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21オブザデッド

 時空断層に突入したことで、凄まじい時空間の揺れが宇宙船なろう号に襲いかかった。時空間の揺れがどんなものかはよくわからないけど、たぶん人体にとってあまり良いものではないんじゃないかな。あとたぶんすっごく酔うと思う。字面的にそんな感じがする。間違いない。酔います。


「うう、みんな、大丈夫かな……」


 提督が呟き、窓ガラス越しに宇宙空間を眺めると、そこでは緑色のオーロラのようなものが星空に覆い被さり、上下に激しく揺さぶられていた。えっ、なにこれ……。


「ここは……」

『ここが時空断層の境界面だよ、てれんさん』


 みんなのアイドルであり、かわいくて信頼できる超AI、F.E.H.Uが言った。


『気を付けててれんさん。この中ではあらゆる物理法則が無視されてしまうんだ』

「なるほど! それはつまり……! …………どういうこと?」

『みんなバラエティ豊かに死んでいってしまうということさ』


 F.E.H.Uの言葉は真実だった。船内では、一斉にダイスを振り、ファンブルを出してしまった20人近い乗組員たちが、時空断層によって異次元空間化したなろう号の船内で、まさに非業の死を遂げようとしていた。


 21名の死!!!!!




 円堂広満は、緑色のツナギを着た普通のおっさんだ。職業は機械整備士。なんだか普通に宇宙船に乗っていそうな感じの職業とビジュアルで好感がもてます。持ち物もバール、ステータスも平たく作られています。渋みを感じる。


「よーし、良い子だ……」


 時空断層の影響でエンジントラブルが起こることを円堂は予期していた。むずかるエンジンをなだめすかす様にはベテランの風格があった。


「その子は俺の子供みたいなものです。必ず地球までもたせましょう」


 工場勤務の会社員、猫の人も工具を片手に頷いた。彼はごま塩頭の眼鏡をかけたおっさんだ。下町ロケットの影響を受けた彼の勤務先は、地球が滅ぶ直前にこのエンジンを開発し、猫の人もそれに関わっていたのだった。


 二人はエンジンの調整を終えて、油まみれの笑顔のまま、硬い握手を交わし合った。そして機関室を出ようと扉を開けた直後、奇妙な浮遊感に襲われたかと思うと、そのまま宇宙に放り出されてしまった! これも時空断層の影響だ。カーッ! 時空断層なら仕方ないかー!


 宇宙空間に放り出された二人は、猛スピードで遠ざかって行く宇宙船なろう号を、どこか満ち足りた気持ちで見送っていた。整備は完璧だった。きっとあのエンジンは、残った乗組員たちをあの青い地球へと無事に運んでくれるに違いない。そう思い、二人の漢は、眠りにつくには広すぎる宇宙の中で、やがて窒息死した。ゼロ・グラビティ!



 超暗黒騎士の暗黒騎士は、自らの着ていた刺々しい鎧の裏表が逆転し、串刺しになっていた。四次元空間では卵を割らずにその中身を取り出すことが言われていると地獄先生ぬ~べ~に書いてあったけど、原理としてはきっと同じものだろう。全身から血を吐きながら、暗黒騎士は床に落ちた自らの持ち物に手を伸ばした。


「提督はスマブラスマブラと言うが、俺はやはり、カービィの、エアライ、ド……」


 なぜあの名作の続編は出ないのか。暗黒騎士は、そのまま静かに息絶えた。それはそうとして、職業:超暗黒騎士の名前:暗黒騎士ってなんだよ……。ちなみに彼は毎年3年連続で原文ママ枠をかっさらっていく暗黒騎士とは何の関係もない。ただカービィのエアライドが好きなだけの男だ。



 木工職人の目抜き通り(名前です)は、もともと中年太りとしゅっとした体型の急激な変化を何度も繰り返しているリバウンド大王だったが、これも時空断層の境界面に接したことによりこの数年分の体型の変化が一度にその身に降りかかり、肉体と内臓に負荷がかかりすぎて死んでしまった。


「やはり体型は維持しないと、意味がなかった……!」


 含蓄のある言葉が、目抜き通りの最後の言葉になった。



 プロレスラーのマスクドツーダⅩ世と、格闘家のたかしは、トレーニングルームでスパークリングの真っ最中だった。マスクドツーダは真紅のマスク、隆は赤いハチマキに白い道着を着ている。

