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久坂大和は最大限警戒する。

ご覧いただき、ありがとうございます!

「はむ! もう! 本当に腹が立つ!」

「モグ! 本当です!」


 昼休み。

 朝の一件で、うちのユーリさんと藤堂さんが、俺の弁当をモシャモシャ食べながらものすごくキレていらっしゃる。


 まあ、あのクズストーカーの態度には、当事者であるユーリと藤堂さんがキレるのも無理ないけど。

 とはいえ、怒るか食べるかどっちかにすればいいのに。


「まあまあ、芹沢く「「“くん”づけいらない!」」……芹沢もあの後早引きしちゃってもういないんだし、落ち着こうよ」

「ヤダ!」

「イヤです!」


 江藤が二人を宥めるが、二人は聞く耳を持たないようで。

 すると江藤は深い溜息を吐いた後、チラリ、とこちらを見た。


 ……俺に二人を何とかしろ、と?


「俺はそれよりも、アイツが吐いた言葉……『後悔しても遅い』ってのが気になるけどな。つっても、大体想像できるけど」


 俺がそう言うと、ユーリは静かに頷き、藤堂さんはキョトンとしている。

 や、藤堂さん自分のことだぞ?


「そうだね……確か、クズの父親がアイツの所属する芸能事務所の社長なんでしょ?」

「そうそう、しかもその芸能事務所ってのが、かなりの大手みたいでな。だから、藤堂さんの事務所に変な圧力かけたりするんじゃねーかと」


 とうとう芹沢のことを“クズ”としか呼ばなくなったユーリの言葉に同意しつつ、俺は自分の考えを伝えた。


「……私はいいですが、お世話になった社長やマネージャー、他のメンバーに迷惑を掛けたくはないです……」


 俺達の話を聞いた藤堂さんが、暗い表情で俯く。


 だけど。


「まさか! そんなこと、この私が絶対に許さないから! もしそんな真似したら、それこそ……!」


 ユーリが右手に持つ箸を強く握りしめ、クズストーカーへの怒りをあらわにする。

 箸、折れそう……。


「とにかく、アイツはまだ何のリアクションもしてはいないけど、警戒だけは怠らないようにしねーとな。下手したら、強硬手段にでる可能性もあるしな」

「「「強硬手段って?」」」


 まだあるのかと言わんばかりに、三人が顔をしかめながら俺を見た。


「ああ……それこそ、人さらいくらい平気でするかもな」

「「「っ!?」」」


 俺の言葉に、三人が思わず息を飲む。


「ま、まさか……さすがにそこまではしないのでは……?」


 藤堂さんは不安そうな表情を浮かべながらそう言うが。


「いや、アイツはわざわざ休日にユーリのストーカーまでするような男だぞ? 八方塞がりになって、そんな馬鹿な真似しないとも限らねえ……」

「そ、そんな……」

「だ、大丈夫だよ! もし実力行使するような真似してきたら、それこそこの私が全員痛い目に遭わせてやる!」


 そう言って、ユーリがフンス、と気合を入れるが。


「バカヤロウ! お前に万が一のことがあったらどうすんだよ!」

「ふあ!?」


 俺は軽率なことを言ったユーリを怒鳴ると、ユーリは驚いて思わず仰け反った。

 だけど、これはハッキリと釘を刺しておかないと。

 もしユーリに何かあったら……俺は……!


「ヤマト……ごめんなさい……」

「あ、ああ……とにかく、無茶はするんじゃねーぞ?」


 ユーリはシュンとなって俯く。

 うう……だ、だけど、これはユーリのためだから……。


「と、とりあえず、今日から登下校はこの三人で固まってするぞ。朝は俺がユーリの家で合流して、その後、二人で藤堂さんの家まで迎えに行くから」

「「えええええ!?」」


 む、なんで二人はそんなに驚いてるんだ?


「ヤ、ヤマト、気持ちは嬉しいけど、その……無理してない?」

「無理なもんか。もし今まで通りにして何か起きたら、それこそ俺はどうにかなっちまうよ」

「う、うん……」


 俺がそう伝えると、ユーリは顔を赤らめながら同意してくれた。


「そ、その、私も……ですか……?」

「そりゃ当然だ。藤堂さんだって、俺の大切な“友達”なんだ。絶対に危ない目に遭わせられねえ」

「っ! は、はい!」


 おずおずと尋ねる藤堂さんにそう答えると、藤堂さんも嬉しそうな表情を浮かべながら、俺の提案を受け入れてくれた。


 さて……あのクズストーカーのせいで、しばらくは一時間早起き確定だな……。


 ◇


 ――キーンコーン。


「さーて、今日も授業終わりっと」


 一日の授業が全て終了し、俺は伸びをすると。


「ヤマト!」

「久坂さん!」


 ユーリと藤堂さんが、ニコニコしながら俺の席までやってきた。


「おう。んじゃ、帰「私も一緒に帰ろう」……って、木戸先輩!?」


 なんと、木戸先輩が俺達の教室に突然やって来て、そんなことを宣言した。


「え、ええと、先輩……?」

「うむ、話は小春から全て聞いた。なあに、この私は悠里よりも強いのだ。何も心配することはない」


 などと言いながら、先輩が不敵な笑みを浮かべる。

 俺は思わずユーリを見ると、彼女は力強く頷いた。あ、そう。


「え、ええと……でしたらお願いします……」

「ああ。任せてくれ」


 そう言うと、先輩はその豊満な胸をドン……いや、ポヨン、と叩いた。

 と、とりあえず、頼りにしてます……。

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は明日の夜更新予定です!


少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] あ、ヤマトくん優秀……(о´∀`о) ていうか味方が心強い!! 逆に芹沢が心配になってくるwww
[一言] 万全な体制!(たぶん) あのクズには物理+社会的な制裁が待っている! できれば苦痛は長引かせる方針だと嬉しいです。
[一言] 女帝からの処刑からの、ヤマトによるストーカーへの  「俺の女(友達も含む)に手を出してんじゃねぇ!!!」でぶん殴りで締めよw
感想一覧
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