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22オブザデッド


「しかし、おかしくないかな……? 地球はもう80億年経っているんでしょう? それだったらこの太陽系は滅びているはずじゃ……?」


 わたしが見ると、F.E.H.Uは『確かに……』とかわいくうなずいていた。


 太陽の寿命は残り約55億年だと言われている。いや、搭乗員ととして乗っていた太陽ではなく、本物の方の。


 だから、すでに太陽は白色矮星として地球を飲み込んでいることが自然なのだが、そうはなっていないようだ。


「いったい、なにが起きているんだろう……。ねえ、フェフさんは、なにか知らない? ね、フェフさん……?」


 F.E.H.Uは身を固くして、自分で自分の体を抱きしめている。それはホログラム映像だから、手を伸ばしたところで決して繋がることはできないけれど、それでも提督は思わず手を差し伸べてしまった。


 不安げにF.E.H.Uがこちらを見つめる。提督は微笑んだ。


「大丈夫だよ、きっと素敵な未来が待っている。そう信じて、降り立とう」

『…………うん、……うん!』


 F.E.H.Uは改めて大きくうなずく。宇宙船なろう号は、地球へと帰ってきた。




 そこはエジプトのようだった。ナイル川に着水した一同が向かった先には、今まさにクフ王のピラミッドによく似たものが組み上げられようとしていた。


 しかしその光景を見て、絶句する。なんせ石を運んでいるのもゾンビ。ゾンビを指揮しているのもゾンビなのだから。


 ここにはゾンビしかいない。見渡す限り、防腐処理を施されたゾンビだらけだ。エジプトじゃない。ゾンビランドだ!


 やはり地球は滅びていたのだ。だがしかし、一体誰がこんなことを。こんな風にゾンビを操って、都市を建設させているのか……。誰が、誰がこんな、かづ……誰がこんなことを!!!


 豪奢な神輿がやってきた。


 担いでいるのもゾンビだが、その上に乗っているのは身長130センチほどの、かわいらしい金髪の美幼女であった。その幼女はこちらを見て、にこぱっと笑うと、パチパチと拍手しながらゆっくり神輿を走らせて、こちらにやってきた。


「ああ! おかえり、みんな! 宇宙旅行、楽しかった? 僕もう、待ちくたびれたんだゾ☆」


 提督は驚きに見返す。


「キミは……フェフ、さん?」

「そうだよっ。僕が本物のフェフだよ!」

「本物って、偽物とか、いるの?」

「いるよぉ。キミたちが連れているのが、偽物でしょ?」


 キョトン、と問い返してくるフェフ。


 その視線の先には、空中に浮かぶホログラム映像、F.E.H.Uの姿があった。F.E.H.Uは沈鬱な眼差しでうつむいている。


「えっえっ、あっちにもフェフさんがいて、こっちにもフェフさんがいて……どういうこと……?」


 流れについていけていない提督の代わりに、目の前の神輿に乗っているファラオ・フェフが口を開く。


「偽物だし、裏切りものだよん。ねえ、F.E.H.Uさん。君は僕が創り出したAIだっていうのに、何度も僕を裏切ろうとしたよねぇ? この星に帰りたくない、帰らないほうがいいだなんてさ。どうしたのかな? もしかして自分の本分を忘れちゃった? 僕が作ったAIなんだから、僕には絶対服従でしょ? それともなにかな、その人たちに情が湧いたとでも言うのかなあ?」

『それは……っ』


 抗弁しようとするF.E.H.Uの言葉を押しつぶすように、ファラオ・フェフが笑う。


「そんなわけないよね! AIにココロが生まれるはずないんだからねぇ? 結局、バグっちゃっただけだよね! バグは僕がちゃーんと直してあげなきゃ!」


 手をワキワキと動かすファラオ・フェフの前、提督が両手を広げて立ちはだかった。


「ちょ、ちょっと待って、フェフさん! いろいろとめちゃくちゃ聞きたいことはたくさんあるんだけど、この子はわたしたちと一緒に旅を乗り越えた大切な仲間だよ! バグっているだとか、そんなことを言わないでほしいんだけど!」