 コーナーリングに上がったマスクドツーダは、その全身でフライングボディプレスを隆に向けて放ち、隆は出に無敵時間のある滞空攻撃(バージョン4のリュウは強いみたいなので、期待しています!!)でそれを迎え撃った。


 ちょうどそのタイミングでなろう号は時空断層に突入し、二人の肉体には同時に殺人的な加速がかかった。互いの肉体には隕石が衝突したほどの衝撃が加わり、鍛えていたので即死はしなかったものの無視できない致命傷を負った。


「アンタ……強いな……」


 隆の最期の言葉は、己より強いかもしれない者に出会えた幸福感に満ち溢れていた。


「どうやら……カウント0.2からの逆転劇は、ないか……」


 マスクドツーダⅩ世も、そのマスクの下に晴れやかな笑顔を浮かべていたことだろう。


 ここに二人の偉大なるファイターが、その命を散らせた。生涯最高の宿敵に出会えた喜びを噛み締めながら──。



 豊臣秀吉は、自室でバナナを食べていたところを異空間に巻き込まれた。彼は実のところ、何故自分が宇宙船なろう号に乗っているのかわかっていなかったが、ここですべてを思い出した。


 歴史上における豊臣秀吉の死因は諸説ありはっきりしていない。それもそのはずで、彼は病床に伏していたとき、地球に降りかかった時空断層に呑まれてタイムスリップをしてしまっていたのだ。すべてを忘れ、自分の名前が豊臣秀吉ということだけは覚えていた。しかし、すべてを思い出した秀吉には、もはや時間が残されていない。記憶を取り戻したことにより、数百年近い時間経過が秀吉の肉体に一気に降りかかり、彼の肉体はみるみるうちにやせ細り、塵のごとく朽ち果てていく。


「浪花のことも、夢のまた夢、か……」


 やがてそこに豊臣秀吉が存在したという歴史の神秘は消え失せ、床にはバナナだけが空しく転がっていた。驚きだ…………。



 海自の無駄ヅモ無きNANAは、宇宙船内に設置されたフリー雀荘で麻雀を打っていた。普通のスーツ姿で国家の命運を麻雀力で決めそうな風貌と書いてあり、持ち物も雀牌のイーピンだが、特に麻雀が強いとは書いてないので雀力は普通くらいだろう。彼と卓を囲んでいるのはニートの半ズボンの人、詐欺師のじんせい、大工さんのしろくまだ。


 なろう号が時空断層に突入した直後、異空間化した船内における因果律がNANA一点をめがけて爆縮を起こした。強烈なツキが巡ってきたNANAは自らの手牌を眺めて驚愕の表情を浮かべ、それから万感の思いを込めて叫んだ。


「天和純正九蓮宝燈! 32000オール!」


 直後、NANAに収束した因果律が雲散霧消する。天文学的な確率で天和純正九蓮宝燈をアガったNANAは、天文学的な効果で足元に発生したトンネル効果によって物体をすり抜け、そのまま宇宙空間に放り出されてしまった。


 親のNANAが文字通りトンでしまったのを見て、残りの3人も事態の異常性に気づいた。特に詐欺師のじんせいは知力7がさえわたる智慧者である。


「俺たちはどうするべきだ?」


 大工さんのしろくまは、全長2メートルの金槌を持った3メートル近い髭面の大男。彼はこの中で一番の智慧者であるじんせいに指示を仰いだ。


「ああ、あんたの判断に従うぜ」


 そして、半ズボンの人は幸運10という驚異の数字を持つニートだ。知のじんせい、力のしろくま、そして幸運の半ズボンの人。バランスの取れた魅力的なパーティに見える。

 ちなみに半ズボンの人の外見も、髭をたくわえた仙人のような顔つきであり、髭キャラとしてしろくまと被っている。一方で、じんせいの外見設定は「中肉中背」だけとなかなか潔い。


 しかし、じんせいの職業は詐欺師だ。


「(ここはひとまず俺が生き残るためにこいつらを盾にするか……)」


 詐欺師らしい利己的な思考回路でものごとを考え、口八丁手八丁で彼らを騙すことを考えようとしていた。知力2のしろくまはそんなじんせいの心中など察する余裕もなく、半ズボンの人に至っては知力0なので詐欺師という言葉すら知らなかった。さぎ……し……? なんですかそれ。ちょっとよくわからないですね。


「ひとまずここを出ましょう」


 じんせいは詐欺師らしい笑みを浮かべた。


 雀荘から出るために扉を開けると、その向こうから巨大な鉄のコンテナが、こちらに向けてすべりおちてくるところだった時空断層の影響で重力発生システムが誤作動を起こしたのだ!


