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56/171

56話 勝者は……

 9回の裏、桃色青春高校の攻撃。

 ワンアウト・ランナー1塁2塁。

 このまま得点できなければ桃色青春高校の敗北となる一方で、同点や逆転のチャンスでもある。

 バッターは、4番のミオ。

 普段は頼りになる打者なのだが、ワンボール・ツーストライクと既に追い込まれてしまっている。


(……もう迷いません。私には愛する龍様と、大切な仲間たちがいるのですから)


 ミオは、再びバットを構えた。

 龍之介やチームメイトたちが励ましてくれたことで、彼女は落ち着きを取り戻している。


(次の1球……甘い球が来たら、絶対に仕留めてやります)


 ミオはそう決意すると、相手ピッチャーを睨んだ。

 ピッチャーがセットポジションに入る。

 やはり相手も緊張しているのか、甘い球が高めに来た。


(私は……4番打者です!!)


 龍之介のアドバイスとチームメイトたちの声援。

 その全てを受け止めて、ミオは渾身のスイングでバットを振り抜いた。


「どりゃああああぁぁ!!」


 カキィィィン!!

 金属音が鳴り響く。

 その打球は、センター方向へと飛んでいった


『打ち上げた打球がどんどん伸びていく! センターが懸命にバックする! どうだ!? ……フェンス直撃!! これは長打になる!!』


 実況ロボが叫ぶ。

 そして、センターはフェンスから跳ね返ってきたボールをキャッチした。

 その間にも、ランナーは進塁している。


『2塁ランナー・ノゾミ選手ホームイン! 桃色青春高校、同点!! 土壇場でゲームを振り出しに戻し――いや、違う! 1塁ランナーの龍之介選手が3塁を蹴った!!』


 龍之介はホーム目指して疾走する。

 しかし、タイミングはかなり厳しいように見えた。

 ショートのソフィが中継に入り、センターからボールを受け取る。


「この局面で暴走しましたね……。私は肩だって強いのです!!」


 ソフィがホームへ送球する。

 龍之介は、ホームベースに向かって頭から突っ込んだ。


「うおぉぉりゃああぁぁ!!」


 タイミングはギリギリだった。

 龍之介の体がホームベースに触れる。

 キャッチャーがタッチを行おうとするも、そのミットよりも一瞬だけ速く彼は滑り込んでいた。


『判定は……セーフです! 桃色青春高校、サヨナラ勝利ーー!!!』


 実況ロボが叫ぶ。

 龍之介は勢いよく立ち上がると、拳を振り上げた。

 チームメイトたちも大喜びである。

 逆転サヨナラヒットを打ったミオは、龍之介に駆け寄ると力強く抱きついた。


「龍様! やりました!!」


「ああ! 最高だぜ、ミオ!!」


 2人は熱い抱擁を交わす。

 アイリ、ノゾミ、ユイもすぐに2人へ駆け寄り、勝利の喜びを分かち合う。

 こうして、桃色青春高校は2回戦でプリンセスガーディアン・ハイスクールを相手に勝利を収めたのだった。



     123456789  計

――――――――――――――――――

プリンセスガ|000000002 |2|

桃色青春|000100002*|3|

――――――――――――――――――

試合終了

桃色青春高校の勝利




【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ20【ダークホース桃色青春高校】


817:代走名無し@野球大好きオジサン

試合終了!!


818:代走名無し@野球大好きオジサン

熱かった!

熱かったぜ、両校とも!


819:代走名無し@野球大好きオジサン

まさかの展開だったな……

最終回で2点ずつ入れるとは


820:代走名無し@野球大好きオジサン

ミオ選手最強!

1回戦では2本のホームラン!!

この2回戦ではホームランなしだが、センターオーバーのサヨナラツーベース!!

他の打席でも、あわやホームランかという大飛球を放っていた!


821:代走名無し@野球大好きオジサン

注目すべきはアイリ選手とノゾミ選手だろ

彼女たちがいなければ、桃色青春高校はもっと失点していたぜ

それに、攻撃面でも貢献しているし


822:代走名無し@野球大好きオジサン

新戦力のスーパーキャッチャー、ユイ選手を忘れていないか?

あの強肩がなかったら、盗塁され放題だった可能性がある


823:代走名無し@野球大好きオジサン

桃色青春高校は野球ロボの穴が大きすぎるが、ハイレベルな選手でそれを補っている形か

ミオ選手、アイリ選手、ノゾミ選手、ユイ選手

全員が素晴らしいプレイヤーだ


824:代走名無し@野球大好きオジサン

しかしそういう意味なら、やはり龍之介選手がこのチームの核だよな

9回を2失点で完投

バッティングでも、たしか2安打してたはず


825:代走名無し@野球大好きオジサン

だな

中学時代より衰えているって話も聞くが、彼の存在はチームにとって大きい


826:代走名無し@野球大好きオジサン

徐々にだが野球勘を取り戻しているようにも見える

3回戦では、もっとすごいところを見せてくれるかもしれないな

俺は今からワクワクしているぞ!


827:代走名無し@野球大好きオジサン

しかし、3回戦ともなれば中堅校や強豪校が上がってくるぞ

はたして、どうなるだろうか……


828:代走名無し@野球大好きオジサン

1回戦の大草原高校は、敷地にある大草原を活かした自然研究とかが盛んな高校。

2回戦のプリンセスガーディアン・ハイスクールは……

たしか、要人のボディガードとかを育成する高校だったよな?

野球を通して身体能力やチームワークを鍛えているだけで、野球そのものに全力では取り組んではいなかったはず


829:代走名無し@野球大好きオジサン

野球そのものに力を入れている強豪校と当たれば厳しそうだな

攻撃も守備も……

また誰か新戦力がほしいところ


830:代走名無し@野球大好きオジサン

桃色青春高校は、野球以外のスポーツで結構な実績がある

強力な助っ人を見つけられれば、中堅校や強豪校が相手でもワンチャンあるかもな

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