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8オブザデッド


 宇宙海賊との戦いが激化していった最中、提督のもとに通信が入った。


『お前が、その船の船長か』


 それはもふもふの毛が生えた二足歩行の猫だった。あっ、猫だ。かわいい! 反射的にそう言ってしまうところだったが、提督はグッとこらえた。


「提督です。あなた方がこちらに先制攻撃を仕掛けてきた人たちですね」

『左様。我々はにゃんにゃんにゃ~ご☆星のものだ』


 名前までかわいい! 猫は手のひらで顔を拭きながら(かわいい!)、さらに言葉を続ける。


『降伏勧告などはせぬ。なぜなら、諸君らはここで死に絶えるのだから』

「えっ…………な、なんでですか!?」

『決まっている。この宇宙に異星人などは必要ない。我らはわんわんわお~ん☆星との生存競争に勝ち抜き、ここまで生き残った種族。常に勝利し、そして障害を乗り越える。それではさらばだ』

「ま、待ってください! だったらどうして通信なんて!」

『にゃふふふふふ……』


 笑い方、かわいい!


『死にゆくものが怯える姿が見たかっただけよ。では、さらばだ……』


 あっさりと通信が途切れる。降伏勧告ではなく、まさかの宣戦布告だったとは。提督は手をわなわなと震わせた。


「……し、死ぬわけにはいかないのは、こちらも同じことだよ……。わたしたちは地球のために、スマブラのできなくなった地球のために、生きて帰らないといけないんだから!」


 そう、いつかまたスマブラができるように──。提督は再び腕を振るう。


「総員、総攻撃だ! 我ら宇宙船なろう号の力、見せてあげようじゃないか!」




 量産型デスバハムートを倒せるぐらいのロボットが搭載されているんだったら、惑星探査機に随行させればいいのでは、というツッコミがわたしの頭から出てきたけれど、それはきっと幻聴だったのだと思う。


 量産機デスバハムートが次々とやられていく自体に焦ったのか、相手のにゃんこ略星人は、さらに巨大なメカを送り込んできた。それは、超巨大デスバハムート(真)だ。スペックが異常に高く、また乗りこなすための技量も高かったため、一体しか作られなかったという、だいたい強い設定のやつだ。


 乗っていたパイロットもエースだったのだろう。まずは先ほどのフリードリヒ・ニーチェが鎧袖一触。すれ違いざまに砕かれた。


 とんでもない速さだ。続いて、カステラカラーの全身タイツを着て宇宙遊泳をしながら、文〇堂のカステラを食べて一言。「うん、なかなかの味。そうだね、このカステラは、さながらナイル川のほとりを漂うエジプトの若き宝石のような……84点!」と批評していたカステラソムリエ、カ・ステ・ラが舌鼓を打ちながら爆発に巻き込まれて死亡した。


 放射能ブレスを吐く超巨大デスバハムート(真)に対抗するのは、ポゥリィ。宇宙放射線を遮蔽する効果があるのです!と言い張り、目の位置に穴を空けた、頭がぴったり入るサイズの青いバケツを被っている(茶色の紙袋ではない)。性別不明。(原文ママ)のポゥリィは、デスバハムートのブレスに真っ向から飛び込んでゆく。


 誰もが与太話だと侮っていた青いバケツだが、ポゥリィの知力は9だ。ウソを言うはずがない。放射能は青いプラスチックバケツの力によって完全カットされ、そのまま熱を素通ししたのでポゥリィは焼け死んだ。


 ラミエル2号機は、UFO型生命体だ。UFOっぽい通信設備をもっていて、希に良く見るピラミッド型。全長120m。あとなんかすごく硬いATフィールドを張ることができる。なにか台詞を言わせようと思ったけれど、ラミエルが言いそうな台詞とか特に思いつかなかったので、じゃあ「もう、喰ったさ……ハラァ、いっぱいだ……」と言いながら死んでいきました。はい。


 さらに打って出たホルスタインは、娼婦だ。牛だ。貢がれた宝飾品をまとった牛だった。牛はスーパー牛号の機体に乗って、量産型デスバハムートを蹴散らしていった。娼婦は当然のことながら、男を手玉に取れるのだ。これが人生経験の妙だ。しかし、人生経験はあるけれど、デスバハムートを倒した経験はほとんどなかった。前後左右から襲いかかられ、「モー」と鳴いた。辞世の句だった。


