久坂大和は芹沢悠馬達と一緒に風紀委員会室に連行される。
ご覧いただき、ありがとうございます!
「さて、それと……芹沢悠馬、藤堂エルザ、そして久坂大和、三人は私達と一緒に風紀委員会室に来るように」
木戸先輩が俺達に向き直り、そう告げるが。
「どうしてですか! 私も悠馬さんも、風紀委員会に呼び出される筋合いはありません!」
「そうです。エルザさんの言う通りです……」
納得できない藤堂エルザと芹沢は、先輩に抗議する。
それよりも。
「な、なあ、何で俺まで呼び出し食らってるの?」
俺は隣にいるユーリにおずおずと尋ねると。
「ど、どうして!? ヤマトもだなんて聞いてない!」
あ、どうやらユーリも寝耳に水だったみたいだ。
「ふむ……なぜだか分からないか?」
「分かりません! こんなの……こんなの、私や悠馬さんに対する横暴です!」
「エルザさん……」
木戸先輩の問い掛けになおも逆上する江藤堂エルザに、芹沢が彼女の肩に手を置き、ゆっくりとかぶりを振った。
「悠馬さん! で、ですがこんなの、絶対に中岡さんの……!」
「オイ! 今なんつった!」
藤堂エルザの言葉に、気がつけば俺は声を荒げて叫んでいた。
「ヤ、ヤマト!?」
「ユーリがそんな真似するわけねえだろ! 言うに事欠いて、フザケんじゃねえぞ!」
俺はユーリを悪く言われた怒りで、思いきり藤堂エルザを罵る。
ところが。
「大た……モガ!?「はい、ストップ!」」
俺はユーリに無理やり口を塞がれてしまった。
なので、俺はユーリのその手を引き剥がして、彼女に詰め寄る。
「ユ、ユーリ! だけど!」
「ヤマト、落ち着いて。ね?」
……ユーリに懇願するように見つめられたら、俺は押し黙るしかない。
「……だけど、私のために怒ってくれて、ありがと……」
「そ、そりゃあ怒るだろ……ユーリがどんな女の子か分かってるから、余計だ」
「うん……えへへ」
ユーリははにかむと、俺の手をそっと握った。
チクショウ……これじゃ何も言えねえ……。
おっと、今は木戸先輩とアイツ等だ。
「本気で分かっていないようだから教えてやる。君達は目立ち過ぎなんだ」
「「は?」」
木戸先輩の言葉に、二人はキョトンとする。
いや、分かれよ。まんまだろーが。
「君達は他の生徒達にどんな影響を与えるのか、考えたことがあるのか?」
「っ! も、もちろんです! ですから私達は、波風を立てないよう慎ましく「した結果が、今の騒動か?」……う……」
先輩に鋭い視線で睨まれ、藤堂エルザがたじろぐ。
「だ、だけど! 僕だって俳優だとバレないように姿を隠して「それは昨日までの話だろう? そう思っているなら、なぜ今日になってその正体を明かした。矛盾しているぞ」………………」
先輩の指摘に、芹沢は唇を噛んで押し黙る。
「とにかく、このままでは学校全体に悪い影響を及ぼしかねん。そのため、我々風紀委員会でその対応をしようというのだ。感謝されこそすれ、非難を受けるいわれはない」
「「…………………………」」
ここまで言われてしまっては、この二人も何も言えない。
まあ、そうなるわな。
だけど。
「せ、先輩、その……俺はなんで?」
「ああ……君には少し聞きたいことがあったのでな。二人の要件が済んだら、その時に話すよ」
「あ、そ、そっすか……」
うーん、聞きたいことって何だろう……。
「な、なあ、俺って校則違反とかしてねーよな?」
「う、うん……ヤマトが風紀委員会のお世話になるようなことなんて、何もないはずだけど……」
だよなあ……。
だけど、あの先輩がそう言うんだ。俺は黙って従うしかない、か……。
「悪いユーリ……今日の晩メシ、ちょっと手抜きになるかも……」
「ふあ!? も、もう……そんなの気にしなくていいよ……でも、ありがと」
俺がユーリにそっと告げると、ユーリは顔を赤くしながらも、嬉しそうに俺の制服をつまんだ。ナニコレ、俺の彼女、超カワイイ。
「さて、そこの二人、イチャイチャしてないで、早く行くぞ」
おっと、先輩に窘められてしまった。
俺とユーリはお互い見合わせながら苦笑すると、先輩の後に続いた。
◇
「さあ、入れ」
「「失礼します……」」
風紀委員会室に来た俺達は、木戸先輩に促され、中へと入る。
中では、ロの字型に並べられた会議テーブルに、風紀委員達が一同に座っていた。
芹沢と藤堂エルザはここに来るのが初めてとあって、その様子に圧倒され、かなり緊張した面持ちだ。
え? 俺? や、別に緊張しないけど?
なんといっても。
「ヤマト……」
「オイオイ、俺より緊張してるじゃねーか。心配すんなよ」
そう言って、俺はユーリの頭を優しく撫でた。
「あ……えへへ……」
うん、俺はユーリが傍にいる限り、どんなことであっても気にしないのだ。
それに、ユーリのためなら、俺はなんだってできる自信もある。
だから、俺はユーリをこれ以上心配させないためにも、緊張してるわけにはいかねーんだ。
「じゃあ、君達はここに掛けたまえ」
「「「失礼します……」」」
俺、芹沢、藤堂は会長の席のちょうど真向かいに並んで座る。
……で、なんでユーリが俺の隣に座ってるんだ?
「おいおい悠里、君は私の隣だろう?」
木戸先輩が苦笑しながらそう言うと、ユーリは寂しそうな表情で自分の席へと戻って行った。
「……さて、では始めよう。悠里」
「はい。今回、藤堂エルザさんが転校され、全校生徒に注目され、かつ、芹沢悠馬さんが“若手俳優の”沖田晴斗“であることが判明し、学校中が騒然としております。我々風紀委員会はこの状況に鑑み、今後、加熱した生徒達によるトラブルを懸念しております」
いつもの様子とは打って変わり、ユーリは副委員長らしく、凛とした姿でただ静かにそう語る。
そして、そんなユーリに俺はただただ見惚れていた。
「うむ。そこで我々風紀委員会は、二人が校内にいる間、授業中を除く全ての時間に置いて風紀委員二名が交代で二人の傍に控えることにした。まあ、要は君達を守るボディーガードとでも思ってくれ」
お読みいただき、ありがとうございました!
次話は明日の夜更新予定です!
少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!




