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185話 サユの守備-4

「へぇ……普通に入ってますよね? ピッチャーの才能まであるなんて、同じ一年生ながら尊敬しちゃいます」


 ノゾミの感心した声が飛ぶ。

 他のメンバーからも、小さな歓声が上がる。

 そして、三球目。

 ミオが無言のまま、わずかに重心を落とした。


「そこっ!」


 ミオのバットが火を噴いた。

 ライナー性の打球が、マウンドに一直線。


「――ひぃっ!?」


 サユが悲鳴を上げ、反射的に身をひねって避ける。

 ボールは彼女の脇をかすめ、センターへ抜けていった。


「な、なによ今の! 殺意こもってない!?」


「こもってませんよ。いつも通り、全力でスイングしただけです」


 ミオは首をかしげるようにして答えた。

 その表情には一切の悪意がなく、ただの事実を述べたにすぎないといった風情。

 きょとん、とした顔が逆に怖い。


「ピッチャーはこれがあるんだよな。ライナー性の打球が正面に飛んでくる。心臓に悪いだろ」


「悪いどころじゃないわよ……。死ぬかと思ったわ……」


 膝に手をつきながら、サユがぐったり呟く。

 かろうじて命拾いしたとでも言いたげに。


「決まりだな」


 龍之介の低い声が場に響く。

 それだけで空気が変わった。

 周囲の視線が一斉に彼に向く。

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