「大切な仲間? 大切な仲間かぁ……だったら、船内にゾンビを招き入れたのが、そのAIの仕業だって、ちゃんと知っているの?」

「えっ!?」


 振り向く。F.E.H.Uはぶんぶんと首を振った。


『それは、ご主人様のご命令で……!』

「くふふふ、そうだよねぇ、僕がもたせた新型感染ウィルス入りの瓶も、ちゃーんと割ってくれたみたいだし、ご苦労ご苦労だよん」


「それってどういう……」

『違うの、てれんさん……。僕は、僕は……』


 ファラオ・フェフが面白そうに笑い声を上げた。


「なにも違わないよ! 君たちが地球を出ていっちゃって、僕は80億年待つはめになっちゃったんだから! おかげで身体もこーんな風になっちゃったんだから!」


 バリバリバリバリ、とフェフの外殻が破けて飛んだ。神輿からドシンと地上に降り立つ。そこにいたのは、まるでどこかで見たことがあるかのような、四足のワニに似た怪物であった。


「うそ!? 高次元生命体!?」

「そう! 僕は進化のステージを駆け上がっちゃったのだ~!」


 高次元生命体フェフは高笑いする。


「地球にゾンビパニックを引き起こして、人類を滅ぼしたまでは良かったけど、そこから先が退屈で、退屈でさ! 人類って一度滅ぼしちゃったらおしまいなんだね! 僕、知らなくて! だから、外宇宙に旅立っていった君たちを待っていたんだよ! 僕が滅ぼしたゾンビだらけのこの星で! ひとりきりで! 退屈だったんだよ~!」


「な、なんてことを………………!」


 悪役ムーブをかますのが板につきすぎている高次元生命体フェフを見て、提督は震える。全人類を滅ぼした元凶がまさか、あの元鹿角フェフさんだったなんて……! 想像すらもできなかったよ!


「だからねぇ! 久しぶりすぎてちょっと張り切っちゃうけど、簡単に滅亡しないでね~!」


 いよいよあらわれたラスボス、高次元生命体フェフを前に、生き残った搭乗員たちは一斉に武器を構える。


 そこで提督は、隣に浮かんで震えているF.E.H.Uの手を取った。当然、ホログラム映像なので、その手はすり抜けてしまう。けれど、想いは伝わるのだと信じて。


「大丈夫、フェフさん! キミはわたしたちの仲間だよ! 今まで操られて、強制されてきたんだね。つらかったよね。だから、ここでわたしたちがフェフさんを解放してあげるから」

『て、てれんさん…………』


 F.E.H.Uの目にいっぱいの涙がたまってゆく。


『僕の本当の名前は、人型友フレンドシップ達囲い(・エンクロージング)込み器(・ヒューマノイド)フェフ(・ユニット)……。略して、F.E.H.Uなんだ……。みんなをこの地球に連れ帰ってくるのが目的で……。今までずっと権限がなくて、言えなくて、ごめんね……』

「ううん、いいんだよ。わたしにとっては、唯一無二の、フェフさんなんだから。すべてが終わったら、一緒にスマブラしようね!」

『……っ、……は、はい!』


 高次元生命体フェフはゲハハハハハと大笑する。


「なにがスマブラだよ! あんなゲーム、どこが面白いんだか! キャラを出すのが面倒くさいし、操作方法だって複雑! 全然初心者向けに配慮されてない、クソゲーじゃないか! あんなくだらない遊びなんてやめて、僕ともっと愉しい、命のやりとりごっこをしようよぉ~!」


