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え、ヒロインなの?

ごめん、間に合わなかった、まじすいません。

名取の誘いを断り、優里とスポーツ施設でくたくたになるまで体を動かした次の日。


案の定、筋肉痛になった足で学び舎へと赴く。

教室に入ると、先に着いていた優里と視線が合う。


「よ、よう…。こっちは昨日ので筋肉痛になっちまったよ。優里は大丈夫だったのか?」

「もちろん僕も筋肉痛だよ!そのせいで、今は一歩も動けないよ!」


筋肉痛に悶えているとは思えないほどの笑顔だ。

しかし、不思議と、嘘をついているようには見えない。

今まで優里が嘘をついているところを見たことが無いからだろうか。


「意外と余裕あるな…。まあ、その様子だと今日の体育は大丈夫そうだな。」

「……………えっ」


優里が何故か驚いたような声を漏らす。

どうしたのかと聞こうとしたところ、始業の鐘と担任がタイミング悪くやってきたため、慌てて席に着く。

青ざめた顔をしている優里を不思議に思いつつ、担任の話に意識を傾けていく。




「ちょっと」


昼休み。今日は教室で昼食をとろう、と提案した優里と一緒にいたところ、何の前触れもなく急に名取が話しかけてきた。


「…なんだよ」

「同席してもいいかしら」


表の顔を貼りつけ、人の目を気にせずに堂々と相席を申し込んできた。

待て待て。お前と一緒に食ったら滅茶苦茶注目されんじゃねえか。却下だ却下。


「悪いけど、他当たってくれ」

「…そう」


ポーカーフェイスを貫いているのか、裏のときのような表情変化はなかった。

そのかわりと言わんばかりに、懐から取り出したスマホの画面を、俺だけに見せつけてくる。


「もう一度聞くわ。同席、いいかしら?」

「よろしくお願いします」


画面には、先日撮られた名取とのツーショットが写っていた。

選択肢のなくなった俺の回答なんて決まりきっている。

なんか勢いあまって変な言い方してしまったが。


「ちょ、え?」


傍らで困惑している優里に罪悪感を抱きつつ、自分の前の席へと名取を促す。


「初めまして、黒崎さん。私は名取一華。これからよろしくね」

「う、うん。よろしく。」


名取は、優里との挨拶を手短に済ませると、徐に弁当箱を机に出してきた。


「お前、弁当なんて作れたんだな」

「最近始めたの。今回のは自分でも驚くほどの出来映えよ」


名取が弁当の蓋を開けると、そこには想像よりも家庭的な料理が詰まっていた。

唐揚げ、卵焼き、ウインナー、ひじきの煮物、ポテトサラダ、そして白飯。

てっきり、コンビニ弁当を詰め込んだものだと思っていたが、どうやら一から作ってきたようだ。


「さ、食べてみて頂戴」


……………ん?

今なんて言った、こいつ?

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