表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/171

71話 2回の表 温まってきた不知火

 桃色青春高校にとって、初回の攻防は素晴らしいものになった。

 攻撃では龍之介の3ランホームランで先制し、守備では2奪三振を含め完璧に抑えたのだ。

 そして、イニングは2回の表。

 マウンドには、大火熱血高校のエースにしてキャプテンを務める、不知火守が立っている。


「うっしゃあああぁっ! 少しずつ温まってきたぜぇえええ!!」


 不知火が気合の籠もった声を放つ。

 彼女は燃え盛るような熱気を纏い、球場全体をその熱で包み込んだ。


「いくぞおおぉおおおおっ! おらぁっ!!!!」


『ストライクッ! バッターアウッ!!』


 不知火の投球は、まるで弾丸のように速い。

 ストレートとカーブを織り交ぜた緩急自在のピッチングで、野球ロボ0号を三振に仕留めた。


「やるな……不知火」


 初回にホームランを打った龍之介も、そのキレのある球には舌を巻いた。

 明らかに、初回よりも球威が増している。


(11月とは思えないこの暑さだが……。奴にとっては適温ってことか。もっと涼しければ優位に戦えたかもしれないな……)


 龍之介がそんなことを考える。

 ただ、そのようなことを考えても仕方がない。

 彼はすぐに次の打者に意識を向ける。


「アタシの魂が荒ぶってるぜぇええっ! おりゃあああぁっ!!」


『ストライクッ! バッターアウトッ!!』


 不知火は、8番打者の野球ロボ9号を三振に仕留めた。

 下位打線相手とはいえ、2者連続奪三振。

 初回の3失点が嘘のようだ。

 しかし、これだけでは終わらない。


「震えるぜハートっ!! 燃え上がるほどヒートぉ!!! おおおぉおおっ!!!」


『ストライッ!! バッターアウッ!!!』


 不知火は、下位打線に対しても全く手を取らない。

 9番打者の野球ロボ8号まで三振に仕留め、3者連続奪三振を成し遂げたのだ。

 これでスリーアウトチェンジである。


「もう交代か……。休む時間もないが、仕方がないな」


 龍之介がそう言いながら立ち上がる。

 野球ロボの性能は低い。

 守備範囲が狭いのはもちろん、打撃にも期待薄だ。


 それも、単に打率が低いというだけの話ではない。

 三振率が高く、四球率が低いのだ。

 低打率から受ける印象以上に、野球ロボの貢献度は低い。

 野球ロボが3人続く打線を組んでいる以上、こうした3者凡退のイニングはどうしても発生しやすくなる。


(それでも、1回戦や2回戦ではたまーにヒットを打ったりもしていたんだけどな。凡退するにしても、三振じゃなくて内野ゴロとか……)


 龍之介はそう思いながら、マウンドに立った。

 彼は既に少し疲れた顔をしている。


「あの……大丈夫ですか? 龍様」


「今日の暑さにやられちゃってる?」


「心配するな。まだ2イニング目だ。そこまで疲れていないし、暑さにやられてもいない」


 心配して声をかけてくるミオとアイリに、龍之介が返事をする。

 実際、彼はバテバテというには程遠い状態だ。

 しかし、いつもより消耗ペースが早いのも事実である。

 2回の表が短時間で終了したことも少し影響していた。


「集中して参りましょう。龍さんなら抑えられるはずですわ」


「ああ。3点のリードを守れるよう、頑張っていこう」


 ユイの言葉に対して、龍之介が力強い返事をする。

 彼は気合を入れ直し、2回の表に向けて投球練習を始めるのだった。



     123456789 計

―――――――――――――――――

桃色青春|30       |3|

大火熱血|0        |0|

―――――――――――――――――

2回表、桃色青春高校高校の攻撃終了




【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ31【ダークホース桃色青春高校】


480:代走名無し@野球大好きオジサン

2回の表は三者連続三振か……

不知火投手からヒットを打てる気がしないな


481:代走名無し@野球大好きオジサン

マジで素晴らしいピッチャーだ

さすがは強豪校のエース


482:代走名無し@野球大好きオジサン

そこまで絶賛するほどかね?

所詮は下位の野球ロボ相手だぞ

初回は3ラン打たれていたし、微妙な投手だと思うけどな


483:代走名無し@野球大好きオジサン

>>482

不知火投手は尻上がりタイプなんだよ

次の回を見ておけ

ちょうど初回と同じく1番から始まる打順だが、今度は抑えるはずだから


484:代走名無し@野球大好きオジサン

その前に、大火熱血高校の2回裏の攻撃があるだろ

不知火投手が尻上がりタイプだとしても、既にある3点差を何とかしないと勝てないぞ


485:代走名無し@野球大好きオジサン

2回裏は、4番打者から始まる打線か

また熱血プレイが見られるのかね?

あれで怪我でもしたら、どうするんだか……


486:代走名無し@野球大好きオジサン

体力も消耗するしな

投手以外の選手がバテバテになって選手交代とか、珍しい光景が見られるかもしれんぞ


487:代走名無し@野球大好きオジサン

>>486


488:代走名無し@野球大好きオジサン

心配無用だ

大火熱血高校はちゃんと怪我抑制の練習をしているし、体力もある

控え選手層も厚いから、いざというときには交代しても問題ない

まだまだ熱血プレイを見せてくれると思うぜ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