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110話 貸切大浴場-1
「いい湯だな……。練習の疲れが取れるようだ」
龍之介は大浴場で、ゆっくりと湯船に浸かっていた。
他の客が見当たらないので、貸し切りのような状況だ。
「龍様っ! お背中流します!!」
ガラッと扉が開く音と共に、元気な声が響く。
声の主は――ミオだった。
「お、おい! ミオ、お前……っ!!」
「大丈夫です! ちゃんと水着は着ていますから。ほら!」
ミオがタオルをめくって見せる。
確かに、その下は水着だったが……。
「そういう問題じゃない! なんで男湯に入ってきているんだ!?」
「龍様と一緒にお風呂に入りたいからに決まっているではないですか! さぁ、お背中を流しますよ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺はもう上がるから……っ!!」
龍之介は逃げようとする。
だが――