105話 冬合宿-1
12月下旬――
「ここが俺たちの合宿先だ!!」
龍之介は、目の前の建物を指し示す。
それは和風の旅館で、かなり立派な佇まいだった。
「すごいですねぇ! こんなところに泊まれるなんて!!」
「設備も整っていそうですね。楽しみですわ」
マキとユイが目を輝かせる。
他の少女たちも、皆一様に嬉しそうだった。
「では、早速中に入りましょう! ……むっ!? あれは筋トレルームでは!?」
「ちょっと、ミオちゃん! 先にチェックインしないと……って、あれは合気道道場!?」
「剣道場もあるようでござる。いやはや、このような旅館が存在するとは……」
「さすがは龍先輩。すてきなセンスですっ!」
ミオ、アイリ、セツナ、ノゾミが旅館の中を見て回る。
龍之介が選んだ旅館は、彼女たちに好評のようだ。
「ふふ……。みんなが喜んでくれて、俺も嬉しいよ。この旅館には、中学生の時にも合宿で泊まったことがあるんだ。学生やプロスポーツ選手からの評価が高い特別な旅館でな……。みんなも気に入ってくれると思っていた」
「そうだったのですかぁ! とっても嬉しいですぅ!」
龍之介の言葉に、マキが満面の笑みを浮かべた。