俺んちのトイレが異世界に……
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
盆休みに合わせて書いてみました。
トイレなので少々汚い表現があるかもしれません。
どうかご容赦下さい。
今日は週末で明日から盆休みの幕開けである。
鼻歌気分で何しようかなと計画を立てたい。
なんで今から計画するのかって?そんなの仕事が忙しかったからに決まっている。
ホントまるまる盆休みできるとは思わなかった。
怒涛の追い込み駆けたからね。寝不足だよお陰様で……
帰り支度を終え、誰にも呼び止められないように速やかに退室すべく顔から一切の感情を消す。
「お疲れ様です。お先に失礼します。」
サッと辺りを見回しスッと足早に退室して駆け足でエレベータに乗った。
ウシっ!ついでにスマホは電源切れましたっと……プツン……
ハア~……ヤレヤレ、週末の帰宅は本当に気を遣う。特に独身者は……
今日は何を食べようかな…居酒屋でも行ってダラダラしちゃう?
どうせ明日から休みなのだ…ついでに近くの温泉付きホテルに泊まるのもありだな。
あ~でも盆休みだから空てるか?値段も高め……
自宅でのんびりするか?録画溜めまくってるし……
んじゃ美味い飯・美味い酒を早々にゲットしようぜ!!
ワクワクした面持ちのいい歳したおっさんは軽くスキップを踏んで歩きだした。
「美味い酒~♪美味い飯~♪」
歌いながらビニール袋からいそいそとテーブルに並べていく。
気になってた銘柄違うビール5本と焼き鳥・豆腐サラダ・焼きサバ寿司 ……
ついでに朝は味噌汁飲みたいからと買った品と明日のご飯を冷蔵庫に仕舞う。
アレ……お茶少ない買いそこなったな…卵・牛乳もだろ……
あ~明日は買い出し日だな、こりゃ…………
晩酌の準備も終わり風呂に入って後はのんびりしよう。
録画を見ながら食べるという至福の時間が始まる♪でもその前に……
「トッイレ~♪トイレ~♪」
一人暮らしも長くなると無駄に歌ったり独り言が増えたと思う(笑)
「ハイ、到着!」”ガチャ””…………バタン”
「…………あれ?」
トイレのドアだな。俺んちのトイレの…酒はまだ飲んでないんだけどな?
ガチャ…………
「………………俺のトイレどこに行った?!」
なぜかトイレは双方にドアがある廊下へ様変わり!!
「なんというか煌びやかな感じで……ハハ……なんだこれ?!」
ハッキリ言って途方に暮れた。どうなってんだよ、これ………
「まあなんだ。とにかくトイレに行きたい。そう…漏れる前に行きたい」
パニックになりそうな気持ちを抑えてとりあえずコンビニに向かう事にした。
実際気にはなるんだよ、あの廊下の空間…………
でも冒険者みたいに行動するにはかな~りお疲れて気味で、ついでにせっかく買ったご飯食いたい、酒飲みたい。(現実逃避ともいう)
ということで貴重品をしっかり持ってコンビニへと向かった。
テケテケと不測の事態で夜道を歩いている俺である。
可笑しいよな、今頃のんびりと酒盛り晩酌していたはずなのに…
「何だったんだろうなアレ?現実だったよな?勘違いとかじゃないよな?仕事で病んで幻覚見たとかじゃないよな?!」
一人頭を抱えブツブツ言いながら歩いて行く。
コンビニに着けば、トイレを借りて買い物をする。
そうして何気なくしていると、日常に戻ったような気がして心底ホッとした。
そうなるとアレが気になる訳だ…
「なんか疲れて変な幻覚見たのかね、最近睡眠不足気味だったし……うん、たぶん気のせいだ」
なんとなく気持ちの折り合いも付いてマンションへと戻って行った。
玄関の扉を開けるとなぜか風呂場からシャワーの流れる音がする。
「俺ちゃんとシャワー止めたよな……」
なんだよ今度は心霊現象かよ……玄関先で力尽きたように座り込む俺。
明日からワクワク盆休みなのに…………お盆だったな……
「そうかー………」
明日は坊主さんに是が非でも来て貰わにゃならん…多忙だろうけど……
ガチャ……「ん?」
「へ?」
俺んちに知らない人がいる?誰だこのガタイのいいおっさんは?!