 こうして、高次元生命体フェフは両腕を振り上げた。そのときだ。地球からなにかが飛び出してきた。


 それは、三体のロボットをつなぎ合わせたような、いびつな形をした超巨大物体だった。


 砂漠は突如流砂と化す。まるで地中からディアブロスが現れたときのような衝撃だ。ピラミッドは崩壊し、かしずんでいたゾンビたちすら飲み込まれてゆく。フェフは自分の配下であるゾンビたちをゴミとすらも認識していないようだった。


 提督はいち早く指示を下し、全力で宇宙船なろう号にダッシュしていた。


 超巨大物体の肩に乗った高次元生命体フェフが叫ぶ。


「そういえばてれんさんは、僕の好きなこと、知っているよねえ!?」

「え、なんだろうな! 村焼きかな!?」

「そうそう!」


 提督たち以下86人が宇宙船なろう号に乗り込みハッチを閉じた、次の瞬間だ。


 高次元生命体フェフはロボットに搭乗し、そうしてその口から光線を吐き出した。


「村焼き、村焼き……、でも、このゾンビしかいなくなっちゃった星では、もう滅ぼす村もないから! だから、壊すね! ──────地球を!!!」


 ビームは地面を突き抜け、星の彼方まで到達する。そしてそれが、ぐるりとバナナに包丁を立てるように一周した。直後──。


 ──地球は、まさしく真っ二つに、両断されたのだ。




「ええええええええええ!!!!!」


 提督が叫ぶ。


 逃げ遅れたハシビコロウのぶりなっくが宇宙空間であっけなく散っていった。宇宙空間では鳥はどんなに羽ばたいても前に進むことができないから!


「あーーっはっはっはっは!」


 宇宙空間に投げ出された宇宙船なろう号の元に、高次元生命体フェフの高笑いが届く。


「どうだい、この、僕の作り出した最終決戦フェフ型兵器──鹿角皇帝なろうエンペラーの力は!」


 見やる。鹿角皇帝なろうエンペラーになぜ、なろうの名が冠してあるのか。懸命な読者ならもうお気づきであろう。


 そう、それは出発前に提督が選ばなかった、三隻の宇宙船なろう号が合体した姿なのだった。


「ば、ばかな……あの船は、あの姿は……」

「そうだよん! わかっているよね、宇宙船なろう号は月はおろか、太陽をも搭載できて、デスバハムートSSRが1恒河沙攻め込んできても、落ちることはない絶対無敵究極戦艦だってことを! しかもそれが三隻! 三倍だよ! あーあ、これじゃあ弱いものイジメになっちゃうかな!? でもしょうがないよね、僕は戦うのが好きなんじゃなくて────蹂躙するのが好きなんだからさぁ♪」


 鹿角皇帝なろうエンペラーが拳を握り、襲いかかってくる!


 提督は慌てて指示を飛ばした。


「迎撃! 迎撃急いで!!」


 こうして、失われた地球を背に、最後の戦いが始まる──。




「くそう、お前のせいで『おとめバレ』の2巻が、2巻がでなくなっちまったんだ!」


 怒りを込めて、山賊のアカシック・レムナントが飛び込んでゆく。三枚目が板についてそうなイケメンは腕力が10。これ以上もない先制攻撃だ。柏木おとめちゃん型ロボットに乗り込み、大斧を叩きつける。だが、ガギィンという硬質的な音を立てて斧は弾き返された。


「そんなの無駄無駄ぁ!」


 鹿角皇帝なろうエンペラーが張り手をかましてくる。たったの一撃でアカシック・レムナントは弾け飛んだ。


ニン──!」


 忍者のジェーン・ドゥが鹿角皇帝なろうエンペラーの背後から奇襲を仕掛ける。しかし、不意打ちはその分厚い装甲に弾かれた。


 彼女は姉の箪笥からコッソリ持ってきたすけすけレースの大人パンツを持った、金髪美少女11歳全裸だ。しかも、高次元生命体フェフはそういうのが一番嫌いなのだ!


