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7オブザデッド


 絶影がウホウホと口を開く。絶影は右手がドリルのゴリラだ。


「くっそ、俺が爆死しなければ……みんなは今頃……!」


 爆死王は、悔しげに顔を歪ませる。星5当たった全ての物を恨んでいる顔 この企画で生き残れたら星5が当たる気がするんだ…。という顔である。


 背中に逆十字のマークが入ったコートを着たブラックサンタ(アルバイト)のサジタリウスは静かに首を振った。


 ただのゲーム機であるニ〇テンドース〇ッチを咥えたぶりなっく(ハシビロコウ)も悲しそうな顔をしている。


 まさか、みんなが自分たちを助けるために命を張ってくれたとは、という顔だ。


「……そっか……」


 報告を受けた提督は、沈鬱な顔をした。帰ってきた五人のうち、ふたりが動物。しかも一個はニ〇テンドース〇ッチだったのはなぜなのか…………。いや、人の命の重さに順列はつけられないけれど…………。


「じゃあ、第一の星は移住不可能、という結果ですね……」


 がっくりと来たが、仕方ない。もともと確率は0.1%しかなかったのだ。それよりも、そのために犠牲になってしまった人たちがいたことが悲しかった。


 いや、しかし彼らも命をかけてこの任務に臨んでいる人々だ。その決意を軽んじるような真似はしたくなかった。提督は前を向いて、今度は大きくうなずいた。


「わかりました! では、次の星に向かいましょう!」


 努めて明るい声をあげ、一同は次なる星を目指すのだった。




 といっても、宇宙船なろう号の面々も黙って待っていたわけではない。その間に、船内のゾンビを大掃除していたのだ。


 こうして、船内にいた2万4000体のゾンビは宇宙の藻屑となった。船内は再び平和を取り戻すことができたのだ。どこに2万人もゾンビが入り込んでいたのかって? だってこの宇宙船の中には月が入っていたんですよ……。


 それでは、次の星の周辺へとワープの時間だ。残る乗客244人+提督が、全員シートベルトを締めて、次なる星へと向かう。一瞬、体の体重が軽くなり、浮遊感と内臓がひっくり返るような気持ち悪さが襲いかかってきた。それはすぐに収まったけれど、何名かは医務室を訪れて酔い止めをもらったりする。医療チームは大活躍中だ。


 周囲は相変わらず宇宙空間が広がっている。代わり映えのしない景色だ。宇宙はどこも代わり映えがしないなあ、と提督は窓の外を眺めてため息をつく。漆黒の世界は、生物が住むことができない死の世界なのだ。


 と、外を眺めていた提督は「うん……?」と眉をひそめた。なにか、キラリと光るものがあった。ハッ、あれは、まさか──。


「えっ、宇宙海賊!?」


 光が宇宙船なろう号をかすめた。轟音と震動が宇宙船を襲う。


 エマージェンシーコールが鳴り響く。ちなみにそのときの衝撃で、ペットのミドリガメは甲羅が割れて死んでしまっていた。せっかく、甲羅の真ん中に星のシールが貼られた素敵な亀だったのに。


 ともあれ、緊急事態だ。先制攻撃をしてきたことから、海賊に和平の意志はないだろう。


 だが、待つのだ。宇宙海賊がいるということは、近くにその母星があるということ。ならばそれは、第二の星に違いない。


「……人類の未来のために、あの宇宙海賊をまず倒す!」


 そのために!


「──宇宙船なろう号、緊急出撃!」



 宇宙船なろう号に搭載されていた兵器に搭乗して、次々と出撃していく人々。


『向こうも、兵士が直接出てきたよ! 迎え撃つつもりだ!』


 F.E.H.Uがレーダー代わりに報告する。


 対するこちらの面々も、精鋭揃いである。なんといっても、地球の技術の髄が詰め込まれているのだ。


「よし、ようやく私の出番だな!」


 出撃した学生の夜雨は景気づけに、美味しすぎて食べると身体が爆発するチョコレートをかじり、"喪服みたいに黒いセーラー服、黒ストッキング、ローファー

去年から参加の二年目です!!!!去年は原文ママで乗せてもらったので、今回は普通に。どんな死に様か楽しみにしてます!!!"(原文ママ)と叫びながら出撃していった。だが、少しいったところでチョコレートの効果で身体が爆発して死んだ。


 敵は大量の龍を模した兵器を送り込んできた。あれは……量産型デスバハムートだ! 全長20キロという超巨大兵器が、なんと60体もいる。宇宙空間を埋め尽くすほどの巨大さだ。


 駄目だ、こんなの勝てるはずがない。左目がスナイパーライフルの哲学者、フリードリヒ・ニーチェは超合金けんじくん号に搭乗し、『ツァラトゥストラはかく語りき』(自著)を胸に抱く。


「やってやれないことはない(意訳) さあ、行きましょう、皆様方」


 量産型デスバハムートとがっぷり組み合うフリードリヒ・ニーチェは至近距離からビームライフルを打ち出し、デスバハムートを葬り去った。まずは一匹。


 その横には闇がいた。闇は職業闇で、外見が闇だ。持ち物はヒストリアらしい。闇はひっそりと宇宙に消えてゆく。


 同じように、超合金けんじくん号に乗せられた東京タワーは、ただの東京タワーだ。赤と白に塗られた高さ333メートルの自立式鉄塔。実は建材に戦車が使われている。その魅力あふれる立ち姿は都民の誇りであり首都のシンボル。様々な怪獣たちに何度も壊されるがいつのまにか何事もなく再建している幸運の持ち主でもある。夜になると光り輝き人々に勇気を与える(原文ママ)。なぜそれを宇宙に持ってきた? そもそも誰が宇宙船なろう号に乗せた? シンボルタワーかな? なので、宇宙空間をそのまま漂ってゆく……。一度壊した贖罪のためにお供になったゴジラが悲しく鳴いた。


「よっしゃ、行くぞ!」と柔道着を着ている山田マンは、役職者だ。サバイバルナイフで、手に持ったみかんを勢いよく剥いた。みかんはちなみに職業果物で、魅力10の果物だ。だから、おいしかった。みかんを食べて元気満々の山田マンはそのままデスバハムートを18匹倒し、最期は宇宙海賊の艦隊を沈めて消息を絶った。さらばだ、山田マン。いつかまた、会える日まで──。



「なんかこんなところにシュールストレミングがあった」

『宇宙船の中で開けるとやばいし、捨てたほうがいいよ』

「そうだね」


 戦いのさなか、テーブルの上に危険物を発見した提督はそれをダストシュートに捨てた。間違って開けたデスバハムートの中の人が、その威力に失神し、無抵抗な量産型デスバハムートは山田マンの犠牲となっていたのだった。


***死亡者***


ミドリガメ

夜雨

東京タワー

山田マン

みかん

シュールストレミング


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