「おお、ここの宿主か!!」
なんかすごく明るく話しかけてるけど誰?こんな外人知らん!
「なんだ?どうした??」
「いやどうしたってあなた誰ですか?」
「私?私はヒルベルトという。誰だって言われたのは久しぶりだなあ」
なんか楽しそうに微笑んでいる。ムカつくイケメンだ……
「楽しそうなとこ悪いけど、どうしてここにいるんです?」
「ああ、それがなぜか武器庫に不思議な扉が在ってな、まあ開けたらここに繋がっていたんだ」
ハッとし急いでトイレに向かいドアを開けると、やっぱりさっきと同じ廊下だった。
後ろからのんびりとついてきたヒルベルトがタオルで髪をふきながら
「そうそうここから来たんだ」
と楽し気に言っている。なんでそれでフロ入るかな?くつろいでるし……
「この廊下は」
「ん?廊下じゃないぞ。武器庫正式には武器保管室ってとこだな」
訝しげな顔で首をひねりながら教えてくれた。
どっちにしろ俺のトイレが武器部屋に変わったって事?!!
オイオイ…俺どうしたらいいんだよ。トイレないと凄く困るんだけど……
テーブルには真っ青な顔の俺と暢気な顔のヒルベルトさん。
「いや~、最高だな!暖かい風呂でサッパリして旨すぎる酒と飯!!ワハハ!!!」
豪快に飲んだり食べたりとご相伴にあずかって大喜びのヒルベルトさん。
その横でチビリチビリとビールを飲みつつため息を吐く俺……
「なんだ?どうしたんだよ?そうだ!!飯の礼に伝説級の武器見せようか?男なら武器はロマンだろ♪いろいろ凄いヤツあるから楽しめるぜ♪♪」
とっても楽しそうなヒルベルトさん
でも俺死活問題で……日常生活にマジで困るっていうか……
そのうち元に戻ると思っていたけど、戻るよな?!
とにかくヒルベルトさんにいろいろ聞いて今の状態をどうにか脱却しなくては!!
「あのヒルベルトさん、実は俺っちのトイレが武器庫?にあったんです」
「トイレ?」
キョトンとするヒルベルトさん、それに対して恭しく頷く俺。
「トイレが武器庫に変わってしまって、今トイレが家になくてすごく困ってるんです。わかります?俺の状況…………」
話す内容が情けないが、それが事実だ。ホントどうしたらいいんだよ。
俺が深刻な顔で言ったらわかってくれたようで……
「トイレか、あ~そりゃ困ったな。確かにないと困るヤツだ……」
ヒルベルトさんが恭しく頷いて俺を見る。そうだろう俺可哀そうだろう…だから
「それでですね、そこにトイレあります?」
廊下(武器庫)方向に指を差して言った。
「……武器庫にトイレはねぇよ。ここ一応武器の宝物があるからな。宝物の横にトイレはねぇ。」
「ですよね~」
イヤ判っちゃいたけどね。でも諦めきれないんだよ。
「飯を食いながらトイレの話をするとはな~。ハハ……人生いろいろあるな!!」
なんかしみじみといい事言ったって顔してるけど、話題はトイレだ。
「う~ん……まあ確かにトイレほしいよな……でもここからトイレ遠いんだよ」
そっか遠いんだ。俺的にもこの世界からあまり離れたくない。
「だからと言って伝説の魔剣や聖剣の近くにトイレは置きたくない……」
そうだよな。俺も童氏切安綱とかエクスカリバーとかそんな物の近くにトイレ置けねぇよ。
いい歳したおっさん達は真剣にトイレについて考える。
のんびりと酒を飲みつつ飯を食べる。なんかこれはこれでいいかもな……
今日会ったばかり、ついでに異世界人のヒルベルトさんとぽつぽつとしゃべりながら過ごす時間は思いのほか居心地がいい。
それはヒルベルトさんも同じらしく互いにだらしない格好でくだらない話をする。
「まあなんだ。よく考えりゃ家じゃなくて、外ですりゃいいんだよ!!」
突然ヒルベルトさんが思いついたとばかりに言った。
「ダメですよ。ヒルベルトさん」
そんなことしたら警察に捕まっちまう。即却下だ、いやだよ!そんな捕まえり方!!
