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112話 貸切大浴場-3
「ちょ、ちょっと待て! みんな……っ!! こういうのはムードが……」
「待ちませぇん! りゅーさん、覚悟ぉー!!」
「ふふ……。わたくしたちの仲を深めましょうね」
「龍先輩……うわっ! すごい……」
「龍様の龍様が……っ!!」
少女たちが、龍之介の体に群がる。
そんな中、龍之介は1人だけ冷静な人物がいたことに気付いた。
「…………」
「お、おおっ! アイリ!! やっぱり、お前が唯一の良心か……っ!!」
唯一の常識人と思われたアイリ。
彼女はタオルで胸元を隠しながら、頬を赤く染めていた。
「龍之介……。嬉しそうだね……」
「違う! 誤解だ!! アイリ、俺を信じてくれ……!!」
「ふふ、どうしようかな?」
アイリは笑う。
そして、そのまま――龍之介に抱きついた。