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2オブザデッド


 さて、というわけで宇宙船なろう号は、地球を離れてゆく。


 窓の外。眼下に広がるのは、青々とした地球──ではなく、荒涼とした乾いた死の大地である。そこにまだ人が住んで生きているのが不思議なほど、まるで命を感じられなかった。


「…………」


 提督は振り返る。集まってきた大勢の参加者に向けて、これからの予定を発表するために。


「わたしたちは、三つの星に向かいます。これは地球が滅びる前に、あらゆるコンピューターが導き出した『人類が移住可能かもしれない可能性が0.1%以上ある星』です。その調査をおこなうのが、わたしたちの使命です」


 そこで何人かが「えっ!?」という顔をした。ノリでついてきた連中だ。知らなかったのかもしれない。


 提督は気にせず、続ける。


「まずは星間ワープをおこない、第一の星へと向かいます。そこで調査員を派遣することになります」


 ま、もしかしたら第一の星が人が住める状態で、このまま24時間更新も3話目で終わりになるかもしれないしね!


 気楽に、気楽にいこう!


「というわけで、まずは資源の確認といきましょう!」


 具体的には、水、食料、それにエネルギーだ。これからがひとつでも尽きると、宇宙船の旅は暗礁に乗り上げてしまうことになる。


 水と食料については、もちろん提督と超AIのF.E.H.U、それに料理人のMyケル・Myヤーズ、エリートサラリーマンの西条太一、コックの雨乃時雨辺りが担当することになった。


 さらに艦内の治安維持には、都督六合諸軍事宇宙大将軍の都督六合諸軍事宇宙大将軍同志アーノルドNTナラティブ、大英雄のシグルド、委員長のから、弁護士のナルホド君、銀河の平和を守る騎士の空あゆむ、ギンガパトロール(パトレッド)の赤井麦酒、らが隊を結成し、パトロールをすることに。


 何事も、集団の崩壊というのはすべて、人と人との関係から起きることが多いのだから。


 そして、具合が悪くなった人のために医療チームとして、外科医のりめ、船医の日柳すみれ、医者の五十嵐先生、藪井戸 智白 (やぶいど ともしろ)、薬剤師の水梅と、織島霧香しきしまきりか、防衛医科大学校看護学科学生のアイなどが、協力して事に当たることになった。


 これでなにもかもバッチリだ。これ以上人が死ぬことなんてありえないだろう。例えば、船内にゾンビや怪物、裏切り者でも潜んでいない限り。



 早速、船内をパトロールしていた空あゆむや赤井麦酒が、怪しいものを見つけてきた。ちなみに赤井は全裸に缶ビールだけ持っているらしい。取り締まられる必要があるのはどっちなのだろうか。


「こんなものがあったんだが」


 それはロブスター(賞味期限切れ)だ。もはやゲル状のなにかとなったそれを、提督はダストシュートから投げ捨てた。宇宙空間の藻屑とした。なんか手にベタベタくっついて、すごくいやなきもちになった……。





 さて、ここからは例年通りの判定である。


 各メンバーに部屋が割り振られるのだが、その割り振られた部屋のどこかにゾンビが潜んでいる、という設定だ。



 ※判定方法


 0から11までの12面ダイスを振る。


 0は確定成功、11は確定失敗として、判定に使ったステータス以下の数字が出れば成功である。


 例えば判定に体力を使う場合、体力4のキャラは、12面ダイスのうち、0,1,2,3,4のいずれかがでなければならない、という風だ。


 諸君らはゾンビなどは倒し慣れている。しかし、それとは別に、不意打ちを喰らってしまった不運なものもいる。


 そう、不運。すなわち、12面ダイスを振って最大の数値、ファンブルを出してしまった者たちだ。



 11を出す確率は12分の1。しかし、その11を出してしまったものが、28人いた。


 その28人の死に様を、2話と3話にわけて描いていくとしよう──。





「はー、しっかし、宇宙航海ねえ」

「星なんて見つかるのかなあ」


 地方公務員のkkrrや大工のげんさんらが割り振られた部屋は、28人部屋だった。28人というのはあくまでも参加者の数であって、その中にはもちろん人じゃないものもたくさん含まれているが、これからあくまでも人で通すので勘弁してほしい。脳が動くうちに、こういう注意をしておかないといけないのだ。


