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43話 桃色青春高校 vs プリンセスガーディアン・ハイスクール

 10月下旬。

 秋の高校野球大会の日程は、順調に消化されている。

 Bブロック2回戦第1試合は、【桃色青春高校】vs【プリンセスガーディアン・ハイスクール】の試合が行われる。

 試合開始まで、あと10分を切っていた。


「いよいよ始まるな」


 龍之介が呟く。

 そんな彼の言葉に対し、チームメイトたちは強い眼差しを向けた。


「ええ。まずは2回戦突破を目指して……ですね?」


 ミオの言葉に、アイリとノゾミが大きく頷く。

 最終目標は甲子園の優勝なのだが、1つずつ目の前の試合を勝っていくことが大切だ。

 2人の様子を見て、ユイはニヤリと笑みを浮かべた。


「わたくしにお任せください。1回戦では未加入だったわたくしがいれば、好き放題に盗塁されることはあり得ませんわ」


「確かに、ユイがいれば盗塁の心配は大きく減る。この試合は、ユイがキャッチャーとして活躍できるかどうかにかかっていると言っていい。練習通りにできれば、俺たちの勝ちが濃厚だと思う」


「おーっほっほ! わたくしの実力を思い知らせてやりますわ!!」


 龍之介の言葉に、ユイは不敵に笑った。

 そんな彼女の自信に満ち溢れた様子に反応したのか、相手チームの選手が近づいてきた。


「ほう……。面白いことを仰いますね。私たち『プリンセスガーディアン・ハイスクール』に勝てると?」


「――ん? 君は……確かショートの……」


「ソフィと申します。あなた方には悪いですが、2回戦で消えてもらうことになります」


 ソフィと名乗った少女が、不敵な笑みを浮かべる。

 龍之介は、そんなソフィを興味深そうに見つめた。


「言葉を返すようだが、そっちこそ随分と強気じゃないか。負けることなど全く考えていないようだな」


「当然です。私たちは『プリンセスガーディアン・ハイスクール』。姫様に勝利を捧げるために存在しますので」


「姫様……?」


 ソフィの言葉に、龍之介が首を傾げる。

 だが、彼女はそれ以上は何も答えずに、チームメイトの元へ戻っていった。


「ふむ……。よく分からんが……」


 龍之介は首を振る。

 試合開始まで残り3分を切っていた。


「気持ちを切り替えないとな。試合のオーダーを確認しておこう」


 彼は電光掲示板に表示されたメンバー表を眺めた。

 以前にも言及したことだが、ここで2099年の電光掲示板についての仕様を再整理しておく。


 表示されているのは打順、守備ポジション、名前だ。

 2099年の今、登録できる名前はかなり自由化されている。

 名字でもいいし、下の名前でもいいし、フルネームでも構わない。


 さらに、龍之介の脳内には各人の能力値も表示されている。 

 順に、ミート、パワー、走塁力、送球力、守備力である。

 自チームについては野球ロボのスキャン機能もあり、かなりの精度で把握している。

 また、中学大会の覇者である龍之介は、相手の能力もそこそこの精度で予測することができた。



後攻・桃色青春高校


1番中・ノゾミ・EFADC*

2番遊・アイリ・FEBCB*

3番投・龍之介・ECDEC*

4番一・ミ オ・CADCF

5番捕・ユ イ・FDEAD

6番左・ロボ0・FFGGG

7番二・ロボ8・GGFGF

8番三・ロボ9・GGGFF

9番右・ロボ7・GGFFG


*は左打者


投手・龍之介

最高球速130km 制球力D 持久力D 変化球D


チーム全体評価

打撃E 走塁E 守備E 投手D 控え選手G 総合力E



先攻・プリンセスガーディアン・ハイスクール


1番遊・ソフィ・DFCCB

2番二・ガレティア・EFDDC

3番中・セリナ・EFDDC

4番一・ユーリ・EEFDC

5番三・イリス・FEEDC

6番左・レストウィン・FFFED

7番右・ラ ナ・FFFED

8番捕・ユリア・GFFCC

9番投・リンディル・GGFDC


投手・リンディル

最高球速125km 制球力D 持久力E 変化球E


チーム全体評価

打撃F 走塁E 守備D 投手E 控え選手F 総合力E



「よし……みんな、円陣を組むぞ!」


「はい! 皆さん……絶対に勝ちましょうね!」


「「「おー!!!」」」


 5人は肩を組み、掛け声を上げる。

 こうして、桃色青春高校の第2回戦が幕を開けたのだった――。




【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ19【ダークホース桃色青春高校】


017:代走名無し@野球大好きオジサン

ついに始まるか、桃色青春高校の2回戦!

ワイは1回戦から応援しとったで~!!


018:代走名無し@野球大好きオジサン

>>017 マジ?

1回戦は見てなかったけど、そんなに注目度高かったのか?


019:代走名無し@野球大好きオジサン

>>018 せやで!

だって、中学大会の優勝投手である龍之介選手を擁する高校なんやで!?


020:代走名無し@野球大好きオジサン

ま、お手並み拝見ってところだな

1回戦じゃ、野球ロボの隙を突かれまくっていたからな


021:代走名無し@野球大好きオジサン

キャッチャーが野球ロボから人間に置き換わっているみたいだぜ

ユイ選手か……

この選手については、全く情報がない


022:代走名無し@野球大好きオジサン

なんか、投球練習を見る限りでは龍之介選手の球速が上がってないか?

130km近く出てた


023:代走名無し@野球大好きオジサン

>>022 中学時代を考えると、もっと出せると思うけどね

実戦を通して勘を取り戻してきたっぽい


024:代走名無し@野球大好きオジサン

プリンセスガーディアン・ハイスクールは守備に定評がある

1回戦とは違う展開になりそうだ

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