入学式って意外と記憶に残らない
タイトルは適当に考えたのでいつか変えるかも。
息抜き用に1000文字ずつ書いていきます。
見切り発車のためクオリティは低めです。
みんなは“春”と言ったら何を思い浮かべるだろうか。
新生活や環境の変化、出会いと別れ。
人の数だけドラマが生まれる季節だ。
なぜこんなこと話すのかって?
それはちょうど今の季節が春だからだ。
「おはよう。今回は寝坊せずに済んだんだね、雄馬」
「おはよう。ああ、余裕をもって登校できるよ」
今日から新しくなる通学路の途中で挨拶を交わすのは中学からの親友、“黒崎優里”。
見た目が女子っぽいこともあって、中学で同じクラスになったときに絶対関わり合うことはないだろうと思っていたが、ひょんなことから意気投合し親友にまでなった次第だ。
「そういえば聞いた?ぼくたちの高校に芸能人が入学してくること」
「え、そうなの?」
「うん。仕事の都合で来るんだって」
近くに芸能人がいると謎の高揚感が湧いて一目見に行きたくなる、あの現象は何なんだろうか。
まあでも同じ学校にいるなら一目見る機会くらいはあるだろうし、わざわざ野次馬に混ざる必要も無いか。
優里もあんまり芸能人に興味ないタイプだし。
そんな感じの適当な話題で沈黙を埋めつつ、今日入学する高校へ歩みを進めていった。
周囲に同じ制服の生徒が増えてきたころ、ようやくこれから三年間を過ごす高校が見えてきた。
中学からの知り合いが優里しかいないため、見知った顔は全く見られない。
「雄馬と同じクラスになるといいなー」
「そうだな。話せる知り合いがいた方がクラスで浮かずに済むし」
「…うーん」
優里が何か引っかかるといった感じで思案しているうちに高校の門を通る。
初日の流れは、入学式を終えて配属されたクラスへ移動した後、担任が明日以降の話をして終了となっている。
「今日は午前中で終わるみたいだし、さっさと帰って遊ぼうぜ」
「さんせーい」
人生で一度きりの高校入学式が始まる。
入学式が滞りなく終わり指定されたクラスへ向かう。
滞りなくといってもどこの学校でも恒例の校長の長い話は存在していた。
初回だから特に気にしなかったが、これから毎回あの長さを聞くとなると思うと若干憂鬱になる。
だが悪いことばかりでもない。
「やったー雄馬と同じクラスだー」
優里と同じクラスになれたことは幸運といえる。
なぜなら知り合いがいるかいないかで学校生活というもの大きく変わるからだ。
「これから一年間、またよろしくね」
親同士が仲が良いせいで半ば腐れ縁になりつつある優里。
「ああ、よろしく」
これからの高校生活に胸を高鳴らせながら、目の前で花のような笑顔を向けてくる親友に言葉を返す。