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95話 マキの課題-2
「マキ! そんな演技ではダメだ! 何度言ったら分かるんだ!!」
「ううっ……。ごめんなさい、コーチ……」
マキが謝罪する。
どうやら彼女は、女性コーチに叱責されているらしい。
先ほどまでの元気はどこへやら、すっかり落ち込んでしまっている。
「何かあったのか? コーチも、あんな怒鳴らなくてもいいのに……」
龍之介が眉を顰める。
すると、女性コーチがこちらに気付いた。
「ん? お前は……2年の龍之介だな?」
「あ、はい。そうですけど……」
「ちょうどいい。お前からも言ってやってくれ! マキのあの演技はダメだと!!」
「……どこがダメなのでしょうか? とても可愛らしくハイレベルな演技でしたが」
龍之介が訊ねる。
すると、女性コーチは龍之介の意見が気に入らなかったようで、彼を睨みつけた。