 しかしじんせいは焦らない。しろくまを前に出し、コンテナを受け止めさせようとした。十分な腕力があれば受け止められると踏んだが、しろくまは滑り落ちてきたコンテナの勢いを止めることができず、その場で3人はプチッと潰されてしまった。しろくまの腕力は3しかなかった。キャラ紹介には筋骨隆々と書いてあるが見事な見せ筋だった。ちなみに残る2人の筋力は2人合わせて0だった。BMI18の肉体をジャージに包み、頭は坊主に丸めている。なかなか個性的な見た目をしている男だ。



 カウンセラーのftgは、カウンセラーの癖にカッター付単分子炭素結晶拠り線ワイヤー1000mひと巻という超実践的なサバイバルアイテムを船内に持ちこんでいるガチ勢だ。船内で起こっている異常事態にもすぐさま気づき、対応しようとした。


「先生、俺も一緒に行きます!」


 ftgと一緒に、野菜泥棒のかっちゃんもついてくる。詐欺師とか野菜泥棒とかそんな連中しかいないのかこの船は…………。地球を、救う、ために…………。


 しかし彼はftgのもとに足しげくカウンセリングに通い、既に更生しつつある身だ。彼は身の丈3メートルという超大型の尺取虫だった。ついでのように「かわいい」って書いてあるけど、身長3メートルの尺取り虫、かわいいですかね……??? かわいいとは……? 概念が崩壊する。これも次元断層の影響では……?


「ああ、ありがとう、かっちゃん」


 船内には、空間断層の影響だろうか、にわかに濃い霧が出始めていた。二人(?)は、ftgの持つ1000mのワイヤーを部屋の柱に巻きつけ、もう片方を自分の身体に繋ぎ、ゆっくりと霧の中を進んでいくことにした。


 しばらく後、霧が晴れる頃には、通路上に鋭利な切断面を残したワイヤーが発見されることになった。ftgとかっちゃんの行方は、ようとして知れない。切断されたワイヤーの近くで3cmくらいの小さな尺取虫の死体が発見されたが、関連性は不明のままだった。世にも奇妙な物語!!!



 彷徨える怪しい鳥も、異空間に迷い込んでしまっていた。見た目は可愛らしい黄色い鳥だが、見とれて近づくと執拗に攻撃を加える鳥らしい。こんな危険な生き物、誰が乗せたの……???


 しかしそんな怪しい鳥だったが、異空間を彷徨ううち、自分によく似たとても美しい黄色い鳥が、前から歩いてくるのを見つけた。黄色い鳥もまた怪しい鳥をじっと眺めていた。


 本能がうずく。怪しい鳥はけたたましい鳴き声をあげ、黄色い鳥めがけてとびかかった。くちばしと蹴爪で何度も何度も黄色い鳥めがけて攻撃を加える。いつの間に怪しい鳥本人が血塗れになってしまっていたが、時空断層に発生した鏡映し現象によって、彼はいつの間にか自分自身を攻撃してしまっていたのだ。魅了した相手を攻撃し続けるその本能によって、彷徨える怪しい鳥は血塗れになって死んだ。



 職業:夜騎士のなまごめは、気が付けば一寸法師くらいのサイズまで身体が縮んでしまっていた。これも次元断層の影響だ。次元断層ならあるよね、よくあるよくある。マックで喋っていた女子高生も言ってたし。小さくなったなまごめは、そのまま自らが持ってきた精米済みの米10kgの雪崩に巻き込まれて死んだ。最後の言葉は「夜騎士は英語で……ナイト、ナイト………………」だった。



 事務員のあさぎのはひたすら仕事をしていた。ブルーライトカットの眼鏡をした中肉中背黒髪女史だ。彼女は延々と、2018年12月24日と25日を繰り返す時空に囚われてしまっていた。「24日と25日は仕事だから、終わったらクリスマス更新を追いかけるんだ!」と言っていたあさぎのの笑顔は、時空断層の彼方へと消えてしまうのだろうか……。


 いつかこのループを抜けだし、クリスマス更新を追いかけられる日が来ることを祈っています。わたしもクリスマス更新をあとちょっとがんばるから、みんなも応援していてください! だから、その日までさようなら、あさぎの!



