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5オブザデッド


「アーッハッハッハッハッハ!!!」


 炎の中、東北ずん子は高笑いをしていた。


「なにが植物ですか! なにがツタですか! 所詮は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すだけの、星にとっての歯車のような生き物! 枝豆ほどの価値もありませんね!」


 周囲の植物は燃え尽きて、ツタは弱々しく地面を這っている。


「どうだ、これが人間様の実力だ。わかったらもう二度と人間様に逆らうんじゃねえぞ!」


 と、とても小さな可愛らしい壺(自称)の壺がつばを吐く。メダル集めが職業で、中にはエリクサーが詰まっている壺だ。こいつこそ人でもなんでもないのでは……。


 シュンッ、と最期の力でツタは高笑いをした壺を砕いた。コポコポコポとエリクサーをこぼす壺。そのエリクサーは地面に染み込んでゆく。そうするとどうなるか? そう、HPが全回復するのであった。


 ツタは復活した。それどころではない。大地が隆起し、まるで山のように盛り上がってゆく。見上げる人々は口をぽかんと開けた。


「こ、こ、これは……?」


 もしや、自分たちは思い違いをしていたのだろうか。この星で敵対攻撃を仕掛けてくるのは、植物だけではなく……。まさか……。


「土、すらも……!?」


 覆いかぶさってきた大量の土に飲み込まれて、東北ずん子は生き埋めとなった。探索者は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。



 ふくよかなお方である東中さんは、幸運値9の豪運を誇るお方だ。同人誌を手に持った無職である。東中さんは同人誌を慌ててめくり、この状況を打開するための策を探した。だがそれはドラゴンカーセックスの本。そうか、大地と──と思いついたところで、べちゃりと土に潰されて死んだ。それ以上を書くとノクターン行きになるのだ。


 羅芋(らいも) 酔錬(すいれん)はタルハンマー(地酒入り)を握り、正面に叩きつける。土の塊は吹き飛ばされ、ぽっかりと穴が空く。あっけないほどの手応えだ。


「ンだぁ……?」


 叩いても意味はない。だってそれは、土なのだから。すぐにまた寄り集まって、襲いかかってくる。ツタと土の連携攻撃だ。自然の恐ろしさに羅芋(らいも) 酔錬(すいれん)も唸り声をあげた。いや、彼の闘志は死んではいない。


「面白ェ! 無限に闘える相手か! それでこそ……それでこそだ!」


 その横を、猫好きのタケルがひえええ、と頭を抱えながら逃げてゆく。丸刈りの男児である彼は「だからこんな星に来るなんて、嫌だったんだよぉ~~~~!」と泣き声をあげる。その胸が串刺しにされた。きょうわたし、猫とか子どもとかめっちゃ殺しているけど、大丈夫かな? 新年お祓いとかいったほうがよくないかな?


 続いて、学生?のかざにゃだ。中二病な椅子「Lex」を抱えて逃げ惑う彼女は、この星の支配者となることを夢見ていた。


 銀髪のふわんふわんツインテール、蒼と金のオッドアイな幼女。ゴスロリ服着てます。(原文ママ)らしい。星の支配者になって、すべての人類を顎で指図し、崇められるのだ。


「かわいいは、正義、なのです!」


 しかし植物にとっては可愛いなど、通用しなかった。植物にとって可愛いのは我が身だけなのだ! ゴスロリ服は真っ赤に染まる!


 ゾんビは職業腐り掛けゾンビで、ナイフとフォークを持っている。ちょっと異臭を放つ一般的なオッサンなので、別にゾンビではない。だが、彼はこの状況において、こんなことを思っていた。「まさか俺、ゾんビって名前だし、さっき星でゾンビ騒ぎが起きたばっかりだし、追放されたのでは……!?」 と。


 それが事実かどうかはわからない。だが、ゾんビの中に芽生えた疑念は、彼の足を止めさせた。結果、ゾんビは仲間を信じられなくなり、ツタに斬り刻まれた。そう、この世界ではなによりも信頼こそが大切なのだ……。だからみんな、F.E.H.Uを信じてくれ!



 あっ、遠くに宇宙船が見えてきた! 後少し走れば、宇宙船まで戻れる!


 リラックマ着ぐるみを着たコリラックマ。もふもふ。もふ公だ。職業ももふもふだ。具体的にはなにをする職業なんだろうか。履歴書にはもふもふとありますが、なにをされていたんですか? もふもふと言われましても……。


 そのもふ公が、ツタに捕まってしまう! しかし、もふもふの毛皮をなめないでほしい。コリラックマはリラックマキグルミを脱ぎ去り、さらに駆ける。しかし、その姿はもはやもふもふとは言えなくなってしまった。アイデンティティが砕かれたもふ公は、自我崩壊した。


「早く、逃げてください! この星は危険です! 早く、早く!」


 外科医のりめは、声を張り上げる。身長175㎝、赤い髪のショートカットに、グレーの瞳、白衣を着ています。携帯用手術セットを手に提げている。宇宙船に人々を逃がそうと立ち止まったその手に、ツタが巻き付いた。


「っ!」


 手に持っていた携帯用手術セットで、迷わずツタを斬り裂く。さらに襲ってきたツタを次々と斬り裂いた。しかし、108本のツタを斬り落としたところで隆起した大地に飲み込まれてしまった。


「そうか、わかった!」


 ナルホド君が弁護士バッジを掲げながら、叫ぶ。すべて、わかった。この星の秘密がわかったのだと。


「この星は、ツタだとか、大地だとか、そんなものが敵じゃないんだ! そう、いうなればこの星自体! この星そのものが生命体なんだ!」


 ガイア理論というやつだ。そう叫んだ途端だ。今度は大地の隙間から吹き出してきた水流に体を真っ二つに引き裂かれた。真実はいつだってひとつ。それはコナンだ。ゼロの執行人、面白かったよね。


 とまれ、真実にたどり着いた一同は、結局、身を震わせることになる。


 なんといっても、自然そのものが敵なのだ。


 王女のぬいぐるみであるシャーリーは、眠りを誘う抱き枕だ。体の中にほっかほかのかぼちゃの煮物が詰め込まれているらしい。えっ、なんで……? なんでかぼちゃの煮物って発想になるの? こわぁ……。


 シャーリーを抱きしめていたのは、コミュ障の女学生、慧架だった。カロリーメイトを持ったニートで、今は安心を求めて必死に抱き枕を抱えている。この人、ステータスの合計値が8だったんですよね。低い分にはいいかなって思って。


 しかし、シャーリーともども大地の亀裂に落とされて、マグマの中でジュワッとなってしまった。コミュ力皆無な彼女は大自然の言葉なき抱擁を前に、今、なにを思ったのだろう……。


「ああ……あたたかい……」


 そうして、彼女はもしかしたら、微笑みを浮かべたのかもしれない。




 この星に来た一同は、残り23人。


 さて、 自然すべてが敵となって襲いかかるこの星から、ゴニンダケイキノコールに乗って帰れるのは、その中の何人なのか────!



***死亡者***


東北ずん子

東中

猫好きのタケル

学生?のかざにゃ

ゾんビ

もふ公

外科医のりめ

ナルホド君

シャーリー

慧架

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