「ヒルベルトさんって他人行儀だな。ヒルトでいい。そういや名前何だ?」
「言ってませんでした?時山省吾といいます。省吾でいいですよ。」
「うんうん♪ショウゴか!呼びやすい名前だな。気に入った!!」
ヒルベルト改めヒルトはそう言って酒の入ったコップを高々に上げて乾杯をしている。
「でだ、立小便すりゃいいんだよ。なんでダメなんだ?」
首を傾げて不思議そうな顔をするが、この国では罪なんですよ。
「ヒルトちょっとこっちに来てください。」
たぶん外の景色を見せた後、説明するのが一番判り易いかもしれない。
「なんだ??」
疑問に思いながらもスルメをカミカミしながら来るヒルト。
先ほどからスルメばかり食っている。大丈夫か?便秘の素らしいが……ほっとこ(笑)
「今からカーテンを開けます。絶対大声で叫ばない。騒がない。いいですね?」
「なんかわからんがわかった……」
神妙な顔で頷き窓を見る。その立ち姿はイケメンだよ。しゃべり出すとただのおっさん……
「では開けます。立小便できない理由は外を見ればわかります。」
「わかった。異世界の景色が見られる訳だ!ヨシ、来い!!」
なんかテンション上がったな?
「一つ報告します。この世界は今ちょうど夜だからよろしく」
「はあああ……なんだよそれ!!何も見えねぇじゃねぇか!!!」
あっ、めちゃ怒ってる。街灯ついてるから大丈夫なんだけど……
「まあ、とにかくご覧あれ。オープン!!」
一気に掃き出し窓のカーテンを開けた。外はいつものように街灯で照らされ、車のライトが往来している。
もうすぐ8時半、それでもまだまだ外は賑やかだ。昼間が暑い分夜は長くなるのも仕方ない。
俺の部屋は7階建ての5階にある。考えたら高さもなかなかのものだったりして(笑)
チラッとヒルトを盗み見すると、ただただ茫然と目と口を大きく開けて驚いていた。
ハハ…変な達成感があるな(笑)うん♪やってやったぜ!!
そこは光の洪水で溢れている。
地上に沢山の光が煌めいて往来し、色とりどりの光に溢れていた。
夜だというのに沢山の人々が活動しているのがよくわかる。
若い女性が夜道を一人で歩き、子連れの親子さえいる。
空を見れば何かがチカチカと輝きどこかへ移動している。なんなんだ?
地上は様々な色と形の塊が、凄いスピードでぶつかる事無く規則正しく移動していた。
まわりは石で出来た高層の建物。信じられない程広い石が敷き詰められ広がっている。
とにかくあちらこちらに光が惜しげもなく輝き照らされていた。
「なんなんだ……コレは……」
ただただ驚いてそれ以外の言葉がでない。
余りにも規則的で不可思議、なのに整然と調和しているのだ。
「うん、これが俺の住んでる世界です。どうかな?」
ヘラッと笑うショウゴ。してやったりという顔をしている。
なんかムカつきフンと鼻で笑ってやった。なんか悔しいんだよ!!