 生物学者の花﨑(はなさき)(まい)は、失くしてしまったチューリップの球根を探していた。


 長い入院生活のすえに亡くなった夫が好きだった花で、花﨑舞がプロポーズを受けた際にも貰った花でもあり、そして、新しい移住する星でも必ず地面に咲かせると夫と約束した花であり、地球以外の環境でも、たとえ宇宙空間でも育つことができるように遺伝子改良された黄色いチューリップの球根(原文ママ)である。しかももう地球に引き返してきてる時にこれが出てくるとちょっと申し訳なさありますね……。いや、あるいはもう第三惑星に植えてきたのかな。だめだあそこ植えると死ぬわ。じゃあ持ってます。大丈夫だよ、きっと地球で咲くチューリップも綺麗だから!!


 時空断層突入の際、大切な球根が、ふっと異次元空間に吸い込まれて消えてしまった。次元断層突入中は無暗に出歩くと危ないことを知っていたが、それでも球根を探しにふらふらと外に出てしまった。


 そんな舞はしばらく後、船内の片隅で衰弱死しているところを発見された。


 彼女の死に顔はまるで、二度と会えないと思っていた人に再び会えたかのように安らかで、彼女が腕に抱いていた球根は、とても美しい黄色いチューリップの花を咲かせていた。何があったのかはわからないが、それは、時間と空間を超越した境界面が見せた、ひとつの結果だったのかもしれない―――。



 タップを買い忘れGCコンだけ買った人は、異空間化した船内で迷子になっていた。この他の場所ではわずかな時間しか流れていないにも関わらず、ここではおよそ50年近い時が流れていた。50年間もの間、彼はGCコントローラーだけを握りしめてさまよい続けていたのだ。


 50年前のあの日、スマブラとGCコン接続タップを買い忘れてしまったことだけが、彼の悔恨であった。もはや歩き疲れ、体力も尽き、無限回廊と化した船内で何かにつまずき倒れる。


「こ、これは……?」


 GCコンだけ買った人の足元に転がっていたのは、埃を被ったニ〇テンドース〇ッチだった。第一惑星から持ち帰られた、あのニ〇テンドース〇ッチである。ロミオ・マリオが持っていたnintendo switchとは違う。


「そうか、へへ……お前も、ここに閉じ込められちまった、ってことか……」


 GCコンだけ買った人は、死出の旅路に付添人がいたことに安堵したように、ニ〇テンドース〇ッチを拾い上げ、その埃を払った。


 なんとなしにニ〇テンドース〇ッチの電源を入れたGCコンだけ買った人は気づく。ニ〇テンドース〇ッチの持ち物はセーブデータ。それも、スマブラSPのセーブデータだった。DL版も既にインストール済みだった。


 GCコンだけ買った人の手に握られていたGCコントローラーが、ドクンと脈動バイブレーションする。繋がるはずのないGCコンが、繋がった――?


「おまえ……」


 もはや言葉は必要なかった。彼らの間に、もはや接続タップは必要ない。心を繋いだコントローラーがあれば、彼らはやがて灯火の星へとたどり着くだろう。彼は目を輝かせ、ニ〇テンドース〇ッチにインストールされたスマブラを起動させた。


 しばらく後、通路の隅で重なり合うように倒れるGCコンだけ買った人とニ〇テンドース〇ッチの亡骸が発見された。



 黒目黒眼鏡黒髪ロングに真っ黒のセーラー服を着たフリーターのレンナも、無限回廊と化した船内をさまよい続けていた。彼女の命を繋ぎとめていたのは、ひとえに買いたいものがあるというそれだけの理由だった。しかし、既に心は砕かれかけている。地球では既に80億年が経過しているという。ならば、レンナが欲しかったものは二度と手に入らない。


 プラカードを杖代わりにして歩いていたレンナは、目の前の空間に奇妙な渦ができていることに気づく。ワープゾーンだ。人間が生身で突入すると空間跳躍の過剰負荷がかかって死に至ると言われている。それでもレンナは、気が付けば目の前のワープゾーンに飛び込んでいた。


――喧騒


――熱気


 そこが思った通りの場所であることに気づき、レンナは目を見開いた。そう、そこは2018年12月29日、東京国際展示場――コミックマーケット95!