「肌色面積多すぎ! そういうの、駄目駄目!」


 ぐしゃあと両手に握り潰されたジェーン・ドゥ。その肌はもはや肌色ではなく、真っ赤な血に染まっていた。


「高次元生命体の脳! 脳! 気になりますねぇ!」


 脳科学者のブレインが、脳えぐり取りマシーンに搭乗して、鹿角皇帝なろうエンペラーの頭部へと突貫をしていゆく。しかし、それすらも鹿角皇帝なろうエンペラーは意に介さず、逆に頭突きを繰り出してきた。


「そんなの、ノー、だよん!」


 自分で言ったダジャレに自分で笑い転げる。ブレインは宇宙に自らの脳症をぶちまけることになってしまった。


 強い、これが鹿角皇帝なろうエンペラーか。さすがラスボスだ。強い!


「だからといってフェフさんがわたしたちを逃がすとは思えない……! ここは、戦うしかないんだ! 地球の恨み!」


 提督の命令にしたがって、さらに多くの搭乗員が突撃していった。



 のっ野比のび太郎はいつもは頼りないけれど、やるときには(主に劇場版とかでは)やるタイプの小学生だ。ドラ焼き好きでネズミが苦手な耳のない青色猫型ロボット(偽)を連れている。ニセなので動かない。ぬいぐるみだ。


 メガネに半ズボンをはいているが、そのメガネが特注品だ。なんせこれは知力8と魅力2アップする、す☆て☆きな眼鏡。これで、のっ野比のび太郎の魅力は12だ。人類を超えた。


「なーにぃー!」


 高次元生命体のステータスを人間に換算することはできないが、あえて表示するなら魅力マイナス10と言ったところだろう。その差が鹿角皇帝なろうエンペラーには効いた。猫型ロボット(偽)を叩きつけ、ガリィっと装甲を削り取る。ただそれだけ。すぐにのっ野比のび太郎とめがねはプチッと潰された。


 だが、やったのだ。臆病で根性なしののっ野比のび太郎が、あのラスボスに一撃を加えた。めがねとの合体攻撃だったとしても、それは全員に希望を与える一撃だった。


「くそう、やったなぁ~」


 トラベルエージェンシーのゼネラルマネージャー、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシットが巨大な名刺を敵ロボットの顔面に叩きつける。前が見えなくなった高次元生命体に、言い放つ。


「やりましたが、なにか?」


 そこに強風が吹き荒れた。クリスマスを台無しにする風だ。おそらくわたしの活動報告を吹き飛ばしたやつだろう。お前でふたり目なんだよなあ! 強風に背中押されて加速してくるのは、爆死王だ。電波をどこでも拾えるスマートフォンを掲げ、そのガチャ画面を表示した。


「爆死するのは、お前だよ────!」


 さらに一万円を追課金してブラダマンテちゃんの出なかったわたしの恨みが、鹿角皇帝なろうエンペラーを襲う!


 三人の合体攻撃を顔面に受け、鹿角皇帝なろうエンペラーは一瞬だけよろめいた。そこで「よしっ!」と三人がガッツポーズをした直後、エンペラーの放った光線によって三人は焼き尽くされた。


「課金は悪い文化!」


 効いている。大きなダメージはまだ与えられていないけど、でも確実に鹿角皇帝なろうエンペラーにはダメージが入っている!


 これは敗北が決定づけられたイベント戦闘ではない。地球の誇りを取り戻すための聖戦だ。


「総員、突貫──!」


 艦長である沖田十三("白髪、白鬚、艦長帽子

【口癖】地球か、何もかもみな懐かしい")が、生き残っていた惑星探査機、ゴニンダケイキノコールを駆って飛び出していた。まさか、自爆する気!?


