表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/171

165話 帰国と女子中学生-2

「試合のこと?」


「ああ。ルビーとの勝負も、お前と一時的とはいえチームメイトになったのも……全部が濃すぎた」


 彼の言葉には、充実感や懐かしさが混ざっていた。

 中学時代、チームメイトだった二人。

 けれど、今は別々の高校でエースナンバーを背負い、次の夏大会ではぶつかり合う可能性の高いライバルだ。

 そんな関係でありながら、こうして自然体で会話できることに、どこか不思議な感覚を覚えていた。


 ホームに電車が滑り込んでくる。

 金属の車輪がレールを削るような音とともに、冷たい風が吹き抜ける。

 そして、扉が開いたその瞬間――


 ドンッ。


 龍之介の肩にぶつかるように、ひとりの男が走り抜けた。


「あっ……! 誰かっ、その人を捕まえて! カバンを盗まれたの!」


 甲高い悲鳴が構内に響いた。

 制服姿の少女――おそらくは女子中学生――が必死に追いかけようとしていたが、スピードが違いすぎた。


 龍之介は即座にバッグのファスナーを開け、硬球を取り出す。

 隣では、ハルカがすでに投球動作に入っていた。


「くらいなさいっ!」


「ぐえっ!? く、くそっ……!」


 鋭く腕を振り抜いたハルカの一球は、男の背中を正確に捉えた。

 だが、男はよろめきつつも、そのまま走り続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