82話 大火熱血高校 vs スターライト学園-2
「予想通り、高めに外してきたわね! でも、ここは私の得意コースよ!!」
ハルカはタイミングを合わせ、バットを振り抜いた。
彼女は一流バッター。
少しばかりボールゾーンに外れた球であっても、ヒットにすることは可能だ。
それが得意コースであれば、なおさらである。
カキィィィン!!
快音が鳴り響き、打球がレフトへ伸びる。
「あははっ! 完璧に捉えたわ! 明日のニュースが楽しみね! 決勝戦でサヨナラ満塁ホームランなんて、これ以上の話題はないじゃない!!」
ハルカが勝ち誇ったように叫ぶ。
その打球はレフトスタンドにまで到達すると思われたが――。
バシィッ!!
「えっ……!?」
レフトが最奥部でフライを捕球した。
ハルカの打球は途中で失速し、スタンドまでは届かなかったのだ。
「ど、どうして!?」
ハルカが困惑する。
ボール球とはいえ、狙い球を完璧に捉えたはずだった。
『ハルカ選手の打球はレフトフライ! しかし――3塁ランナーがタッチアップ! レフトからのバックホームは――間に合わない! セーフ!! スターライト学園、サヨナラ勝ちーー!!!』
「「うおおおおぉっ!!」」
ベンチから、スターライト学園の選手たちが飛び出す。
そして歓喜の輪を作った。
「さっすがはキャプテン!」
「見事な犠牲フライだ!」
「本当に凄かったよ!!」
チームメイトたちがハルカに労いの言葉をかける。
だが、彼女は腑に落ちない様子で、マウンド上の不知火に視線を送った。