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13話 アイリとの決闘

 合気道部の道場を覗いていた龍之介は、部員の女生徒たちに見つかり囲まれてしまう。

 そこに助け船を出したのは、銀髪ショートのボーイッシュな美少女アイリだった。

 窮地を脱した龍之介は立ち上がるが、その際に股間のテントが部員たちの前に突き出されてしまった。

 覗きが冤罪ではなく、真実だと判明した瞬間だった。

 アイリに「失望した」と言われる龍之介だったが、彼は彼女を引き留める。

 そして、決闘を申し込んだ。


「龍之介……正気なの? これでも、ボクは合気道部の部長だよ?」


 アイリが、龍之介に向かって言う。


「ああ、そうだ。俺はいつでも正気だ」


「そうは見えないけど……。それで? ボクに決闘を申し込むのはいいけどさ、その目的はなに?」


 2人は、改めて道場の中央で向かい合った。

 そんな2人を、他の部員たちは興味深げに見ている。


「俺が勝ったら、俺を覗き疑惑を撤回してもらおう」


「疑惑も何も、真実だと思うけど……」


「それに加え、お前には野球部に入ってもらう。部長として簡単に抜けるわけにもいかないだろうし、兼部でもいいぞ」


「へぇ……」


 アイリの目が、スゥっと細められる。


「君は、ボクに野球をやれと言うのかい? 君といっしょに?」


「そうだ」


「……分かったよ。どうせ、勝負の結果は見えているしね。それで、君が負けたら?」


「覗き疑惑の認知は言うまでもないが……そうだな」


 龍之介は少し考える。

 そして、答えた。


「アイリが望むことを、1つ何でもしてやろう」


「なんでも?」


「できる範囲でだがな」


 そんな龍之介の言葉に、アイリは一瞬だけキョトンとした表情をする。

 そして――


「……言ったね? もう取り消しはきかないよ?」


「男に二言はないさ」


 自信満々に言う龍之介。

 そんな龍之介に、アイリは不敵に笑う。


「分かったよ。勝負だ」


 2人は、互いに対峙した。

 そんな2人の決闘を、他の部員たちが興味深げに見ている。


「では……」


 審判役を買って出た1年生の女子が手を上げる。

 そして――


「試合開始!!」


「はぁああああっ!!」


 宣言と同時に、龍之介がアイリに向かって突進する。

 そして――!


「ふぎゃっ!?」


 あっという間に投げ飛ばされてしまった。

 龍之介は、ゴロゴロと床を転がり壁に激突して止まる。


「部長のボクに、素人の龍之介が勝てるわけないでしょ?」


 アイリは、何事もなかったかのように言う。


「ま、まだまだだ!!」


 龍之介が立ち上がり、再び突撃する。

 今度は――!


「ほりゃっ!」


「……見え見えだよ」


 一度は回避するも、すぐに足を払われて転倒してしまう。

 倒れた龍之介の腹に、アイリがストンと座る。


「ぐえぇええっ!」


 カエルが潰れたような声を出す龍之介。

 そんな彼に――


「ま、素人にしては健闘した方かな? なかなか面白かったよ」


 アイリは、余裕たっぷりに言う。

 この試合の様子を見て、他の部員たちがざわつき始めた。


「な、何あの男……!?」


「素人のクセに、根性だけはあるじゃん」


「でも、さすがに部長が圧勝かな……」


 そんな声が囁かれる。

 いくら根性があっても、部長に勝てないのは当然だろう。

 勝負は決した。

 そんな空気感の中、アイリが言う。


「さぁ龍之介。もう気が済んだでしょ?」


「……」


 しかし、龍之介は反応しなかった。

 沈黙している。


「ん? 龍之介?」


 アイリが、少しだけ困惑したように首を傾げる。

 そんなアイリに――


「まだだ……勝負はこれからだぜ……」


 龍之介が言う。

 その目はまだ死んでいない。


「へぇ、まだやるの? でも、この姿勢からどうするつもり?」


「根性で、お前に勝つ……」


「根性って……そんなので勝てたら、苦労しな――えっ!? 力が……強くなってる!?」


 アイリが驚く。

 ここまでの試合で感じた力より、明らかに強くなっているように思えた。


「う、うおおぉおお! 俺は負けないぞぉおおお!! このお尻の感触があれば、百人力だ!!」


 そんな龍之介の雄叫びと共に、彼のパワーが増していく。

 アイリが龍之介の上に乗ったのは、失策であった。

 彼は、エロパワーによってパワーアップしていたのである。


「う、うわぁああ! 変態変態! 痴漢痴漢痴漢――!!」


 アイリが叫び、龍之介を振り払おうとする。

 そんなアイリにしがみつき、龍之介は言う。


「さぁ、勝負の後半戦を始めようぜ!!」


「くっ……! なんてパワーなの!?」


 組み合ったまま、道場の中をゴロゴロと転がる2人。

 パワーを増した龍之介によって、アイリは不利な状況に追い込まれていた。

 そして――


「ぐへへ……! さっきとは、上下が逆転したなぁ! アイリ!!」


「ひっ……!? くうぅ……!!」


 龍之介がマウントポジションを取り、アイリを押さえつける。

 彼はアイリの両手を右手で掴み、頭の上で押さえ込む。

 そして――


「おっぱいが丸見えだな! うひょー!! やわらけー!!」


 龍之介は左手でアイリの道着を開く。

 彼は揉みしだくように、アイリのおっぱいをまさぐり始めた。


「きゃぁあああああ!?」


 さすがのアイリも、これには悲鳴を上げた。

 試合にかこつけた、完全な痴漢……あるいは強制わいせつ行為である。


「どうだ! 悔しいか!? 俺にこんなことされて、悔しかろう!! さぁ、負けを認めろぉおおおお!!」


 暴走状態の龍之介である。

 そんな彼に向かって、アイリは為す術もない。

 龍之介の勝利かと思われた、その時だった。


「アイリ先輩に何してるんですか!!」


「これだから男は!!」


「部長の、おっぱいを……! この変態!!」


「天誅です!!!」


 そんな声が響き、部員たちが龍之介に向かって襲いかかる。

 彼はアイリから引き剥がされ、フルボッコにされていく。

 残されたアイリは、顔を赤らめながら……


「龍之介のバカ……」


 そんな、可愛らしい悪態をついたのだった。

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