189話 サユの打撃-3
「はぁ? 今の、何?」
「フォークですわね。途中で心変わりする球種ですの」
「性格悪いわね、球のくせに!」
龍之介は手を緩めない。
外角にスライダー。
真ん中から沈むフォーク。
サユのバットは、真ん中ストレートにはしっかり当たるが、コースと変化球には対応しきれない。
空振りの割合が明らかに増えていく。
「真ん中ストレートだけなら、強い打球が五割。コースと変化球混ぜると、一気に一割台だな」
「数字で言わないで。なんかテスト落ちた気分になるから」
「テストだよ、これは」
龍之介は短く答え、マウンドから降りた。
その背中は、まだ何かを考えているように見える。
「初日でこれは悪くない。だが、既存メンバーにはやはり及ばないようだ。当面は下位打線だな」
「はっきり言うわね、龍」
「嘘はつかない主義だからな」
「……ふん。まぁいいわ。私は守備で貢献してあげる。それに、いずれは下位打線から這い上がってやるわよ」
唇を引き結び、拳を握る。
その姿には、さっきまでの悔しさに加え、静かな闘志が宿っていた。
何かを諦めるのではなく、ここから始める――そんな決意。
「さて、最後にみんなの現状も把握しておこう。ロボ1号、恒例のやつを頼む。俺たちの成長と能力をまとめてくれ」




