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13-9

怒られたばかりでグランダと顔を合わせたくなかった朝日は、勝手に薪を持っていくことにしました。

(こんなに沢山あるんだから、何本か貰ったって……)

薪に手を伸ばした途端、家の窓が急に開きました。顔を覗かせたのはグランダです。

「何してるんだい」

「⁉……あの」

「何も言わずに持っていこうって言うのかい?この泥棒猫!」

「……」

グランダに抱かれている猫がジッと見下ろしてきます。


「フン!アンタ、アリとキリギリスって話を知らないのかい?その薪はあたしが夏の間にせっせと集めておいたものなんだよ!黙って持ってくな!」

グランダは窓を閉めてしまいました。

「……アタシ達、冬にいきなり連れてこられたんだもん……夏に準備なんて出来るわけないし」

落ち込む朝日にアイラが声を掛けます。

「何か燃やせるものが無いか探しましょう?」

アイラは石垣の外に生えている樹を指さしました。


敷地の西側には、まとめて木が植えられている様でした。林とまでは呼べないソコは、薪にするために植えられているらしく、行ってみるといくつかの切り株が目に付きました。

生えているのはブナの木です。銅葉ブナと呼ばれる種類で、葉の色が赤茶色く、地面には落ち葉が敷き積もって茶色い絨毯の様になっていました。

手分けして落ち葉の絨毯を踏みしめながら歩き回ったものの、薪に出来そうな木は転がっていません。落ちていても細い枝くらいです。

「どうしろって言うの……」


下を向いて歩き回る二人の足元に犬が駆けて来て、じゃれつきました。

「なにしてる」

「ヒッ!」

声にビックリして振り返るとオリバーがいました。

「え……っと、薪が欲しくて、」

「もう片付けたから、そんな所に落ちてない」

素っ気なく言った彼は犬を連れて敷地の中へ入って行ってしまいました。

「なんなの?あの人、」


「とりあえず葉っぱを集めて燃やします?」

その葉っぱも曇っている天気の為に、湿気っています。なんとか乾いていそうな葉っぱを集めていると、背後でドサッと物音がしました。

またビックリして振り返れば、またまたオリバーがいます。彼の足元には針金でくくってまとめられた薪の束が2つ転がっているのでした。

「くれるの?……ありがと」

何も言わず、オリバーは引き上げていきます。

「いい人そうですね」

「そうかなぁ?」


薪は手に入ったので二人はさっそくカマドで火を起こすことにしました。まず集めた葉っぱと小枝を入れ、その上に薪を重ねます。いざ火をつける時になって朝日は気付きました。

「そうだ……マッチが無い」

「じゃあ、私が付けましょうか?」

アイラが人差し指を立てます。彼女なら魔力操作で火花を飛ばすことが出来るのです。朝日はこの時になってようやく気付きました。

「そうだった!アタシ、火の魔法が使えるんだった!」

苦労しなくても火で温まる事ぐらい、訳なかったのです。そんな事にも気づかなかった自分が不甲斐なく思えて朝日はその場でうずくまり、うなだれました。


落ち込む朝日にアイラが優しく声をかけてくれます。

「早く火をつけてスープを作りましょう?」

アイラはまだ魔法を使い始めて日が浅いので、日常的に使う事に慣れてはいないのです。それは朝日だって同じです。しょうがないのかもしれません。メイベールなら、魔法で解決してくれたはずですが、グランダに嫌味を言われてからお嬢様の意識は表には出てきません。相当落ち込んでいるようでした。

「ごめん……アタシがもっとしっかりしていれば、」

「そんなことないですよ。私も、もし独りだったら毛布にくるまるだけで何も出来なかったと思います」

(やっぱりアイラさんと一緒でよかった)

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