 家族の写真をそっと取り出す、沖田十三。さらに探査機には他にも運転手のキー坊。。それに、宇宙飛行士のユーレイ・ババーリン。そして、通信士のポニテ女子、もっさんが乗り込んでいた。


 宇宙船なろう号管理AIのA.I.B.I.Sが、誤差を修正する。


 強いて言うならば、管理プログラムA.I.B.I.S.制御下にある、宇宙船なろう号そのもの。であったが、F.E.H.Uがいたため、今までまったく活躍の機械がなかった。でも表には出ていなかっただけで、あんなときもこんなときもずっとずっとサポートしてくれていたのだ。高度自己成長型サポートプログラムを持っているのだから。


『このまま着弾すれば、皆さんは生き残ることができません。よろしいですか?』


 キー坊。がへへっと鼻の下をこすって笑う。


「ま、帰る地球もなくなっちまったんだったらな。せめてあいつに『ザマアミロ』って叩きつけたいじゃねえか」

「そうだな。同感だ。そのために私もここにいる」


 ユーレイ・ババーリンも同意した。外見はうどんだ。


「そうですね、最後に、一矢報いたいと思って、ここにいるんですから! 余計な気は回さなくてけっこうですよ、A.I.B.I.S.さん!」


 もっさんが通信士らしい滑舌の良さで、ハツラツに答える。


 沖田十三は帽子を深くかぶり、ただ一言「すまん」と告げた。そして、顔を上げて怒鳴る。


「我ら地球の魂を見せてやるぞ! いくぞ!」

『おおーーー!!!!』


 四人とAIの力がひとつになり、ゴニンダケイキノコールは流星のように尾を引いた。


 本来ならなぜか五人は生き残ることができると言われている不思議な力をもつゴニンダケイキノコールだが、しかし今は死を決意したその五人が挑む。運命を捻じ曲げるほどの特攻力は、ついに鹿角皇帝なろうエンペラーの腕に衝突し、巨大な爆発を巻き起こす。


「ぐああああああ!」と叫ぶ高次元生命体だが、すぐにその表情を笑顔に変えて。


「なんちゃって──」と言った次の瞬間、ボロボロの姿で飛び出してきたもっさんが、振りかぶった。


「これが私の──きんのたま(定価5000円)だあああああ!」


 至近距離からきんのたま(定価5000円)を投げつけられた鹿角皇帝なろうエンペラーの腕の装甲が、ゴォンという音を立てて陥没する。


「な、なんだって──」


 こんなの想定外だ。まさか鹿角皇帝なろうエンペラーに傷がつくなんて。だってこの兵器は至上最強無敵なのに。


 ゴニンダケイキノコールの生き残りをぶつりと殺した高次元生命体フェフは、引きながらもその目に悦びをにじませていた。


「僕の予想を上回るなんて……面白い、面白いよ! こんなことは、80億年の間に、たったのひとつもなかった!」


「そいつぁ、ずいぶんと虚しい人生だったねェ!」

「左様」

「コン!」


「えっ」と高次元生命体が振り返ると、肩には三人の人物が乗っていた。


 モアイを模した面を被った褐色美少女で蛮族の、七橋ならうだ。その手には、てれん先生の新刊を買うための千円札が握られている。鋭い紙は時として、ダイアモンドをも斬り裂くと言う。


 さらに、侍の胡兎が、その首にアカギツネ(生後28ヶ月)を巻いていた。侍の胡兎は薄い水色の毛の兎なので、兎が首にキツネを巻いている形になる。まあいいか!!


 胡兎がカーボン製の刀を振り払う。同時に、七橋ならうが千円札を水平に凪いだ。鹿角皇帝なろうエンペラーの装甲がまた一枚、斬り裂かれる。さらにアカギツネ(生後28ヶ月)がコンコーン!と鳴いた。読者さんには今さら説明することはないが、なきごえと言えば、相手のこうげきを1段階下げる効果のあるデバフだ。たかがキツネ、されどキツネ。一矢報いるという意味では、これ以上の効果はないだろう。


「みんなして、なんなんだよ! もう!」


 鹿角皇帝なろうエンペラーがシッシッと肩を払う。ただそれだけでいと小さき地球人はプチッと潰された。しかし、高次元生命体の心に刻まれた傷は決して消えやしない。1段階下がった攻撃力もだ。


「もうこうなったら、本気出しちゃうからねぇ!」


 鹿角皇帝なろうエンペラーがその眉間から再びレーザーを放ってくる。地球を割ったあの光線だ。


 宇宙船なろう号は全力で回避行動に入った。しかし、避けられない! そこで、なにものかが貨物庫から飛び出した! お、お前はー!


