表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/171

161話 日本 vs オーストラリア -4

 第一球。

 ルビーが身体をひねり、思い切り腕を振った。

 風を切る鋭い音が一瞬遅れて耳に届き、白球が目にも留まらぬ速さでミットに収まった。


『ストライク!』


 主審ロボの声が少し遅れて響く。


「はっや……!」


 龍之介の目が見開かれる。

 想定より遥かに速い。


 二球目。

 再び、剛速球。

 振り抜いたバットは空を切り、風を切った音だけが虚しく残った。


『ストライク、ツー!』


 誰もが息を呑んだ。

 中学生――しかも女子が、日本チームの主軸を相手に圧倒しているのだ。


「ホンモノだな……。女子中学生で、これほどの剛速球を投げられる奴がいるとは」


 三球目。

 今度はわずかに外れた。

 しかし、その球速に変わりはない。


『ボール、ワン!』


 表情一つ変えず、主審ロボが告げる。

 龍之介は口をへの字に曲げた。


(コントロールは甘い……でも、それ以上に“勢い”がある)


 四球目もボール。

 続く五球目は、内角に大きく外れた。


 フルカウント。

 マウンド上のルビーは、額に浮かんだ汗を袖で拭い、唇を引き結ぶ。

 揺らぐことのない眼差しが、再びキャッチャーミットへと注がれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