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ある晴れた春の日の一幕、あるいは 2

 所長の銀次おじさんからもらった依頼の資料を事務所のテーブルに広げる。依頼はさっき言っていたとおり迷子になった犬の捜索のようだ。


 それはいいのだが問題はむすーとした顔をしている彼女だ。これからしばらくいっしょに依頼をこなすことになる。マニュアル通りに淡々と依頼をこなすより、楽しく仕事をしたいわけで。


 つまり彼女にやる気になってほしいのだ。


「都さん、これから以来の話をしていきたいんだけど、いいかな?」


「ええんやけど、その前に一つええか」


「何かな」


「ここでの仕事ってどんなんするん」


「所長から聞いてない?」


「ない、うち今来たところやで。お前もそこにおったやろ」


「たしかに、でもそうかぁ全振りか・・・」


 やりやがったあのおっさん。銀次おじさんの親指を立ててがんばれよと言いたげな顔が視界をよぎる。ものすごく腹立つ、今度おじさんの一番高いお酒をあけてやる。よし奴の絶望する顔を想像して落ち着くんだ。今は都さんに探偵業について話さなければならない。


「そうだね、都さん君の思う探偵の仕事ってなにを思い浮かべる?」


「そうやな、浮気調査に迷子のペットの捜索、盗品探に事件の犯人捜し、あとが賞金首の捜査とかやな」


「そのとおり、そんな感じだね。簡単にいえば警察(やくたたず)の尻拭いだね」


 警察の腐り度合いはひどいもので、権力にはすぐまかれるし、賄賂は横行している。その上真面目に働かない。探偵なんて仕事が成り立つくらいに警察はグダグダなのだ。


「まあ僕らバイトの仕事は迷子のペットの捜索とか盗品探しだね、事件の犯人探しとかの探偵免許のいる仕事は関わることはほとんどないよ」


「ほとんど?」


「ああ、人手の必要なときなんかは手伝いをするんだ、できるところまでね。僕は一度だけ手伝ったことがあったんだ。あれはそう・・・」


「すまんなあ、お前の武勇伝は興味ないねん。仕事の話だけしてくれ」


「そっかどうでもいいか・・・」


 効いた今のは効いた。一呼吸、スーハ―深呼吸。


「立ち直った、もう大丈夫」


「復活早いな」


「まあね、特技の一つなんだ立ち直りの早さ。それはどうでもよくて、今日の依頼についてだね。これは迷子の犬探しだよ。まず張り紙を作って町中に貼って回って、そのあと街をぶらぶらして、犬探しをすることが大まかな流れだね」


「ほな、ちゃっちゃと張り紙書いていかんとな。ワンちゃんの名前なんていうん」


「ワンちゃん、なかなか可愛らしい表現だね」


「うっさい、向こうじゃみんなそう言っとったんや」


 絶対に違うさすがにそれはわかる、ちょっと無理やりすぎないか。だが恥ずかしさに顔を赤くしている彼女を見ていると、なんだかそれでもいいかもしれないなんて気持ちになってくる。

 

 そんなことを考えつつ依頼の資料を渡す。


「ふんふん迷子はこの子か、犬種はラブラドルレトリバー名前は“シロ”白いからか安直な。性格はやんちゃ、大きさは1m近く、このでかさでやんちゃなんかあ・・・

なあ、この子つかまえられるん?」


「ダメだったら増援を呼ぶことになるね、そこらへんはあんまり気にしなくても大丈夫だよ。どちらかというと誰かに保護されてたりするほうが面倒だね、依頼主さん連れて行かないと解決しないからね」


「そうか、そんなもんか」


「そんなもんだね、じゃあ張り紙つくろうか」


「そやね、やってこか」


探偵免許の権限ですが、警察官の劣化版みたいな感じです。探偵は依頼があるまで捜査を行うことができません。例外は指名手配犯の捜索ぐらいです。あと探偵の捕まえた容疑者がどうなるかというとですが。探偵の捕まえた容疑者がどうなるかというと探偵協会の運営する留置場みたいなところに送られて、特別な許可を持つ弁護士が検察官の代わりに裁判を行います。ついでに探偵は裁判所の管轄になっています。


今回はここまでで、最後まで読んでいただいてありがとうございました!!



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