「ま、ま、次の星に行くまでは、ニートみたいなもんすから」


 ニートになりたい王宮料理人、あっつぁんが笑いながら言った。ニートになりたかったので、料理人集まって―という召喚には応えなかったのだ。


 大広間みたいな部屋で団らんしていると、だ。不意にダクトがぐらぐらと揺れた。大工のげんさんが職業病を発揮して「ん?」と覗くと、だ。


 そこから現れたのは、あまりにも見慣れた人類の敵対者──ゾンビであった。


「え?」


 がぶり!とげんさんの顔面がトレードマークのハチマキごと食い破られる。一同はなにが起きたのかもわからずに、ぽかんとそちらを見つめていた。


 ダクトからさらに多くのゾンビが溢れてくる。近くに座っていたkkrrは、ばあちゃんの形見の500円硬貨を握りしめたまま、ゾンビに噛み殺された。


 あっつぁんは可愛いメイド(清楚系)と描かれた紙を前に突き出しながら「ニートに! 俺は! ニートに! なりたい!」と宣言をしつつ、それでもゾンビに首筋を噛まれて絶命した。ステキなおっさんはステキなゾンビと化したのだ。


 部屋は一瞬にしてパニックに陥った。皆がドアに殺到する。だが、ドアは開かない!


 閉じ込められた中で最強の腕力を誇るイワミとさっちんが、同時にドアにドロップキックを仕掛ける。ドアは軋み、ヒビが入った。よし、このままならドアを破って脱出することはできそうだ。


 だが、そこでふとふたりの脳裏によぎるものがあった。ドアが閉まっているのは僥倖なのではないか。ここでドアが破壊されてしまえば、ゾンビは船内にあふれてゆき、さらに犠牲者が増えてしまう……!?


 いや、しかし今は一名でも多くの人を救うのが先決だ! そう意気込んで、ふたりは再びドロップキックの構えへと移る──。



 部屋の中は乱戦と化している。


 雄々しいニワトリ(後ろに緑色のオーラがパズドラのキャラの背景みたいに常に渦巻いてる)の〈覚醒SSR〉ガッルス・ガッルス・ドメスティクスは、三歩歩くと全てを忘れてしまうからこれがなんなのかわからないけどずっとこの手に握りしめている、何か。を握りしめたまま、三歩歩くとすべてを忘れてしまうので、部屋の中にゾンビがいることすらも忘れて、殺されてしまった。あと、わたしのクリスマスパーティーの準備を吹き飛ばした恨みは一生忘れない。


 見た目だけはとても賢そうなインテリ風メガネ 国家試験は雰囲気と運で乗り切った、の藪井戸 智白 (やぶいど ともしろ)は各部屋に配属された医療チームのひとりだった。彼は賢そうに見えるメガネをクイと持ち上げて、「なるほど、ゾンビだな」とつぶやいた。そのまま喰われて死んだ。知力0なので、決して賢いわけではなかったのだ。