「まあまあってヤツじゃないか」
はっきり言ってバレバレだと思うが、憎まれ口を言いたくもなる。
「そうかそうか、まあまあか~」
ニヤニヤ笑いながら時計をチラチラ見ている。
「なんだよ……」
「もうそろそろなんだよ。」
そう言うと窓から出てビール片手に外を眺めている。
ホント夜なのに人も溢れた凄い世界だよ。
そう考えると俺の住む世界はとんでもなくぐちゃぐちゃで汚く臭く治安がめちゃくちゃ悪い世界だ。
”オイオイ……良い所が何もねぇ…”
己が思った感想になんとも言えず臍を嚙んだ。
”ひゅううぅううぅうん!! どおおおおおぉぉんんん!!!”
突然大きな不気味な音がした。
一瞬驚き身体を身構えたが、遠くの山側の空に大輪の華が咲くのが見えた。
その後も次々と色とりどりの華が咲き誇り、天を彩った。
俺は余りの美しさに、それをただただ茫然と眺めるしかなかった。
異様に日本酒気に入ってるよな。俺は3つビールを並べ飲み比べている。
「で、俺が言いたいこと判りました?」
「すまん……何の話をしてたか忘れた」
ヒルトあれからだんまりと静かに口噤んでいる。
どうしたんだろ?
「いや立小便の話だよ!」
とにかく俺はそう諭すように言うと胡乱気な目をして
「お前……人が浸って飲んでるのに立小便って…」
そんなにイヤそうにしなくてもよくないか?!
そんなイライラと飲んでも美味しくないよ。ついでに俺の秘蔵の酒なんだよソレ!
「言い出したのはヒルトです。とにかく夜でも人は多いし明るいし清潔なんですよ。」
「そうだな……夜なのに沢山の人がいる。灯りがあるから犯罪も起こし難いだろう。綺麗だしな。」
「そうなんです。そして立小便この国では軽犯罪です。犯罪起してますよ。」
ポロッとコップが落ちました。入ってないですね、よかった。
「マジか……」
相当ショック受けてますね。そうなんですよ~と軽く遠くを見る。
「そりゃ…トイレは必要だな」
あっ……本気でめちゃくちゃ真剣に考えてる。イケメンがイケメンになってる。
「つうか俺結構飲み食いしてるよな」
手を口に当てて考え込んで、こっちに長し目を寄越してきた。
いやイケメンなんで俺が女だったらキャッ♪ってなるんだろうけど、すまん俺おっさんだから、ノーリアクション!
「やっぱトイレは必要だよな。安心して飲めねぇや。美味い酒・美味い飯こんなにあるのに、気になって飲めねぇとか!最悪じゃね~か!!」
現実を理解したヒルト、遠慮って言葉を知らない……
「よしわかった。早急に対応しようではないか。ちょっくらトイレこさえて来るぜ!!」
なんだかキリッとやる気に満ちてますが、どこ行くの?
「そういえば…結構長居してるが大丈夫か?」
ああ…異世界に戻るんだ…そういやあれっきり見てない。
ドスドスとおっさん二人でトイレに向かいドアを開く。うん、大丈夫!
「………せっかく来たのに、部屋でお仕舞ってのも惜しいよな…」
そりゃあ外の景色を見たらな。
「どこか行きたい?」
「ああ近場でいいから、歩いて色々見てみたいな」
ニヤッと大胆不敵な笑顔を見せた。コイツ脳筋だな……
ということでまたコンビニへ行くことになりました。
まあトイレにも行きたいしね。これ重要!
それに俺の世界のお土産渡したいし、本人が欲する物がいいだろう。
せっかく知り合ったんだ。何か思い出の品を渡したい。
また逢えるかわからんし……しんみりした気分で歩く俺。
その隣には辺りを見回し、目を輝かせて歩いているヒルト。
デカめの甚平をいい感じに着こなしてやがる。
俺が着るとだらしなくなるのに……何だこの差は!!
