるようです。

(何かしたわけでもないのに……放っとけ!)

朝日までメイベールの素に毒されたのか、少しイライラしてしまいました。

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