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9話 愛情クロストレーニング

 龍之介とミオが出会ってから1週間が経過した。


「おはよう、ミオ」


「お、おはようございます……。龍様」


 いつものように、龍之介が先に部室に来ていた。

 一方のミオはどこかぎこちなく挨拶する。


「おいおい、様付けはやめてほしいな。俺たちはたったの1学年差だぞ」


「も、申し訳ありません。ですが、許されるのならこのままがいいです……龍様」


「うーん……。まあ、いいか」


 ミオは呼び方を改めない。

 彼女の性格上、無理強いをしても逆効果だろう。


「さて、今日も部活動を始めるとするか。最初はウェイトリフティング……その後は野球だ」


「は、はいっ! 今日もご指導、よろしくお願いします!!」


 龍之介の言葉を受けて、ミオは元気よく答えた。

 ――彼らが出会ったのは、わずか1週間前のことだ。

 しかも、ウェイトリフティング部を覗いた上で乱入し不埒な行為を行った男。

 それがミオの中での龍之介像であった。

 しかし、この1週間で、龍之介に対する印象は大きく変わったのである。


「はああっ! どりゃああ!!! ずどどりゃぁっ!!!!!」


「おお、すごいな。ミオ」


 龍之介の目の前で、ミオがバーベルを持ち上げる。

 今まで彼女が上げてきた重量を遥かに超えた重量だ。

 1週間という短期間で、これほどまでに向上したのである。


「ふぅ……。自分のことながら、信じられないですね。こんなにも成長できたなんて」


「ああ、俺も想像以上だったよ。まさか、これほどまで成長するとは……」


「これも全て、龍様のおかげです。本当にありがとうございます!」


「いやいや、俺は大したことはしていないさ」


 龍之介がミオにしたこと。

 それは、ある意味では画期的なトレーニング方法であった。


「では、今日も【愛情クロストレーニング】を始めるか」


「は、はいっ!」


 龍之介に呼ばれ、ミオがベンチの上に横になる。

 ミオはトレーニングウェアと下着を脱いで全裸となった。

 そのまま、バーベルを持ちベンチプレスの体勢になる。


「では、行くぞ」


 龍之介がミオの胸に手を伸ばした。

 彼は右手で彼女の左胸を優しく揉みながら、左手で右胸をもみ続ける。


「ひゃん……! あ、あぁ……!!」


「さあ、バーベルを上げるんだ!」


 龍之介が指示を出す。

 ミオは必死にバーベルを持ち上げた。


「はあぁん! あんっ……!! んっ、んん――っ!!」


「そうだ、いいぞ」


 龍之介の手で胸をいじられながら、バーベルを上げるミオ。

 その表情は苦痛ではなく、快楽によって歪んでいる。

 そんな表情もまた可愛らしいと龍之介は思った。


「そろそろ限界だろう。さあ、バーベルを下ろすんだ」


「は、はひ……!」


 龍之介の指示を受けたミオが、ゆっくりとバーベルを降ろしていく。

 そして、ようやく胸から手を放した龍之介が口を開いた。


「……うむ! 今日も、見事に成長したようだな」


「はぁ……。はぁ……っ!!」


 ミオは、肩で息をしていた。

 顔は完全に上気しており、胸の頂点もピンと立っている。


「次は俺の番だな。ミオ、しっかりとサポートをしてくれ」


「は、はいっ!!」


 龍之介の言葉に、ミオが元気よく返事をする。

 彼はベンチの上で仰向けに寝転がった。

 2人のトレーニングは、交代しつつ順番に行う。

 これにより、2人のパワーは急成長を遂げていた。


 2人がウェイトリフティング部としてのトレーニングを終える。

 次は野球部のグラウンドでの練習である。


「ミオ、本当に大丈夫なのか? ウェイトリフティング部と野球部の掛け持ちなんて……」


「問題ありません! どうせ、ウェイトリフティング選手としては行き詰まっていたのです。それに、1人で厳しいトレーニングに励むよりも、龍様との【愛情クロストレーニング】の方が100倍効果がありますから!!」


「ふむ……。そう言ってくれるのは嬉しいな。俺を除けば、記念すべき部員1人目だ」


 龍之介とミオは、そんな会話をしながらグラウンドに向かっていく。

 そして、ユニフォームに着替えて練習を始めた。

 初めは軽いキャッチボールから。

 そして――


「いくぞ! ミオ!!」


「ど、どうぞ……!」


 龍之介がマウンドに立つ。

 バッターボックスではミオがバットを構える。


(ふわぁ……。龍様、凄く格好良い……)


 それを見て、顔を赤くするミオ。

 龍之介の構えは堂に入っており、様になっている。

 そんな姿にミオは憧れるのだった。


「さあ、行くぞ!」


 龍之介がセットポジションに入る。

 そして、彼は右足を上げて投球した。


『――ストライーク!!』


 審判を務めているロボ3号がコールする。

 そして、捕手を務めているロボ9号のミットの音が響き渡った。

 女子選手のミオが加入したことにより、特殊能力【煩悩の力】を持つ龍之介の野球能力も向上している。


「ミオ! もっとボールをよく見るんだ!!」


「は、はいっ!!」


 龍之介の叱咤に、ミオは慌ててバットを構える。

 そんなやり取りがこの1週間で何度も繰り返されていた。

 ウェイトリフティング部のミオのパワーは凄まじいものがある。

 一方で、ミート力やグラブ捌きなどは、まだまだ改善の余地があった。

 龍之介とミオは、野球ロボのサポートを受けながら2人仲良く練習に励んでいくのだった。

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