23-2オブザデッド
胴体だけになった鹿角皇帝なろうエンペラーと、もともと船だけの宇宙船なろう号。いよいよガチンコの勝負だ。
これまで誰にも頼ることがなかった高次元生命体フェフは、ぴゅるるるーとホイッスルを吹き鳴らす。その直後、どこからかワラワラとスペースゾンビが現れた。
スペースゾンビとは宇宙空間に適応し、全身から血液を噴出することで姿勢制御することが可能になったゾンビのことである。彼らは亜高速で行動し、その全長も10キロ前後と、大型だ。
それでは──無数のスペースゾンビが守る鹿角皇帝なろうエンペラーの喉元に、今、トドメを差しにいこう。
「全軍──突撃ぃぃいいいいいいい!!」
提督の号令とともに、最後の戦いが始まった。
下級妖魔のしろばらは、黒髪に白薔薇の髪飾りをした下級妖魔だ。(本来白薔薇姫は上級妖魔だが、これはしろばらなので別人です)妖魔の小手でスペースゾンビをぶちのめし、吸収することで宇宙空間の適応力を強めて突撃していった。
「さあ、これからです!」
スペースゾンビを華麗に斬り裂き、切り払い、真正面に突っ込んでゆく。正面から打ち出したグレープショットは、大勢のゾンビを打ち砕いた。
その横を、JIROが飛翔する。パンクバンド DA PUNKのボーカルで、「U.S.A」に対抗して「U.M.A」をリリースしたものの、さっぱり売れずにヤケクソ気味な馬のマスクマンだ。ライブチケット(握手券付) (「生き残ってオレのLIVE観に来いよ!」って渡してる)を宇宙空間にばらまきながら、真正面にそびえる鹿角皇帝なろうエンペラーに向かっている。
「ゾンビに歌の良し悪しはわからねえか!」
悪態をつきながら彼は目の前のスペースゾンビにライブチケットを手渡した。それを受け取ったスペースゾンビはにこやかに微笑む。絶対に行くよ。その目はそう言っているような気がした。なんだ、ゾンビにも歌の良し悪しがわかるやつが、いるんじゃねえか……。JIROはその肩をぽんぽんと叩く。わかりあえた気がした、熱い宇宙の出来事だった。
カリオスは草履取りだ。絵にも書けない見苦しさの彼は草履を懐で温めていた。太陽の表面温度は六千度だ。カリオスが懐で温めた草履もそれぐらいの温度に達していた。草履取りとは、主人が心地よい温度に草履を保つ他、主人を助けるために草履を温め尽くす者のことを言う。
「どれ──これが、草履取りの戦い方でい!」
放った草履はスペースゾンビを百から二百も巻き込んで、爆発する。道は開けた。穿たれたその穴を、さらに後ろから柚木 恋が突貫する。
靴屋さんの柚木 恋は8センチハイヒールを履いてる女性だ。ミニショルダーバッグ(の見た目をした大容量シューズラック。大好きな靴が色々ぎっしり収納されている。基本ピンヒール。マジックアイテムのバッグみたいな……)(原文ママ)
平時なら、きっと誰からも愛される素敵な靴屋さんだったのだろう。しかし今、地球はなく、目の前には全宇宙の敵対者がそびえている。ならば、靴屋の本懐は、靴を売りつけること──。
柚木 恋は太陽が収納されるぐらい巨大な鹿角皇帝なろうエンペラーに、瞬く間に拘束靴を装着させた。
「な、なんだこれ!? 両足が、動かせなくなって!」
「うーん、冬の新作、ときめきパステルな流行カラー、とってもお似合いです!」
そう言い放った後を、くまこが飛んだ。
先祖代々続く何かの農家を継いだくまこは、マルチビタミンを握りしめている。先祖代々続くボロイ家にこうもりが居つき隈が消えないのだ。かわいそうだ。相当にストレスがたまっているに違いない。こうもりを殺すために買った絶対こうもり殺す砲を手に、くまこは突撃した。
「そんなものが、僕に効くはずが──ぎゃあああああああ!」
思いっきり効いた。そう、高次元生命体フェフのあこがれの人は高田純次。意見が蝙蝠野郎気味だ。だから効いたのだ。そういうことなのだ!!!!!!! ヘケッ!!!!!!!!