「オイオイ……なんだよ。あのスピードにフォルム、カッコいいなぁ……」
やっぱ乗り物は王道だよな。
「なんだよありゃ…慎みねぇ」
前にはJK集団が歩いていた。
俺からしたら普通なんだけど、ヒルトの中ではアウトのようだ。
「夏は薄着になるよな。」
「ショウゴ他に言うことないのか?」
驚愕してるけど、ここじゃ普通なんだよ。
キャミに短パンとかチビTにミニスカとか……
「普通だな。そっちはどんな服着てんだよ。」
「肌を曝したらダメた。あれではほとんど裸と同じだ」
水着やビキニだったらどうなる……気になる……まあ
「暑いからな。夏に着こんだら熱中症になるぞ」
「ネッチュウショウ??」
「そう、体内に熱が籠り過ぎて死ぬ病気」
「はあ?!」
「そっちないの?」
「知らん。病気と認識してないだけかもしれんが……」
「そっかー、まあ気を付けてね。詳しくは後で教えるよ」
「よろしく頼む。」
「いろいろ違う所あるしね。マスク同様に(笑)」
「ちょっとの距離だが濃厚すぎる。このマスクも死んでも外さん!」
家から出る前にコロナの話を脅し気味に言ったから仕方ないか。
首を振ってひきつった顔をしている、ヒルト。
コンビニ行けば報われる。がんばれ!
コンビニに着くと初めに自動ドアにビックリし、品数の多さに驚いて、いろいろな設備に目を見張り……
「ちょっと待ってくれ。なんなんだここは!」
俺にしがみつきガンガン揺さぶる。止めて酒飲んでるから吐くから止めて……
黙って無理やり引き剝がす俺。おっさんにしがみ付かれても嬉しくない!…ポイ!!
「ひでぇ……でなんだよ、ここは」
「コンパクトな日常生活に必要な品があるちょっとしたお店。24時間営業だからいつでも買える」
「はああぁぁああ?!!」
なんかこんなに驚かれるとは思わなかった。
人って想像斜め上にいくとドギマギしちまうな。コンビニでこれってスーパーとかどうするの?
「店で騒がない!シッ!!」
「ツッ……!!」
目をひん剥て静かになった。さて早速に買い物だ。
ヒルトにカゴを渡す。持つと頭を捻り商品の様に眺めている。
「買い物カゴだからちゃんと持って!」
「店が用意するのか?!」
「そうです。そして買った物は持参した袋に入れて帰る。盗難防止の一環です(笑)」
「なるほど!!」
「それじゃ、いろいろあるから後で見よう。まずはトイレだ。」
「そうだな。これで安心して飲み食いできる。」
すごく嬉しそうな顔、気になる物があったのだろう。ホント遠慮のない奴だ……
しかしおっさん二人でトイレに移動って変だよな。
まあ仕方ない、使い方教えなきゃならんし
「ヒルトここがトイレです。男女兼用です。蓋を開け、ここで水を流す。でうん〇は……」
「……尿だけだ。」
「んじゃそういう事でわかった?」
うんうんと頷いている。んじゃ一先ず出よう。
ヒルトが入っている間、カゴに缶詰・酒・つまみの乾物系などを入れ雑誌を見に行く。
雑誌を見ているとヒルトが出てきた。なぜかキラキラしてるけど、どうした?