 レンナはプラカードを持ち、目の前のブースに並んだ。喉はかすれ、既に言葉が出ない。しかし、プラカードに書かれた「『負けませんと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話』を買います、買いたい、書いたかったなあ。」という言葉が、何よりも雄弁に彼女の気持ちを物語っていた。


 ちなみに『負けませんからと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話』のあらすじはこうだ。


 ***CMタイム***


『主導権の奪い合い! いちゃらぶ百合バトル、開幕』


 お嬢様学園のスーパーお姉様の彩良は、ライバルの美少女に勝負を持ちかけられる。二ヶ月後の学園人気投票を前に、ふたりきりで決着をつけましょう、と。

「というわけで、わたしの恋人になってください。あなたに証明してみせます」

「は……?」

 自分がいかに学園の頂点にふさわしいか、わからせてやると言うのだ。秘密の関係になった彩良と瑠衣は、ひと目を忍んでアプローチをしかけ合う。はたして身も心も屈服するのはどちらだ──。


 ***CM明け***


 12月29日の冬コミで頒布します、西地区“れ”-54b ですので、どうぞよろしくお願いいたします。


 と、念願を果たしたレンナの肉体は、空間跳躍の負荷によって崩壊を迎えていた。神よ、慈悲があるならば、せめて彼女に残された時間が、文庫一冊を読み終えるまでのそれでありますように――。





「くっ、なんてことだ。時空断層をちょっと軽い気持ちで突破しただけで、これほどの犠牲者が出るなんて……」


 まあでも最終話まであと今回を含めて四話だから仕方ないよね!!! というのは提督の心の声ではなく、筆者の声である。提督は普通に悲しんだり憤慨してます。


 続々とあがる死亡報告を聞いて、提督は拳を握りしめる。宇宙船なろう号は間もなく時空断層を抜けようとしていた。


 ひときわ大きな衝撃が船体を揺らす。その直後、視界が真っ白に塗りつぶされたかと思うと、なろう号の前に、正常な宇宙空間が広がった。超AIのF.E.H.Uが提督に声をかける。


『てれんさん見て、地球だよ!』


 漆黒の宇宙空間の中に、青い天体が浮かび上がっていた。時空断層を突破した先に見えたもの。それはまさしく、あの懐かしい太陽系第三惑星、地球の姿だったのだ。船内にわっと歓声が広がる。この長く辛い航海と犠牲の果て、彼らはついに帰ってきたのである。


「ありがとう、みんなのおかげだよ!」

「フフ、待ちわびましたよ本当に……。この時を、首を長くして、ね……」


 そう言って、きりんのきりんが静かに目を閉じる。


「きりんさん? どうしたの?」


 時空断層を突破する際何度か起こった衝撃は、きりんの長く細い首には負担が大きすぎたのだ。彼はすでに頸椎をひどく損傷していた。


「懐かしいな……。あのサバンナの大地を、私はまた、走り回っ……て……」

「きりんさ……きりんさーん!!」


 きりんさんも死んだ!!! はい、死にました!!!!


***現在の生存者(間違ってたらごめんね!!)***


yu__ss

ギルバート

冒険の書

宣伝部長

きのえいぬ

空 あゆむ

絶影

爆死王

ブルース・フォー

あーさ

エベレスト

アカシック・レムナント

銀鈴

オレンジ・キッシュ

ジルオール

いだてん

カチガラスハンター

もっさん

箱野ねこ

胡兎

山神ルーシー華子真由美紗奈早苗円香明神智和田輪廻清藤蟈畿之娘

柚木 恋

しろてん

くまこ

リトル=レイン

毘沙門天ゆるいこ

ウニみちながサガ

水野力みずのぱわー

ヌメット・スネーク

クローズ・サンダー

ねねこ

染五郎

しろばら

アイ

もかちゃん

越谷 杏子

掃除妖精(自称)

シグルド

アポロ

JIRO

サジタリウス

七橋ならう

雨乃 時雨

A.I.B.I.S.

アカギツネ(生後28ヶ月)

JUNY

黒無(クロム)

古明地真琴

原稿が終わらないあかり

古馬海

ドンペリ・ハコデ=モッテキナーヨ

日柳すみれ

スフレ

ぺぺぽん

クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット

強風

ASHIO-ff(アシオ ダブルエフ)

ジェーン・ドウ

つくもなす

足の生えたじゃがたらいも

アフリカ大陸

さけさかな

みさと

タンドリー

クラウン

エマ・ウッズ

めがね

羽海野渉

ジイ・ファンタジー

ルナルナ

のっ野比のび太郎

ぶりなっく

田中

ユーレイ・ババーリン

ニコラウス

シール・アイリスフレイム

キー坊。

かどくら

沖田十三

リョクア

永瀬-Ⅲ

ユウ・キリシマ

ブレイン

カリオス

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