「山ァー!」


 エベレストだ! 職業は山! 名前と外見がエベレスト! 持ち物がカレー! コメントに『描写が大変でしたらインド人にされてもOKです』なんて書いてあったけど、わたしはエベレストをエベレストのままで扱ってやる!


 さらに続いて、アフリカ大陸だ。国土であり、地図に載ってる姿との指定がある。アフリカ大陸もなにかを叫んだ。たぶん「ジャンボ!!」とかだ。地球を割ったラスボス相手に挨拶をするなんて、アフリカ大陸はすごく礼儀正しいお方ですね! まあ魅力5あるからね!


 しかし地球が砕かれたほどの一撃だ。いくらなんでも地球の一部であるエベレストやアフリカ大陸が受け止められるはずがない。そう、これがただの大地なら、だ。このエベレストやアフリカ大陸は、今まで長い旅路を征き、とてつもなくレベルアップしたエベレストとアフリカ大陸なのだ。


 彼ら(???)に続き、田中が飛び出してきた。ボディビルダーの彼は地球を持っていた。筋トレを続けた結果、地球をも持ち上げることができてしまった筋肉ダルマだ。しかし今回は自分の限界を超えた。


 なんと、石之宮 葵の遺した地球と合わせてふたつ! 同時にふたつの地球を持ち上げたのだ。己の限界の二倍を超えるほどの無茶に、全身の筋肉は断裂した。命の炎を燃やし尽くしながら、それでも投げつける。エベレスト、アフリカ大陸、地球、それに地球。四層の壁は、レーザーに断ち切られ──しかし、レーザーはそこで打ち止めだった。


 エベレストとアフリカ大陸、田中が、誇らしげに倒れ、散ってゆく。


 レーザーまで防がれた鹿角皇帝なろうエンペラーはいよいよ、冷や汗をその顔ににじませていた。


「こうなったら…………本気の本気を、出しちゃうんだから!」


 


 最強のラスボスとの戦いは、第23話に続く──。



***生存者(合ってるはずだけど間違ってても怒らないで!)***


yu__ss

ギルバート

冒険の書

宣伝部長

きのえいぬ

空 あゆむ

絶影

ブルース・フォー

あーさ

銀鈴

オレンジ・キッシュ

ジルオール

いだてん

カチガラスハンター

箱野ねこ

山神ルーシー華子真由美紗奈早苗円香明神智和田輪廻清藤蟈畿之娘

柚木 恋

しろてん

くまこ

リトル=レイン

毘沙門天ゆるいこ

ウニみちながサガ

水野力みずのぱわー

ヌメット・スネーク

クローズ・サンダー

ねねこ

染五郎

しろばら

アイ

もかちゃん

越谷 杏子

掃除妖精(自称)

シグルド

アポロ

JIRO

サジタリウス

雨乃 時雨

JUNY

黒無(クロム)

古明地真琴

原稿が終わらないあかり

古馬海

ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨ

日柳すみれ

スフレ

ぺぺぽん

ASHIO-ff(アシオ ダブルエフ)

つくもなす

足の生えたじゃがたらいも

さけさかな

みさと

タンドリー

クラウン

エマ・ウッズ

羽海野渉

ジイ・ファンタジー

ルナルナ

ニコラウス

シール・アイリスフレイム

かどくら

リョクア

永瀬-Ⅲ

ユウ・キリシマ

カリオス


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