「ショウゴ!ここのトイレは素晴らしいな!」
「……そうかな?」
「あぁ、俺は感動している。合理的だし、最後の柔らかいロール状の紙は神だ!!」
なんだうん〇もしてんじゃねぇか……
「どうしたらあんなに柔らかい物ができるんだ?」
「技術者じゃないから知らない。俺もしてくるから、気になる物はカゴに入れて」
カゴを預けて、さっさと入り済ませる。ちゃんと綺麗に使ってて安心した。
やっぱり気になるんじゃん、そういう所。
戻ってカゴの中を見るとパンと冷凍食品がいくつか入っていた。
冷凍食品自然解凍で大丈夫か?不安になるがまあいいかとそのままにしておいた。
そしてティッシュの方を選び、定番のポテチとチョコレートといろんな種類のインスタント
そしてヒルトを見ると、数冊の雑誌を選び今はブライダル雑誌を見ている。
「それ結婚雑誌だけど……」
「そうなのか?服の本と思ってた。」
「そういえばヒルト結婚は?」
「した。で息子が二人いる。クソガキだ(笑)」
「へえ~、それは奥さんの土産用?」
「まあそんなもんだな(笑)」
他にないか聞くと大丈夫という事で会計を済ませ店を出る。
電子マネーで会計をしていると、ヒルトは何か思う事があるのか考え込んでいた。
家に着くとまずトイレのドアを開け確認して、手洗いうがいをしっかりする。
特にヒルトには念入りにお願いした。持ち込んじゃダメ、絶対!!
買ってきた物を異世界とこっちに分けていく。
息子に戦隊シリーズの鉛筆や下敷きなど、文具用品買っていたけどどうなんだろ?
その間ヒルトはノートにこちらの世界の事を、いろいろ忘れぬうちに書き込んでいる。
テーブルにはおにぎり・唐揚げ・野菜スティックなどいろいろ置いていた。
そしてインスタントラーメンを作ろうと準備をしている。
せっかくお土産に渡して作れなかったら意味がないからだ。
沸いたお湯をいそいそとカップに注いで3分待つ。
ヒルトはチラッと見て作業を続行中。
プ~~ンと香りが漂う……出来たな( ̄ー ̄)ニヤリ
「いただきま~す♪」 ズズ—ーーーーーッと♪♪
「なんだよそれ?」
「ラーメン( ̄ー ̄)ニヤリ」
「なんだよそれ?!」
おいおい凄い形相しているぞ。ちゃんと質問には答えたぞ。
「それではヒルトにラーメンを作りたいと思います。」
①ふたを開ける。②お湯を線まで注ぐ。③3分待つ 以上
「なんだよそれ?!!うめえええぇぇえ!!!」
「だろう!!わが世界の化学技術の結晶は美味いだろう(笑)」
勝った!!!なんかわからんが勝利した!!!ワハハハ♪♪
「ま、負けた」……ガクッ
フッ他愛もない……( ̄ー ̄)ニヤリ
「ちくしょう……なんでこの世界の飯はこんなに美味いんだ!お湯だけ入れて美味いとか……なんだよ。なんか無償に悲しいじゃねぇか……」
あっ、マジで泣いてやがる。うわ~、おっさん泣かせちまったよ、俺。
「これもお土産にあるから、あっちで食べてくれ」
「マジか!!……ショウゴお前ホントいいヤツだよな~!!!」
やっぱりおっさんはラーメン好き。この定義に間違いはない。
さらに唐揚げやらおにぎりやらテーブルに置かれた物を食べているヒルト。
美味しいのだろう。飲み物の様に食べている。すげえ…………
どれくらいたったのだろう。ただそろそろお開きの時間になったのは判る。
「んじゃそろそろ帰るわ。ショウゴいろいろありがとうな!」
「いや、俺もいろいろと楽しかった。ありがとう。」
「でさ、これ良かったら貰ってくれねぇか」
そう言って洒落た細工の腕輪を外し、おもむろに俺の腕を掴んで付ける。
大きめの腕輪は俺に合わせてピッタリのサイズに変化した。
「なにこれ?!」
「ああ魔道具だ。なんかコロナやら熱中症やら聞いたからな。効くかどうかわからんが、その対策にどうかと思ってな。耐性やら強化やら付いてたはず」
「ホントに貰っていいの?!」
「なんかすっごくキラキラした目で見てるけど、どうしたんだ?」
「いやだって、魔法はおとぎ話で伝説で……魔道具なんてもう……マジか!!!」
うわ~、ゲームとかのアイテムじゃん!本物?!本物ですよ!!