宮廷御用達着ぐるみ製造士のリトル=レインは、猫の着ぐるみ(エレガント)を着て、箸を持っていた。なぜ箸なのかわからないけど、とにかく箸だ。着ぐるみで箸を持っているのだから、大した技術なのだろう。
リトル=レインの製造した着ぐるみが宇宙空間を飛翔できないはずはないし、スペースゾンビを倒せないはずもない。ぺし、ぺし、と豪快な猫パンチで、スペースゾンビを次から次へと粉砕してゆく。血の雨の中、リトル=レインは顎をさすりこう言うのだ。
「ううん、次はゾンビの着ぐるみを……いやあ、かわいくないかなあ~」と。
もかちゃんは5ちゃいの占い師だ。しかし5ちゃいと侮るなかれ。なんと腕力は5もあるし、所持品はモーニングスターだ。バリバリの戦闘員だ。
もうなにもひねったりする必要はない。モーニングスターは立ちはだかるスペースゾンビの頭蓋骨を、まるでわたあめのようにブッ壊してゆく。もかちゃんはふと、占いも試してみた。どちらもできてこその文武両道だ。
「ふんふん、もうじきあたちは……ちにます……えっ!?」
逆方向から、ブラックサンタ(アルバイト)のサジタリウスが飛ぶ。背中に逆十字のマークが入ったコートという、もしこのクリスマス更新がコミカライズ化されたら修正されそうな服を着ていますね。コミカライズ化されねえよ!!!!!
プレゼントの入った袋(アルバイト用)から、ポイポイとプレゼントを放り投げている。「右へー、左へー」 そのプレゼントとは? ブラックなサンタなのだから、ゾンビ即死爆弾に決まっている。スペースゾンビは次々と爆砕された。
ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨは、ミスターホストコンテスト1位の強者だ。イケメンに見えなくもない程度の容姿で一位をゲットするのだから、その実力は底知れないだろう。ドンペリの入った箱を担いで、堂々と宇宙空間を渡る。
スペースゾンビたちも「お、おい、あれドンペリじゃね……?」「えっ、じゃあ割ったらマズくね……?」なんて言い合って、ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨを攻撃できずにいる。チャンスだ。ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨは箱からドンペリ瓶を取り出し、近くのスペースゾンビの頭を片っ端から割ってゆく。
えっ!? と動揺するスペースゾンビに向かって、ドンペリ漂う宇宙空間で髪をかきあげた彼はこう言う。「飲み飽きているんで、ドンペリとかw」
つくもなすはパン屋だ。ドゥ・リーヴル(太く、重めのフランスパン)を持って、コックコートを着ている。フランスパンが武器になるのは、懸命な読者諸氏なら当然お察しのとおりだろう。しかもドゥ・リーヴルといえば、世界的にスペースゾンビ特攻がついているパンとしておなじみだ。このパンに触れたスペースゾンビは宇宙空間で跡形も残さず消滅すると言う。
つくもなすの前に敵はいなかった。ゾンビは我先へと逃げ出し、つくもなすは、やれやれ、と肩をすくめる。
「これじゃあ、朝飯前に終わっちまうよ」なんて。
十人が見事に鹿角皇帝なろうエンペラーへの道を切り開いた。さあここから逆転の狼煙だと特攻する十人に向かい、高次元生命体フェフは、さらなる奥の手を切った。
「ええい!!! もうこうなったら、ビーム!!!!」
再び、宇宙船なろう号へとビームを撃ったのだ。やばい、母艦を破壊されてしまえば、宇宙空間で人は生き続けられない。(描写はしてませんが、全員ちゃんとロボットに乗っています)
しろばらを含めた、前に出ていた全員はそのとき、十枚の盾となった。
しろばらが、JIROが、カリオスが、柚木 恋が、くまこが、リトル=レインが、もかちゃんが、サジタリウスが、ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨが、そしてつくもなすが、母艦を守るために地球やエベレストと同じようなことをしたのだ。
想いの盾は、いかに強固な矛とはいえ、貫くことはできない。
「な、なんだって………………!」
多大なエネルギーを消費した高次元生命体フェフは、荒い息をつく。
こうして、十人の命とともに、宇宙船なろう号は守られた。
散ってゆく命に今は同情も、絶望もしない。ただ、前に進むだけだ。
「第二陣! 突撃!!」
さけさかな
クラウン
ジイ・ファンタジー
ウニみちながサガ
ASHIO-ff
カチガラスハンター
クローズ・サンダー
ねねこ
アイ
掃除妖精(自称)
慧
ルナルナ
ユウ・キリシマ
ギルバート
山神ルーシー華子真由美紗奈早苗円香明神智和田輪廻清藤蟈畿之娘
毘沙門天ゆるいこ
***生存者***
水野力
足の生えたじゃがたらいも
ブルース・フォー
ヌメット・スネーク
シグルド
日柳すみれ
ぺぺぽん
みさと
永瀬-Ⅲ
箱野ねこ
栗
JUNY
しろてん
アポロ
原稿が終わらないあかり
羽海野渉
かどくら
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雨乃 時雨
タンドリー
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シール・アイリスフレイム
リョクア
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越谷 杏子
黒無
古馬海
ニコラウス