 同じように医療チームのひとり、薬剤師の水海は学生時代の分厚い教科書を振り回して、襲いかかってくるゾンビを角でガコンガコンとやりまくっていった。


「ひえええ! こないで、こないでくださいよ!」


 しかし黒髪眼鏡の水海は悲しいことに非力だった。筋力1ではゾンビの頭蓋骨を砕くのがやっとだ。セラミックゾンビが現れた時点で、勝ち目はなかった。喰われた。


 二年連続で生き残った潜入捜査官、アカツキは部屋の隅で葉巻を咥える。


「やれやれ……強運の女神に、フラれちまったかね……」


 彼は決してうろたえず、そのまま噛み砕かれた。こうして三年連続で生き残るであろう人は、どこにもいなくなった。



 喰われた人もまた、ゾンビになってしまうのが、ゾンビの恐ろしいところだ。そして、罪深いところだ。


 神父の一十一(にのまえ じゅういち)は、インスマスの聖書を抱えたまま、その魚臭い息をはきながら十字を切った。「イア・イア…………」と邪神に祈りながら、死者の安寧を願い、そうしてそのままゾンビに噛まれて自らもまた死者へと化していった。アジとかサバとかの味がした。


 さて、何度も異世界転移を繰り返してる系なろう主人公の、聖夜に何かを遂げた棘田は、持ち物として宇宙船なろう号を持ってきてしまっために、回収された男だ。その外見は過去の苦難でなぜか髪が緑色に染まり、眼も緑に染まっている。めちゃくちゃ長文で書いてくれたので今回初の原文ママをしようかと思ったのだが「今年の原文ママ枠はもらいました」とかなんとか書いてあったので、悔しいから略して殺しました。そろそろ夜も遅く書くことも眠くて思いつかなくなってきた、とあるので、その力作をどうか活動報告にいって読んできてほしい。あえては書かない。


 さて、職業軍人のめがねこやなぎは、眼鏡をかけた猫だ。猫かぁー……。クリスマスから猫を殺すのすごい嫌なんだけど、でも企画なので殺します。猫はすごい、こう、すごい無残に内臓とかを引き出されて死にました。悪いのはわたしじゃない! 死ぬとわかっている企画に猫を出したやつだ! わたしだって殺したくなかったんだ! わたしに殺させたのはお前らだ!



 そして、ノージョブのりょうへいだ。彼はなにを思ったのか、カメムシの詰まったペットボトルを持って、この宇宙船に乗り込んだ男だ。持ち物をひと目見た時点で「うわぁ気持ち悪ぃ」と思わず声を漏らしてしまった。細マッチョで、ペットボトルを振り回しながらやってきたゾンビを次から次へと蹴散らしていたものの、なにかに足を取られて転んだ拍子に頭を打って死んだ。


 足を取られたのは、床に転がっていたルービーだ。おいしいおさけだ。ビールではなく、ルービーだ。チンカチンカのしゃっこいルービーらしい。いいなあ、わたしもビール飲みながらこの更新描きたいなあ。でも飲むと眠くなっちゃうからなあ……。明日、明日飲みます。ルービーは割れて中から液体をこぼし、誰にも飲まれることなく床のシミになりました。




 さて、部屋に閉じ込められた残りは、


 アレイスター・クロウリーJr.

 太もやし

 月

 月影さん

 はにぃ

 黄泉比良坂 伊賦夜

 トリニャティ

 ペンギンバトラー

 山田まる

 都督六合諸軍事宇宙大将軍同志アーノルドNTナラティブ

 桜木ねくろ

 イワミ

 青天井廻あおてんじょうめぐる

 焙じ茶

 さっちん

 ヒフミ


 だ!




 部屋に閉じ込められたのは、残り16名だが、ただひとり、その後の判定にクリティカルを出すことができたため、生き残ったものがいたりする。


 その人物とは………………一時間後に!!!



***死亡者***


ロブスター(賞味期限切れ)

大工のげんさん

kkrr

あっつぁん


雄々しいニワトリ(後ろに緑色のオーラがパズドラのキャラの背景みたいに常に渦巻いてる)の〈覚醒SSR〉ガッルス・ガッルス・ドメスティクス


藪井戸 智白 (やぶいど ともしろ)

水海

二年連続で生き残った潜入捜査官、アカツキ

神父の一十一(にのまえ じゅういち)

聖夜に何かを遂げた棘田

めがねこやなぎ

ノージョブのりょうへい

床に転がっていたルービー


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