「俺には土産がそうなんだけどな。こんなに貰って腕輪だけって……凄く申し訳ない……」
何故か落ち込んでいるが、これ宝石の付いたアクセサリーだ。
俺があげたのは日用雑貨や食品関係。
価値が違うから、気する必要ないのにと思わず苦笑した。
「今度来た時なんか持ってくる。」
「ああ、楽しみにしているよ。」
義理堅いやつだヒルトは、次回の楽しみだな(笑)
「そろそろ行った方がいい」
「そうだな。世話になったショウゴ。じゃあまたな」
ニヤリッとニヒルに笑うヒルト。
「ああ、またなヒルト。次回もさらに美味い物を用意しとく」
こちらもニヤリと笑う。そっちほどカッコよくはないだろうがな。
ドアを開けると廊下が見える。袋を持ってヒルトは歩き出し異世界側へ行った。
一度振り返り「じゃあな」と言って歩き出した。
俺は手を振り返してソッとドアを閉めた。
「なんか夢のような出来事が起こったんですけど……」
そのままズルズルと座り込む俺。
今起こった事を知り合いに話したとしても笑い話か妄想で終わる
でも……現実なんだと腕にはしっかり証がある。
「こりゃ参った…ハハ……」
なんだか訳もなく笑いがこみ上げてひとしきり笑った。
「まあ……汗もかいたしシャワーして寝よ……」
立ち上がりドアを見る。
「少し開けてみるか?寝る前にトイレ行きたいし」
まだ繋がったままだろうか?またコンビニ行きになるのか?
なんかうんざりするな。ヒルトに会えたのは嬉しいけど不便すぎる。
”ガチャ…………”
目に映ったのは何の変哲もない至って普通の俺のトイレだった。
”バタン!”
「…………お、俺のトイレ!ちゃんと戻ってきた!!俺のトイレ!!!」
とにかく普段の日常生活に戻れたようだ。
******************
ショウゴと別れ自分の世界へ戻った。
後ろを振り返ると省吾がいた。「またな」と声をかけると手を振り返された。
前を向き歩き始める。少しして”パタン”とドアが閉まる……
もう一度後ろを振り返るとドアは締まり朧気な残像を残し消えつつあった。
胸に途轍もなく苦い気持ちが去来する。
なんなんだ?今日合ったアイツとあの景色がもう見ることが叶わないと思ったら……
「ちくしょう……」
完全に消えた空間を見つめ静かに涙が流れた。
そのままその足で陛下の所に参上する。
まあ深夜で寝ちまってるかもしれんが、そこは親友として許してもらおう。
だいたいとんでもない報告だし、すげえモン持って来ちまった。
感謝こそすれ文句は言われないだろう。
陛下に取次ぎを願うと、どうやら宰相のユーグと晩酌していたようだ。
”なんだちょうどいいじゃねぇか”
己のタイミングの良さに思わずニヤリと笑う。
「よう!盛り上がってるか!!」
部屋に着き二人に声をかける。
二人は振り返り、俺の姿にギョッとしたようだ。
そうだろう♪そうだろう♪
実はそのまま甚平という服を着て帰ってきた。
俺の服はまあ……臭くて捨てて貰う事にしたんだ。
運動後だった分かなり酷い有様で着たくなかった。風呂入ってるし……
ショウゴもあまりの汚さに吐き気もようしてたし……袋にぶち込んで密封してた。
「ヒルトなんだお前の格好は!!」
おおユーグが怒ってる。せっかくの酒が衝撃でこぼれてやがる。
「どうだ?似合うだろう(笑)」
涼しくて何気に気に入っているんだ。肌ざわりもいいし、今度作って貰うとしよう。
「変わった服だな。どうしたんだ?」
陛下のクラウドが訝しげに見ている。
ちょうどプライベート時間という事で多少ハメを外させて貰う。
