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こんなとこで運なんて使うもんじゃない

次は流石にメイン書きます

いつになるかわかりませんが…

メイン書いた後は殴り書きします(予定)

食事が終わると、名取がゲームをしたいと言い出したため、小一時間ほど付き合うことになった。

意外なことに名取がうまかったため、プレイに熱が入ってしまった。

そのせいか、気づけば随分と遅い時間になってしまった。


「そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?時間的にまずいだろ」


時計は既に23時を示していた。


「…そうね。今帰れば終電には間に合うかも」


名取がコントローラーを床に置き、その場に立ち上がる。


「でもね、もう一つ手段があるわ」

「なんだ?」


俯いていた顔を上げ、こちらを見据える。


「お泊りよ」

「却下」


まさか断られると思っていなかったのか、面白いくらい笑顔が消えた。

心なしか若干悲しそうにも見える。

悪いけどそんな顔してもだめだ。

普通に考えて許可できるわけないだろ。


「…ちょっと、判断が早すぎるわよ。…せめてもう少し悩みなさい」

「どう考えてもダメだろ。付き合ってない異性でもアウトなのに、芸能人とか。俺を社会的に抹殺する気か」


スクープとか勘弁してくれ。


「そんなつもりはさらさらないわ。わたしはただ、友達らしいことをしたいだけだもの」


友達の家にお泊りは、普通同性同士でだろ。


「とにかく帰れ」

「ケチ」

「言っとけ」




昨日の押しかけ事件を乗り越えて翌日。

今日は委員会決めが行われた。


「はい、じゃあ学級委員長やりたい人いますかー?」


教室内に静寂が訪れる。

誰も先生の問いに答えない。

これが示すことは、すなわち誰も学級委員をやりたくないということ。

やっぱり、みんな面倒なことはやりたくないと思ってるんだろうな


「あのー、誰もやりたくないんですかー?誰かやらないと、くじ引きで決めることになりますよー?」


少しざわついたが、尚も立候補する人間は現れない。

学級委員は副委員長もあわせて2人がばれるが、このクラスの人数を考えるとくじ引きで自分が当たるなんて相当な確率だ。

あたるわけなんかない。

恐らくみんなそう考えているんだろう。


「んー、このままだと話が進みそうにないので、くじ引きで決めたいと思います」


先生は手早くくじ引き用の紙を作り、適当な箱に入れて振った。


「はーい、じゃあ出席番号順に引きに来てくださーい。赤い丸が書かれた紙を引いた人が学級委員長で、青い丸が書かれた紙を引いた人が副委員長でーす」


出席番号1番の人が先生が持っている箱の下に歩いていく。

それに続く形で一人、また一人と席を立つ。


「おっし、1抜け―!」


最初に引いた生徒が丸が書かれた紙を引かなかったようで、ガッツポーズを決めている。

それから順々に紙が引かれていき、優里の番。

緊張した面持ちで恐る恐る箱の中に手を伸ばしていく。

しかし、紙の中身をこちらに見せながら笑顔を向けていた。

遠目からだが、何も書いてないように見える。

恐らくあれがハズレなんだろう。

席に着くまで、やってやったぜ感のある笑みを向け続けてくる優里を見届けて、視線を前に戻す。

しかし何やらざわついているようだった。


「…」


よく見ると、箱の前で紙を凝視している名取の姿があった。


「青い丸?じゃあ副委員長は名取さんで決定!」


先生が黒板に名取の名前を書いていく。


「おいこれってよう。名取さんと一緒に委員会活動ができることじゃねえか!?」


その事実に気づいたのか周囲のざわつきが増す。


「ちょ、みんな落ち着いてー!」


それからのくじ引きは、先ほどまでの雰囲気とは真逆だった。

ハズレを引いた男子は軒並み残念がり、名取が引く前にハズレを引いていた男子はさらにその上をいくほどだった。

そんなにあいつと一緒にいたいのかね。

まあ芸能人なんて珍しいし、そんなもんか。

そんなことを考えているうちに、自分の前の席の生徒が立ち上がる。

そろそろ俺の番か。


「赤丸全然出ませんねー」


なにやら不穏な台詞が聞こえた。

自分の前の生徒が紙を引く。


「あら?ということは…」


先生がこちらを見てくる。

無造作に取り出した紙をゆっくりと開いていく。


「まじか…」


紙には堂々と赤い丸が記されていた。


「夜野くんが学級委員長ね!」


名取の横に自分の名前が書かれる。

喜びとは正反対の感情で席に戻る途中、ふと名取と目が合う。

その目は「これからもよろしくね」と、そう告げているようだった。

そんな目に対して、俺は苦笑すら絞り出せなかった。

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