 風呂屋の番頭は、職業風呂屋の番頭だ。スキンヘッドで入浴料を握りしめたまま、この宇宙船なろう号に乗り込んできた。なんの因果か、わからない。だが、ゾンビだらけの地球では、番頭の仕事は今や、侵入してくるゾンビを撃ち殺すものへと変わっていた。風呂屋の番頭は見事に超合金けんじくんを乗りこなす。量産型デスバハムートを物ともせずに攻め込んでいたが、やはり超巨大デスバハムート(真)に敗北を屈した。宇宙に巨大なボイラーのような火があがる。



『どうだ! その機体は、量産型デスバハムート40万匹分のコストをかけて作った特機だ! そう簡単にやられるものではないぞ!』


 ドヤ顔で通信が入る。さすがにデスバハムートが40万匹出てきたほうが強かったのでは……と思ったが、実際に目の前の機体に手こずっているのでなにも言えない。


『さらに母星には、この機体があと30機ある! どうだ、絶望的だろう!? すぐに応援がやってくるぞ、グワハハハハハハ! にゃーふにゃふ!』『


「くそう、強い……しかも申し訳程度の猫要素まで付け加えてきて……もう、どうすれば……」


 これ以上機体がやられてしまっては、もうもたない。このままでは宇宙船なろう号が沈められておしまいだ。


 そこで、ヌメット・スネークが横合いから口を挟んできた。


「……やつの母星だ。母星に着陸し、先に直接本体を叩くしかない。そうしない限り、延々と援軍が送り込まれ続ける」

「それは……?」

「惑星探査船で、工作員を送り込むのだ」


 ヌメっと・スネークの提案に、提督は目を見開く。


「いや、しかし、それは……。いくらなんでも、しかし、それしかないんですか!?」

「ああ、それしかない。なにかを手に入れるために、なんの犠牲も払わないなどというのは、虫のいい話だ」


 提督はうなだれた。それは、そうかもしれない……けれど……。


「なに言ってるんですか、提督」


 顔をあげる。そこには、槍杉珍太郎が立っていた。彼ははいだしょうこが描いたみたいな顔とガンジーでも助走つけて殴るレベルの気持ち悪い体型をした、百合の間に入り込んでハーレムを作る小説を書く小説家だ。バナナをもっちゃもっちゃと食べている。なんでも、わたしがすぐに殺したくなるキャラを作りましたよ! だそうだ。でも、彼は胸を張っていた。


「今すぐに命令してくださいよ。仲間を守るために、お前たちは石垣になれ、ってね? 俺たち乗務員は、そのために集まったんですから」


 すでにそこには、40人が集まっていた。そう、第一の星で燃料を使い果たした惑星探査船ゴニンダケイキノコールの代わりに、第二の惑星探査船キホンテキニイキノコラナーイに搭乗するメンバーだ。


「そのかわりに、帰ってくる母艦がない、なんてことは言わないでくださいね」


 魔女っ娘(39歳)のヒルデンブルグがお茶目っぽく笑う。提督は涙をこらえながら、強くうなずいた。


「ええ……あのデスバハムートはわたしが倒してみせるから、だから……みんなも、生きて帰ってきてね!」


 こうして、第二の星へと向けて、ひとつの惑星探査船キホンテキニイキノコラナーイが降りていった。


 いったい、その中の何人とまた再会することができるのか。


 提督にはわからない。だが、今は目の前から迫ってくる敵機を相手にするだけだ。必死に、生存するだけなのだ。






*第二の星へ向かうメンバー*


ゆうゆう

佐伯庸介

てぃーばくん

蓮華

S原

さちはら

社畜の星

ち○たん☆

ゆり

フライングトースター

ユーカリ

ジェム

槍杉珍太郎

久限

リンネ・リーンカーネイション

くまこ

風呂屋の番頭

まみ☆

突く突く法師

織島霧香しきしまきりか

赤鼻のトナカイ

ヒルデンブルグ

焙じ茶

オクタ ヨシオ

大巣浪流(だいすろうる)

鰤鯖鰯

Myケル・Myヤーズ

みなと

モズク酢

ねく

梵日 王

CRバジリスク~甲○忍法帖~弦之介の章

《エックスプローダー》ジョージ~君はついに帰ってきた、この爆裂道に祝hk……ゲフンゲフン~

しんつぁん

リョウゴ

香ばしいゴマ油チョコBB+

宝条とキム姉

水筒

ミッキー・マウス

藻武 英太(もぶ•えいた)



***死亡者リスト***


フリードリヒ・ニーチェ

カ・ステ・ラ

ポゥリィ

ラミエル2号機

ホルスタイン

風呂屋の番頭

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