「ちょっと旅行に行って来たんだ。現地ファッションは涼しいぜ」
「お前…………」
ユーグ青筋立ってやがる。まったくいつか血管切れるぞ(笑)
「陛下御報告があります」
まあ悪ふざけはここまでだな。キチンとした態度で相対する。
「その姿とその袋に関わる事か?」
パンパンに詰め込まれた土産の袋(ショウゴの愛情)が気になるらしい。
「確かに関わりますが、これ俺が貰った土産ですからね。」
眉を上げて不満げだが譲れない。これは省吾の愛情だからだ。
「お前の主張はわかった。とにかく見せろ。そして話せ。」
「あげませんよ。」
「場合によ「俺の土産です」」
「「………………」」
主張はしとかなきゃな!!また行けるかわからんし……
俺は以外と物欲があったようだ……
「それなら見せずに帰宅すればよかったじゃないか!!」
ユーグが言う。正直出来ればそうしたかったが無理だ……思わず困った顔をする。
「とにかく聞こう」
クラウドは取り上げを諦めたのか話を促す。
俺は決壊したように今までの出来事を話し始めた。
武器庫の話。ショウゴの出会い。異世界の景色と知識。
どんなに凄く驚きに満ちて美しく綺麗だったか、酒も食い物も美味く、どれだけ治安がよかったか……思いつく限りしゃべくり倒した。
俺これだけ話せる奴だったんだな。今日一日でどれだけ自己発見してんだ。
聞いてる二人もドン引きしている。
これだけ頑張って話しているのに、ちゃんと聞けよ?!
「まあ……夢みたいな世界だな」
「そうですね。出来れば妄想で片付けたいです……」
「しかし美味い酒だな」
「そうですね。このスルメ?も素朴で美味しいです」
そりゃそうだろ!素材の味を生かしてるよな♪こっちでも作れねぇか……
「しかし話題がトイレとか……ブフッ」
クラウドそんなに涙目になるほど可笑しいか。ひでぇヤツだ!
「仕方ねえだろ。トイレに繋がってないんだから、こっちも安心して飲み食いできねぇ」
死活問題なんだよ。マジで!
「ヒルト……アナタ遠慮という言葉知ってます?ショウゴさんにご迷惑のお詫びがしたいです」
「まったくだ。こんなに手土産まで貰ってお前最低だな……」
二人してそんな睨まなくてもいいだろう。俺だってそう思ってるんだ。
クラウドに至っては最低って酷くねぇか。
「一応……詫びに腕輪を渡した。元気でいてほしいからな」
俺だってちゃんと考えてるんだ。
「「腕輪って……?!」」
二人が何とも言えない顔をしている。
「なんだよ??」
「お前恋人じゃないんだから……もう少しマシな物を……」
「その剣でも渡せばよかったじゃないか!腕輪って……」
こいつら人の話聞いてねぇのかよ!まったく!!
「あっちは治安がいいんだ!剣なんか邪魔じゃねぇか!!腕輪は利用価値があるんだよ!!!」
まったく何考えてんだ。剣なんか犯罪者扱いだろう。
「まあ……こちらの常識はあちらには通じませんからね。」
「腕輪の意味もないだろう」
「そういうこった。気にし過ぎだ」
異世界には異世界の常識がある。こっちはこっちだ。
「明日また繋がったら、今度は私も行ってみたいな」
クラウドは楽し気に酒を飲んで旅行雑誌を見ている。
「そうですね。その時はトイレを簡易的に設置しなくては(笑)」
ユーグもいろいろと気になる事があるようだ。
「異世界のトイレは凄いぞ♪」
俺はまたショウゴと合ってくだらない話をしながら酒を飲み交わしたい。
ああ…明日が楽しみだ♪
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




